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2006/04/15
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カテゴリ: スナック



枝にしがみつく花弁を穿つような強い雨も上がり、駅の通りにはむせ返るような雨の残り香だけが僅かに漂っているだけだ。

上空は風が速いらしく、湿気を含んだ雲がまだ少し重たげに西へと急いでいて、その隙間から霞んだ月が、ただぼんやりと夜空に溶けている。

 終電の時間を大幅に過ぎた時刻、大通りを人が歩いているはずもなく、家路の先には月の光を真似たような外灯の明りと、誰の待つ事もない信号機だけが点滅を繰り返し、その存在を哀しく主張していた。

 男が阿呆のようにそんな風景を眺めていると、どこからともなく風が吹き抜け、緑の葉を多く繁らせ始めた桜達がそれにつられてざわざわと笑った。男を嘲笑うようなそれは、所詮己が生み出した、甘えた感傷に過ぎない。


 愛する者と会い、そして別れた後には、なぜこうも虚しさや寂しさだけが募るのだろうか。

 男は自らの胸に問いを投げかけてみたが、その問いは心の奥にある、鈍く淀んだ水に吸い込まれ、果ての知れない水底へと音も無く沈んで行くだけだ。




 枝垂桜の枝が女の髪のように流れる。

 男の心だけが、そこに置き去りにされたままだ。


 雑居ビルの脇には、季節外れの集蛾灯のようにうっすらと、小汚いスナックの看板が光っていて、男は青白い灯に誘い込まれるように足を向けた。


 誰でも良い、傍に居てくれないか。

 こんな夜は、己の内側に拡がる暗闇に吸い込まれてしまいそうだ。


 そんな声にならない呻きを飲み込みながら、酒と人の匂いを求め、男達は今日も酒場を訪れる。







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Last updated  2012/04/14 08:22:24 PM コメント(1) | コメントを書く
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