T


T


高校に入る頃に、自分が同性愛主義者だと気づいた。
そんな自分を素直に受け入れることはできなかった。
気づけば男を目で追う自分が嫌で嫌で。
自分に対する“嫌悪感”こんなモノが自分の中に存在した。


そん時に、たまたま仲が良くなった女子がいた。
名前は・・・まぁ、Tにしとこう。

別に好きなワケじゃなかった。
ただ、友達として仲が良かっただけ。
Tには同性愛のコトを話さなかった。


その時、今みたいに同性愛が正しいと思っていなかった。

異性を好きになろうとした。

クラスの女子とかTとかにいつも話しかけて。


それでも、女子を好きにならない自分がいた。

嫌だ。嫌だ。こんな俺、気持ち悪い。
男が好きなんて、どうかしとる。

そんな時にTから告られてOKした。
別に好きなワケやなかったけど、これで女を好きになれるかな、と思った。

俺はTを同性愛を止めるために利用しようとした。
また自分に嫌悪感を感じる。
最低な俺。こんな俺は嫌だ嫌だ。


Tとデートした。
キスもした。
SEXだってした。


それでも好きになれない自分がいた。

好きになろうと努力したのに。
駄目だった。無理だった。

だから、別れようと切りだした。

同性愛のことも、その時話した。


Tはビックリしてた。そりゃビックリするやろ。

今さっきまで手を繋いでいた彼氏に同性愛主義者だと言われるなんて。


でもTはわかってくれた。

「こうなっちゃったけど、アタシを好きになろうと努力してくれたのは嬉しかったよ。」

この言葉を聞いて、Tにすごい罪悪感を感じた。
何度謝っても足りないくらいやった。

普通、こんなコト言ってくれるもんなんか。
俺はひっぱたかれるのを覚悟で話した。


“ごめん”と“ありがとう”が同時に出てくるカンジやった。

あれから女とは付き合ってない。
無理に付き合うコトもないと思った。
あんなコトを言ったけど、Tはかなり傷ついてたと思うから。

これ以上、誰かを傷つけたくないと思ったから。



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