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じんさん0219 @ Re[1]:(σ・∀・)σゲッツ!!(07/14) 大悟の妹☆さん >“大悟”ですけどねー(  ̄▽…
大悟の妹☆@ Re:(σ・∀・)σゲッツ!!(07/14) “大悟”ですけどねー(  ̄▽ ̄)
じんさん0219 @ Re:日本代表残念でしたね(o>Д<)o(06/15) プー&832さん 覚えとりますよ。 プーさん…
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じんさん0219 @ Re[1]:たどりついた...民間防衛。(02/07) たあくん1977さん >どうもです。 > >こ…
2008年01月31日
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すでにそのころには、秀吉の関白色は決定的となり、勅使が立つばかりになっていたし、豊臣の新性もすでに選ばれて内々には決まっていた。したがって、家康の死というようなことがあったら、一も二もなく秀吉の矛先は向きを変えて来たに違いない。

すでに彼は富山の佐々成政を討つために、万全の備えで兵を整えていたからであった。

家康は二十八日はじめて床の上に起き直ると、

「わしの病を大坂方では知っているかのう」
と、真っ先に数正にただしていった。

「知られておりませぬ。その証拠に.....」

数正が身を乗りだして、秀吉から、家老二、三人を清洲まで人質に出すように言って来たことを告げてゆくと、

「ほう」いかにも不審に耐えぬといった表情で、まだ鉢巻しめたままの首を傾げた。



「はい。両人とも、殿の病気を、はじめから仮病と思い込んでいる様子で。案外あっさりと引き揚げて行きました」

「それはまた奇妙じゃ。よし、こなたはすぐに岡崎へ戻っての、お申し出のことは、家康心外に思うと手紙を出してやるがよい」

「心外に思う.....と、仰せられますると」

「わしが佐々成政を近づけたのは、決して彼に謀反を強いるためではない。天下のために大きく眼を開いて、早く秀吉に降るようにとすすめたのじゃ。その証拠は、秀吉ご自身、富山をお攻めなされてみれば分かること、佐々は、それがしによく説かれているゆえ、さしたる抵抗もなく降るであろうと申し送るのじゃ」

「そ.....そ.....それは、真のことでござりまするか」

「おう、何で偽(いつわ)りがあろうぞ。また、家康が、根来の残党どもを召抱えたのは、こうした者どもをあちこちに散らしては、またどこかで騒動のもと.....そう思うて、わざわざ我が家に繋いだものじゃ。いずれも秀吉が天下平定の志を助けようための配慮.....それでもなお、重臣両三人の人質を出せと仰せられるか.....家康は、秀吉が心次第にて、天下のためを忘れた動きなど、寸毫(すんごう)もするものではないと申し送ってやれ」

数正は、一瞬呆然として病み疲れた家康の顔を仰いだ。

生まれて初めての大患で、家康は秀吉との尖(とが)った対立から抜け出し得たというのであろうか.....?

数正は自分の身辺に立ち込めた不快な雲が見る間に新風に吹き払われてゆくのを感じた。

「天下の平定.....」

その時代の目的のために、両雄がもし心から溶けあい得たら、それはもはや、成し遂げられたも同然ではないか。



つい嬉しさが、弾(はず)む答えや動作に出た。

家康はそれを柔いだまばたきで見送って、数正が退ってゆくと、すぐ酒井忠次を呼んだ。

忠次は、作左衛門以上、今では、徳川家の硬派の主柱であった。

***********************************************No.9
参考 山岡荘八・徳川家康第十一巻/大患より



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*この書き込みは営利目的としておりません。
個人的に一人でも多くの方に購読していただきたく
参考・ご紹介させていただきました。m(__)mペコリ





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Last updated  2008年02月01日 12時31分40秒 コメントを書く
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