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2010年10月11日
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 (天保十二年)十二月十五日           桜町 二宮金次郎
浦賀  宮原治兵衛様 同瀛洲様 橋本与三衛門様

追つて申し展(の)べ候。近代世上一統華美柔弱に相流れ、古人の金言などのかたき物を、よくかみしめ、深く味わふもの鮮(すくな)し。つらつら根元を案ずるに、今眼前その表前後の海底より釣り出し候大魚は勿論、小魚といへども、切りきざみ、煮焼き致し候てこそ、日用食物、人命の助けとも相成り申すべく候。況や千歳の昔、異国より来り候大学論語などは、天下国家を治めるの大徳備はわり居り候へば、肉も多く、身も多く、定めて大ひなる骨も之有るべく候につき、なかなか以て諸人もてはやすのみにて、丸呑みには相成り兼ね、年久しく店ざらし同様相成り居り候古もの、一両句見つけ、こけをふき、皮をはぎ、筋も骨もとり、平生日用に人々相用ひ候平かなにて、賎女(しづのめ)、賎男(しづのを)が、うす挽きうた同様あるいは老人、又は女小児(をんなこども)にも呑み込み、食ひ安く仕立て、御試しの為少々差進じ申し候につきご賞味下さるべく候、その外神儒仏の三味悟道即席ご料理なども、是又数年天地の間に借地仕り、人様の厚きお世話を蒙り、渡世仕り居り候間、右報徳の為めお望み次第、案外お安く差上げ申すべく候につき、早々お越しお求め、お施し下され候はば、御地三崎辺り、この節不漁の由、窮民の一助にも相成り申すべく候
以上

尚々寒威甚しく、折角お厭いなさるべく、隔通にて申し展ぶべきのところ、取り込み故、略儀の段ご用捨下さるべく候以上

明徳ヲ明ニスルニ在リ。
豊あしのふか野が原を田となして、食をもとめてくろう楽しさ。

民ニ親ムニ在リ。
田をひらき米を作りてほどこせば、いのちあるものみなふくすらん。

至善ニ止ルニ在リ。
田を作り食を求めて譲りなば、いくよへるともこれに止まる。

学ンデ時ニ之ヲ習フ、亦悦バシカラズヤ、朋有リ遠方自リ来ル、亦楽シカラズヤ。
蒔(まき)うゑて時々に芸(くさぎ)りたがやせば、しだいしだいに楽しかるらむ。

人知ラズシテ慍ラズ、亦君子ナラズヤ。
姿こそ深山かくれに苔むせど、たにうちこゑて見ゆるさくら木。

至誠之道、以テ前知スベシ、国家将に興ラントスルヤ、必ズ禎祥有リ、蓍龜(しき)ニ見ハレ、四体ニ動ク、故ニ至誠神ノ如シ。
北やまは冬気にとじて雪ふれど、ほころびにけり前の川柳(かはやぎ)。

湯之盤ノ銘ニ曰ク、苟(まこと)ニ日ニ新ニシテ、日々ニ新ニ、又日ニ新ナリ。 いにしへのしろきヲ思ひ洗濯の、かへすがへすもかへすがへすも。

故(ふる)キヲ温(たづ)ネテ新シキヲ知ル。
故道(ふるみち)に積る木の葉をかきわけて、天照神の足跡を見ん。

色(しき)ハ空(くう)ニ異ナラズ、空ハ色ニ異ナラズ、色即チ是レ空、空即チ是レ色、受想行識、亦復是ノ如シ。
春は花秋は紅葉と夢うつつ、ねてもさめてもあり明の月

天何ヲカ言ハンヤ、四時行(めぐり)、百物生(な)ル、天何ヲカ言ハンヤ。
声(おと)もなく臭(か)もなく常に天地(あめつち)は、書かざるけふ(経)を繰りかへしつつ。

正直ハ一旦ノ依怙(えこ)ニ非ズト雖モ、終ニ日月ノ憐ヲ蒙ル。
丹誠はだれしらずともおのづから、秋の実法(みのり)のまさるかずかず。

赤子ヲ保スルガ如ク、心誠ニ之ヲ求ムレバ、中(あた)ラズト雖モ遠カラズ、未ダ子ヲ養フコトヲ学ンデ后ニ嫁グ者アラザル也。
をのが子を恵む心を法(の)りとせば、学ばずとても道にいたらん。

一 その表各ご一統、旧弊をお改め成され、窮民撫育の趣法御取行ひ成され候については、ご綿服ご着用と存じつき、差上げ申したく、ご逗留中相調へ置き候ところ、何分驕奢の残気相退きかね、余儀無く延引仕り置き候へども、ご出立後憤発致し、当所の産真岡(まうか)木綿五反差進じ申し候ところ、早速お用い下され、本懐の至りにござ候。右晒(さら)し木綿ご着用成され候はば、ご入用次第又又差遣し申すべく候。さて又御地名産の?(はしり)鰡(ぼら)沢山、ご老母様初め、ご一同よりご送恵下され、一方ならずご深志千万忝く賞翫、尚それぞれへも差遣し、一同大悦仕り候。然しながらご誠心に甘へ、このまま相流れ候ては詰り驕奢に陥り申すべく候につき、以来の儀は堅くお断り置き申し候
一 色紙短冊、この辺り所々相尋ね申し候へども相整ひ兼ね、有り合せいろいろ取交ぜ相認(したた)め差遣わし申し候間、見苦しき段ご免下さるべく候
一 ご逗留中お噂ござ候お国元ご詩作、頂戴仕りたく候間、お序にお恵み下さるべく候以上
十二月十五日   二宮金次郎
宮原治兵衛様 宮原瀛洲様 橋本与三左衛門様



たとえば「明徳ヲ明ニスルニ在リ」は「大学」の最初の文句だということが共通の認識であった。
だから二宮尊徳関連の基本的文書を読み進めるには、そうした本の読解が不可欠な面がある。

ただ学問的に深入りし、研究することが目的ではなく、いつでもどこでも誰でも報徳の基本的文書にアクセスし、それぞれが自ら考え、実践する一助ともなれば幸いである。






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最終更新日  2010年10月11日 16時38分30秒


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