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2006年01月29日
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今朝、なんぞの番組で今までの教育は

子供に権利ばかりの教えて、義務を教えていないとか誰ぞがいって

おりました。

ライブドアの堀江氏。なぜすべでお金、ではならないのか?

自分の子供に問われたら、どうかえそうかなぁ。とふと考えました

そこで今日は、また山岡氏から引用させていただきます。


家康がまだ幼少(竹千代)時代、織田家から今川家へ人質交換で駿府へ行き、
今川家の長老、 大原雪斎 から初めての訓育を受けたときの話です。




雪斎 竹千代 に期待するものは人間として愛情以上に、法弟としての武将なのである。いや、もっと語を強めて言うならば、それは仏心によって新しい秩序をもたらす、一大政治家であり、救世の聖将なのである。

「よかろう。では今日は手習い初めに入ろうかの」
「はい」

「竹千代は孔子という古い聖(ひじり)を知っているか」
「はい。論語の孔子さま」

「そうじゃ。その方の弟子に子貢(しこう)という人があった」
「子貢....」

「そうじゃ。その子貢があるとき、政治とは何でしょうかと孔子に尋ねたとき、孔子はこう答えられた....よいか。およそ国家には食と兵と信とがなければならんとな」

竹千代 は円い肩を堅くして、じっと 雪斎 を見上げている。それは知識に飢えた燐光をやどした目であった。 雪斎 竹千代 の身辺に、いい加減な教育者のいなかったことの感謝と哀れさを覚えながら言葉を続けた。

「すると子貢はまた質問した。よいか。何かの都合で国家がその3つを備えられない場合には、どれを捨てたらよいでしょうかと」

「食と、兵と信の中の....」

「そうじゃ。食は食べ物。兵は武備。信は人々の間の信じ合いとでも言うか。お許の松平家を例に取るならば、家中の士の間にそれがなくば、とうに崩れ果てていたであろうて....」

雪斎 はそういうと、また食い入るような 竹千代

「そこでお許の考えから先に聞こうかの。子貢のその3つが、ある事情でそろわないときには、まず何を捨つべきかという質問が、お許に向けて発されたとすると、お許はなんと答えるか」

「食と兵と信....?」

竹千代 はもう一度口の中でつぶやいてそれから探るような表情で、

「兵.....」と答えた。

雪斎 は意外な答えを得たおどろきで、またしばらく 竹千代 をながめやった。当時、大人の常識では武備こそ第一、武備は常にすべてにまさると考えられているときだった。

「なぜ兵を捨てるかの?」

「はい」と、 竹千代 は小首を傾げて考えて、

「3つの中では兵が一番軽いかと....」
いいかけて、今度は何か思いついたらしく、

「人は食べ物がなければ生きられませぬ。が、槍は捨てても生きられまする」

「ほほう!」

雪斎 はわざと驚いたように眼を丸くして、
「孔子も竹千代と同じことを答えられた。兵を捨てよとな」

竹千代 はニコリとしてうなずいた。

「ところが子貢はまた尋ねた。後に残った2つのうちまたどうしても1つ捨てねばならぬときが来たら、そのときは何を捨てたらよろしいかと。竹千代ならばなにをすてるの?」

「あとは食と信....信を捨てまする。食がなければ生きられませぬ」

意気込んで答えると 雪斎 は微笑した。

「竹千代はひどく食にこだわるの。尾張で腹をすかせた覚えがあるな?」

「はい、三之助と善九郎と....腹がすくと、みんな、機嫌悪く、あさましゅうなりました」

雪斎 はうなずいた。子供3人捕らわれの身の不自由さが目先に見えるようだった。

「して、そのときに、何か食べ物が手に入るとお許はそれをどうしたな?」

「まず三之助に食べさせました」
「その次には」
「竹千代が食べました。善九郎は竹千代が食べぬうちは食べませぬゆえ」

「ほほう、善九郎は竹千代が食べぬうちは食べなかったか。」

「はい。でも、それからは三之助も食べませぬ。善九郎のまねをしました。それゆえ、その次にははじめから3つに分けて、竹千代がまず取りました」

雪斎 は微笑しながら何かに祈りたい気持ちになった。この小さな政治家が、空腹を前に真剣に考えている姿が、ここでも目先にうかんで来る。

「そうか。それはよいことをした。竹千代のやり方は正しかった。が.....孔子は子貢にそう答えなかったぞ」

「すると、食を捨てよといわれましたか」

「そうじゃ。食と信2つのうちでは、まず食を捨てよといわれた」

竹千代 は首をかしげて、

「食を捨てて国がある.....それは孔子さまのお間違えでは」
と低い声で探るようにつぶやいた。

「竹千代」
「はい」

「これはのう、この次までお許にゆっくり考えてもらおうよ。なぜ孔子が食より信が大切かといわれたか」
「はい。かんがえまする」

「が、その考えのもとになること....それはお許の話にもすでにあったの」

竹千代 は不審そうに 雪斎 を見返して、また右に左に首をかしげた。

「竹千代ははじめの時には三之助にまずやった。そして善九郎にもやったが、これは竹千代の食べないうちは食べなかったと申したな」
「はい」

「善九郎はなぜ食べなかったのだろうか。そしてその次には三之助もまた善九郎の真似をしたと申したの」
「は....はい....?」

「三之助はなぜ善九郎の真似をしたのか?それがお許にはわかるかな」
「さあ....?」

「その答えはこの次までにゆっくり考えて参るとして、わしの考えだけはいってみよう」

「はい」

「はじめ三之助は、まだ幼かったゆえ、竹千代にみな食べられて自分の分はなくなるかも知れぬ....と、そう思うたのであろう」

竹千代 はまばたきを忘れた顔でこくりとした。

「ところが善九郎は、竹千代が一人でみな食う人ではないことを知っていた。竹千代を信じていた。信があったゆえ、竹千代が食べねば食べなかった....」

雪斎 はそこで言葉を切って、自分の眼光が 竹千代 の年を忘れて、雲水をたたくときの、きびしさに変わっていくのを意識した。

「そしてその次には、三之助もまた、竹千代を信じてきた。黙っていても、後になっても一人でむさぼる人ではないと悟ったのだ。三之助は善九郎の真似をしたのではなくて、竹千代を信じ、善九郎を信じたのだ。よいかの、信があるゆえそのわずかな食は活きたの。3人の命をつなぎ得たの。ところが、その信がなかったらどうなってゆくと思うのか....」

雪斎はそこで再び眼をなごめて、

「善九郎が一人で食べたら後の二人は飢えていく。竹千代が一人で食べても三之助が一人で食べても同じことじゃ。だが人と人の間に信がなくなると、活用すれば三人とも飢餓を逃れたその食が、三人の争いの種となり、かえって三人を血みどろの切り合いに誘い込まぬものでもない」

そこまでいうと 竹千代 はポンと自分の膝をたたいた。いつか体は文机の上に乗り出し、眼は満月のように見張られている。

雪斎 は、しかし、すぐに竹千代の答えを聞こうとしなかった。

「よいかの。学問に早合点は禁物じゃ。この次までゆっくり考えての」
「はい」

「信じあう心......というよりも、信じあえるがゆえに人間なのじゃ。人間が作っているゆえ国というが、信がなければ獣の世界....とわしは思う。獣の世界では食があっても争いが絶えぬゆえ生きられぬ....さ、今日はこれまで。尼(祖母の源応尼)どのと一緒に戻ってな、諸将に回礼するがよい」

「はい!」

と、答えたが、 竹千代 の姿勢は以前のまま。 雪斎 は手をたたいて、次の間に待っている源応尼を呼び入れた。


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参考 山岡荘八・徳川家康2巻/相寄る者より

*この書き込みは営利目的としておりません。
個人的かつ純粋にに一人でも多くの方に購読していただきたく
参考・ご紹介させていただきました。m(__)mペコリ





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Last updated  2006年02月21日 09時43分08秒
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