泉忠司のPleasure, Excitement, Happiness, and Love

泉忠司のPleasure, Excitement, Happiness, and Love

Aug 15, 2006
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昨日の日記「言葉の力、言外の意味」に、泉の楽天ブログ史上最高のアクセスをちょうだいしまして、ありがとうございます。このあたりの話題を、泉が語ることに興味を持ってくださる方が多いようですので、続けてみたいと思います。

『クロスロード』 を書いたから言うわけではありませんが、泉はケータイ小説に日本の新たな活字文化への大きな可能性を見出しています。でも、崩壊させる危機をもはらんだ諸刃の刃と感じているのも確かです。『クロスロード』は内容としては、日本人の恋愛観に一石を投じ「恋愛のバイブル」となるものにすべく、葉子さんと一緒に書いてきました。と同時に、「魔法のiらんど」という中・高・大学生の読者がメインユーザーである媒体だけに、読者の皆さんの読解力やイマジネーションの養成への挑戦でもありました。

そして、連載終了時に掲示板に面白い反応が起こります。特には「衝撃」と言われている結末に対し、誹謗中傷の嵐でした。この誹謗中傷の嵐は、著者サイドとしては、予想していたし、そうあって欲しいという気持ちもあり、実は内心、嬉しかったのです(ネタバレになるので書きませんが、理由は 『クロスロード』 の掲示板の晴香葉子さんのコメントをご覧ください)

話を戻します。最終回終了から、すさまじい数の誹謗中傷のカキコが一気に入ります。すると、次は賛成派の意見が一気に入りました。その後、賛成・反対が交互に入るようになります。非常に自然な流れです。そこで、「これだけの議論が起こっているのに作者は、なぜ何も言わない?」という意見に対し、この日記の末に少し引用しますが、「よく読んでください」というだけのメッセージを発しました。

面白いのはここから先です。最初、誹謗中傷した人たちから、先日ひどいことを書いた者です」「こないだは中傷しましたが」という類の前ふりのあと、「反省しました…」「よく読めば、すごく考えさせられる作品で…」「自分が分からないのを人のせいにして…」「何度でも読み返したい…」「今まで出会ったなかで最高の小説…」という類のコメントが次から次へと入るようになります。匿名性の高いネットの掲示板で、これは、いまだかつて、ありえなかった反応ではないでしょうか。誹謗中傷めいたことを書いた人が、後日、「あれは自分です」と名乗ったうえで、考え方を変えた旨の書き込みがどんどん入る。少なくとも僕は、そういう掲示板を他に知りません。

『クロスロード』を通して、若い人たちの成長、特には、「自分で考える力」「想像力」「読解力」の育成にも、副次的に貢献できたと、僕も晴香葉子さんもすごく喜んでいます。僕が発したメッセージは下記のようなもの。そして、このメッセージに対し、「今まで生きてきた中でこんなにも勉強したくなったのは初めてです。もっと言葉の深さを学びたい!!」というコメントも入り、これは、プロの作家であると同時に教育者でもある泉としては望外の喜びでした。

若い人たちの成長のあとが生々しく感じられる 『クロスロード』 の掲示板をぜひのぞいてみてください。もちろん、掲示板を読むと結末などを先に知ることになるので、小説を読んでからの方がいいと思います。手前味噌で恐縮ですが、『クロスロード』は内容的にはもちろん、上に書いたような意味での教育的意義からしても、最高の作品だと自負できるものです。



小説やエッセイに限らず、絵画、彫刻、写真、舞台、ドラマ、映画…あらゆる作品は「無」から生まれ「有」になっています。鑑賞する側にまわったとき、この当然の事実をつい忘れがちですが、この点を意識しておくと、読む時はもちろん、自分が書く時においても、おおいに有益です。

小説を例に挙げます。真っ白な原稿用紙、何も書いてない真新しいワープロソフトの文書、携帯の画面などのうえに、すべてを1から創造していきますよね。「空白」、つまり、「無」から生み出すわけです。

語り手の設定や、物語展開といった大きな部分もすべてそうですが、ここでは分かりやすい例を挙げてみます。

例えば、登場人物の名前。登場人物の名前ひとつ取っても、花子でも愛でも太郎でもイチローでも、何でもいいわけで、可能性は無限大です。そして、同じ名前でも、どの漢字を使うか、ひらがなにするか、カタカナにするかで、意味も印象も変わってきます。その無限の選択肢から、例えば、「波美」「海都」という名前、表記を選ぶ。


ひとつひとつの表現をとっても同じです。

クロスのネックレスに触れる。
クロスのネックレスを握り締める。
クロスのネックレスに手を添える。
クロスのネックレスに右手を添える。
クロスのネックレスに左手を添える。

行為としての大差はありません。でも、作者が込める意味合いは全部違います。「手を添える」じゃなくて、「左手を添える」とあえて書いているのです。「触れる」じゃなくて「握り締める」と意図的に書いているのです。そして、同じ「左手を添える」という表現でも、場面によって、そこに込める意味合いが違うことは言うまでもありません。



もちろん、作品は作家の手を離れた瞬間から、一人歩きします。ですから、どのように解釈するかは読者の自由です。ただ、プロの作家は、上に挙げたようなことを意識して書いているのです。逆に言うと、それができない人はプロではありません。

「波美が秀一とどうなったか?」「未来の結婚相手がどんな人か?」「海都はどうなったか?」「続編があるのか?」いろんな質問が続々と挙がっていますが、少なくとも、現在掲示板に出ている質問に対する、僕からの答えやヒントは、すべて作品中に書いてありますよ。





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Last updated  Aug 15, 2006 02:58:19 PM
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