≪卓上四季≫
夏目漱石にこんな句がある。<人形の独りと動く日永かな>
いったい何を詠んだのかー。一寸分かりにくい。「独りと動く」とは「ひとりでに動く」という意味で、
「日永」は春の季語。
と言う事は、春のある日、人形がかってに動いた?
鑑賞の素人にはまるで”オカルト俳句”のように思えてしまう。仏文学者杉本秀太郎さんの随筆集
「だれか来ている」(青草書房)に、この句の読み解き方を教わった。
「春の人形」とは「ひな人形」。「日永」の中には、「ひな」の音が含まれているという。
ひっそりとした春の午後。飾り棚のおひなさまが、身じろぎをして「ことり」とかすかな音を立てた。
杉本さんは、明治37年(1904年)の句であることに着目する。その年の2月8日、日本はロシアとの
戦争に突入した。この時、漱石37歳。<日露戦争という未曽有の国家的大事変の最中に、雛人形の
かすかな身じろぎの音を聞き取った>
鋭敏な文豪の精神は、”大国主義”の先に待ち受ける破局までも感知していたのか。
そしていま、瓦礫後から懸命に積み上げてきたものが、ぞんざいに揺すられている。
引き倒されてはたまらない。
きょう「桃の節句」。幼子に幸多かれと祈る日。
さて、これまで「縁側」のように細長かった小欄は、御覧の形に衣替えとなりました。これからは
左下の「出窓」から朝のごあいさつ。ごひいきに。
2014.3.3 道新より
今年もおひな様を出せなかった。
押し入れの前には高足のベットが・・・
当分 無理かな~
端午の節句の兜飾りも。
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