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大悟の妹☆@ Re:(σ・∀・)σゲッツ!!(07/14) “大悟”ですけどねー(  ̄▽ ̄)
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2008年05月04日
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(思うこととてできないことはないはずなのに)

最後まで戦う相手を自分の中に求めている。真っ正直に、子供のように.....

「上様、光悦も上様のお話で少しばかり眼が開きかけたような気がいたしまする。わが子、他人のこの区別などありようがない。ただ精一杯に磨いていって分(ぶん)に応じて活(い)かさねばならぬ.....しみじみとそれに気がつきました」

「光悦よ」
家康は、再びきびしい眼になって、

「ただそれだけでは少し足りぬぞよ」
「は.....?」

「そうであろうが。わが子、人の子の区別はない.....と、見られるのはそれは公平な天のお眼じゃ」



「人間がみな一様に、天の眼を持てる.....などと考えるのは増上慢(ぞうじょうまん)。それゆえ、天が何ゆえに、その子を両親に預けたか.....よいか、それも父一人ではなく、母一人ではなく、父と母とに子を預けたか.....このあたりに無限の味わいが潜んでいる。よいかの。両親というは決して子供を憎まぬもの.....そうした形に造っておいて、これに託された.....それゆえ、わが子は、人の子よりも愛してよい」

「は.....」

こんどは光悦は、思わずわが耳に手を当て直した。さっきの言葉とは正反対にひびいたからである。

「妙な顔をするな光悦、わしが申したのは、わが子だとて遠慮はいらぬ、天から預けられたものゆえ心おきなく愛すがよい。ただし、それを愛すあまりにかたよってはならぬと申しておるのだ。天の眼からすればわが子も他人の子もこれ等しく同じ愛子(まなご)なのだ。このあたりにものの表裏と悟りがあろう。人はもと一体なり、愚かなもの、小身な者なりともあなどることなかれ.....となろうかの」

「は.....」

「大樹の枝は四方にかたよりなく茂るものじゃ。いや、かたよりなく茂るものだけが大樹になり得るのじゃ。というてもよい。いや、もっとつづめて申せば、諸人を甲乙なく愛する、これが実は、天の定めた誠の道じゃ」

家康はそう言うと、再び笑顔になって、
「これはまたまた家康のわるい癖が出おったぞ。わが身の話ばかりで、こなたの話を聞こうとせぬ。諸人に物を言わせ、能(よ)きことを聞き、これをとって用うるが、実はほんとうの知恵者なのだ。そのほかにかくべつ知恵者などいるものではない。さ、何ぞ珍しい世間話を聞かせてくれぬか」

「恐れ入りました」

光悦は、ホッと大きくため息をして、改めて家康を仰ぎ直した。

「なるほど知恵者というは、人の能き話を聞いて用うるもの.....それに相違ござりませぬなあ」



「これはこれは、そう仰せられると、ついよい気に相なりまする。実は光悦にも上様のお耳に入れておかねば.....そう思うことがあるのでござりまする。」

光悦は、於こうの顔を思い出しながら口を開いた。

***********************************************No.12
参考 山岡荘八・徳川家康第二一巻/巨樹の思案より

つづく

最初から読む



個人的に一人でも多くの方に購読していただきたく
参考・ご紹介させていただきました。m(__)mペコリ





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Last updated  2008年05月04日 16時29分06秒 コメントを書く
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