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8月21日深夜の「プロレスリング・ノア中継」では、8・20後楽園ホール大会の模様が中継されていた。そのうちの1試合、みのる・丸藤正道-本田多聞・KENTAは、本来はみのる・丸藤の9・11愛知県体育館大会でのタイトルマッチへ向けた試運転とも位置づけることもできたろうが、そうした雰囲気はほとんど感じられない。20日の日記でも取り上げたように、シリーズの目玉はGHCタイトルマッチになるが、今週に限っては8・27ディファ有明大会の鈴木みのる-KENTAと言い切って良さそうだ。“もう一人の主役”であるはずの丸藤が完全に脇役に回り、露出度もきわめて控えめになるなど、焦点はみのるとKENTAのにらみ合いに絞られていたのだ。両者とも打撃を自らの特色とするだけあって立ち上がりはキックボクシングのような攻防から入っていったが、2人の最大の(?)特色である「気の強さ」も、試合終了後の乱闘劇で存分に発揮されている。みのるは「1週間後なんて言わないで今ここでやるか」と、きわめてプロレスらしいセリフを吐いたが、そんなセリフすらしっくりくるくらい「気の強さ」が前面に出ていた。
2005年08月22日
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8・27ディファ有明大会で、鈴木みのる-KENTAのシングルマッチが組まれている。8・20後楽園ホール大会のみのる・丸藤-本田多聞・KENTAはその前哨戦として位置づけられていたが、スポーツナビなどのレポートを読むと張り手、キック、エルボーなど打撃技の打ち合いを演じたようだ。みのるはもともと、UWF時代にキックボクシングのチャンピオンだったモーリス・スミスとキックルールで対戦するほどだから打撃も不得手というわけではないだろうし、KENTAも打撃を中心に試合を組み立てている。こうした2人だから、前哨戦が示したとおり打撃技の応酬になることは間違いないだろうが、そのなかでどう2人の個性を味付けしていくか。また、そうした「味付け」を互いにどこまで受け入れるかなど、見どころは多い。
2005年08月21日
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プロレスリング・ノアの新シリーズが始まっている。GHC選手権試合が5つ用意されているが、やはり7・18東京ドーム大会の後に来るテーマづくりへの意気込みが感じられる。それにしても、つい半年前まで“絶対王者”として君臨した小橋建太が絡まなくてもこれだけのラインナップを揃えられる点はノアの強味と言っていい。9・18日本武道館大会で力皇猛-三沢光晴、KENTA-SUWAのヘビー級、ジュニアヘビー級のシングルマッチ、タッグ選手権も8・27ディファ有明大会でジュニアヘビー級の金丸義信・杉浦貴-リチャード・スリンガー・ロウキー、9・11愛知県立体育館大会で鈴木みのる・丸藤正道-斎藤彰俊・杉浦貴、白GHCのモハメド・ヨネ-橋誠も9・11で組まれている。力皇が「四天王との防衛戦」を迎える力皇、「王者」として試合を組みたてることが求められる金丸・杉浦、そして斎藤・杉浦は鈴木・丸藤の異色コンビとどう相対するかなど、新しいテーマはたしかに設定されている。
2005年08月20日
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8月14日深夜は、朝方にかけてG1クライマックスの総集編を放映していた。準決勝2試合、決勝戦のあとは「衝撃試合」と銘打ってこの大会の好カード、好勝負を中心に取り上げていた。最初に流れたのが、8・11愛知県立体育館大会の川田利明-鈴木みのるが取り上げられている。結果は17分11秒、川田の顔面キックが決定打となり、カウント3を奪っている。このシーンに象徴され、また解説の金沢克彦氏が指摘しているように、みのるは終始、あえて川田との「打ち合い」、もっと言えば川田の打撃をあえて引き出すような試合運びを見せた。そのなかで川田の動きに隙ができればすかさず卍固めやスリーパーホールドなどを見せ、自らの持ち味もしっかり発揮している。それにしても、1・8日本武道館大会での小橋建太戦といい、この試合といい、互いの技を目いっぱい出し合う「四天王スタイル」はみのるの肌に合うらしい。パンクラススタイルという対極を経たからこそその値打ちが分かるということなのだろうか。グラウンド技術でかきまわすみのるも、もっと見てみたい気はするのだが、どんなものだろう。
2005年08月19日
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8・4W-1の様子を、「パソコンテレビGyao」で見ることができる。インターネットで、無料で、テレビでは見られなかった試合が堪能できるのだからありがたい時代になったものだが、ここで取り上げたいのはそのことではなく、ボブ・サップ-ジャイアント・バーナード、グレート・ムタ-曙に見られた1つの技についてである。この2試合のなかで、ボブ・サップと曙がそろって丸め込み技のスクールボーイを見せている。背後から腕を相手の股に通し、後ろに引き倒すようにして上にのしかかってカウント3を奪うものだ。いずれの試合も解説は高山善廣が務めていたが、両者ともに「もっと体重を乗せてのしかかれば首をへし折ることもできる」と指摘している。こうした丸め込み技はどちらかというと隙を突いたり、あるいは敏捷性を発揮したりと「瞬間芸」的な印象が強かったが、たしかに200kgの巨体を利用すれば、これは十分、破壊技になりうる。巨体をかぶせるという発想自体はきわめて地味だが、これほど身体的特徴を引き出せる技もあるまい。とくに曙はセカンドロープからのヒップドロップも満足に打てない状態なのだから、こうした技は有効になろう。この技をきちんとこなせるようになれば、それだけで「曙」なり「ボブ・サップ」なりのプロレスラーとしてのセールスポイントができるのである。プロレスの懐の深さを感じさせるではないか。
2005年08月18日
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8・4両国国技館大会のW-1で話題となった一戦、秋山準-柴田勝頼を、「パソコンテレビGyao」で見ることができた。見た画面はA4サイズのノートパソコンとけっして「大迫力的画面」というわけにはいかなかったが、それでもこの一戦がかもし出していた雰囲気はよく伝わっていたように思う。現場は、それこそ「かつての新日本プロレス」を思い起こさせる雰囲気だったに違いない。結果は13分46秒、秋山がエクスプロイダーを連発してカウント3による勝利を収めているが、柴田の持ち味、また現時点での短所が顔をのぞかせた内容だった。その背景に、柴田の体重「102kg」があったことはまちがいない。実際、画面で見比べても体重110kgの秋山との体格差は明らかだった。この絞り込んだ体重によって打撃技は切れ味が増し、秋山を追い込むシーンを演出するほどだったが、グラウンドや投げ技になるとやはり分が悪くなってしまった。ナガタロックの掛け合いではそれが端的に表れている。柴田が秋山の首をあまり曲げられなかったのに対し、秋山のほうは柴田の首をねじ切らんばかりにへし曲げていた。終了間際は投げ技合戦も展開されたが、やはりここでも秋山、というよりプロレス的な体力に根負けした感がある。解説の高山善廣も指摘していたが、総合格闘技なら問題にならない、と言うより最適であろうこの体重が、プロレスではあだになったと言っては言い過ぎか。ただ、やはりこの試合はまちがいなく「柴田色」だったし、それに秋山を引き込んだ柴田の力量は評価されていい。
2005年08月17日
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新日本プロレスのG1クライマックスでとくに話題性の高かった一戦が、準決勝で実現した藤田和之-川田利明である。戦前は試合が成立するかどうか心配になるほど両者のスタイルには隔たりがあるように思えたが、いざ相対すると「レスリング」を土俵として互いの意地の張り合いが見られる好勝負となった。結果は6分23秒、藤田のヒザ蹴りが川田の顔面にヒットし、3カウントを奪っている。テレビ解説の山崎一夫氏が指摘した、川田の打撃と比べ藤田のそれはいちいち的確で、その差が勝敗を分けた、とする勝因分析は説得力があろう。ただ、グラウンド勝負はほぼ互角と言ってよく、とくに川田の「レスラー」としての意地がうかがえた。試合序盤、片足タックルからのバック取りこそ許したもののすぐに藤田の腕を取ってきめにかかり、中盤でのフロントネックロックも藤田のあごの下にしっかり腕が入るなど、藤田のそれに引けを取らない迫力を見せていた。藤田のほうもそれを技術でなく、自らの特徴である「パワー」をもって脱出してのけた。「意地の張りどころ」を心得た両者の対決は、やはり見応えがある。
2005年08月16日
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新日本プロレスのG1クライマックス最終日、8・15両国国技館大会で組まれた準決勝戦、蝶野正洋-中邑真輔は、「プロレス」と「格闘技」の求めるテーマの違いを際立たせる一戦となった。中邑は試合後、「何が足りない」と記者に逆取材したそうだが、試合の中にこそそのヒントは示唆されている。すなわち、試合をコントロールする力とでも言うべきものである。序盤のレスリング合戦に始まり場外での攻防、打撃の打ち合いに至るまで、終始蝶野のペースで進んでいた。たしかに中邑も攻め立てるシーンはあったが、常に蝶野が先手を打ち、それを切り返すという形で、ついに中邑が主導権を握ることはなった。中邑はIWGP奪取劇でも見せたように一瞬の切り替えしについては抜群のセンスを発揮しているが、「試合を組み立てていく」力についてはまだ発展途上のように思われる。格闘技であれば結果を出せばその前の過程が問われることはないが、プロレスではしばしばその逆が起こりうる。たしかに相手が蝶野ということも差し引いて考える必要はあるだろうが、もし今後中邑がプロレスの舞台での飛躍を考えているのなら、こうした主導権争いを制する技量を身につけることは必須だろう。この点、「新・三銃士」のライバルだった柴田勝頼は秋山準、長州力とのシングル戦で、堂々「柴田スタイルのプロレス」に引き込んでいる。「キャリア」だけで説明のつく問題ではない。
2005年08月15日
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新日本プロレスのG1クライマックス決勝戦、蝶野正洋-藤田和之の模様が、8月14日深夜というか15日早朝に、テレビ中継された。試合は8分52秒、蝶野がシャイニングケンカキック2連発からの3カウントで5度目のG1制覇を果たしたわけだが、結果はともかくそこに至る過程に着目したい。いくら「さまざまなものを背負った」蝶野とはいえ、中身が伴わなければ観客の納得を得ることはできない。そうした勝ち方は、昨年の藤田-佐々木健介での不可解なIWGP王座移動劇がIWGP自体の値打ちを落としたように、G1クライマックスの権威を失墜させることにもなりかねないからだ。まともに藤田とパワー合戦を演じてもそれは「蝶野スタイル」とはいえないし、それで勝ったとしても説得力は伴わない。その意味で、「死んだふり」や場外エスケープ、レフェリーの仲介をうまく使って藤田の猛攻をまともには受けず、シャイニングウィザード、DDT、バックドロップ、STFなどをたたみかけて首への一転集中攻撃を敢行し、最後の2連発への布石を打っていった蝶野の試合運びはさすがと言うべきだろう。もちろん藤田のほうもこの敗戦によってその価値が落ちることはない。この一戦でも蝶野のバックドロップを食っても何事もなかったかのように立ち上がったり、裏STFをあっさりはずして見せた場面はその象徴だった。技のかけ方が甘ければ、それに付き合う必要はない。この藤田の姿勢を新日本がどう受け止めるかは、蝶野のG1制覇以上に興味深いテーマである。
2005年08月14日
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新日本プロレスのG1クライマックスが大詰めを迎えている。8・13両国国技館大会では、藤田和之-中邑真輔の「Bブロック1位決定戦」が組まれていた。この大会期間中、藤田は新日本勢の戦いについて罵倒し続け、それに中邑が反発するという図式が描かれている。それだけに藤田の「格闘技スタイル」に中邑が「プロレススタイル」でどう立ち向かっていくか、と注目していた。ところが、いざ観てみると藤田が「プロレス」、中邑がむしろ「格闘技」風の試合運びを見せていた。序盤こそ両者とも「様子見」の姿勢が目立ったが、試合は5分を過ぎると中邑が飛びつき式の腕ひしぎ十字固めで攻めたて、一方の藤田はボディスラム、スパインバスターや膝蹴りなどで「パワーの差」を見せつけていく。しかも、藤田の膝蹴りはかつての永田裕志戦や棚橋弘至戦で見せたような脳天にぶち込むのではなく、主にわき腹を攻めるものだった。格闘技戦のようにKO狙いというより、あくまで相手の心を折り、制することに重きを置くような展開だった。フィニッシュは6分25秒、藤田が中村の胸板への膝蹴りからえび固めにつないでカウント3を奪っている。このえび固めがまた強烈で、たとえその前段の膝蹴りがなくても中邑はかえせないのではないかと思わせたほどで、体重を使い、また逃げ道をうまく塞ぐようポジションを取ったみごとなものだった。他の格闘技にないプロレスならではのルールとして、「相手を制する」カウント3が挙げられる。もし藤田がこれを前提として頭でなく、胸板をねらい、かつあのような猛烈なえび固めを見せたのだとするなら、藤田の「プロレススタイル」はもはや完璧な形で確立されたと言ってよく、新日本の他のレスラーも悠長に「よそ者扱い」している場合ではなくなる。
2005年08月13日
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W-1を開催したビッグマウスが新団体を旗揚げするという。上井文彦氏によれば、プロレス一本の団体にしたいという。たしかに、東京スポーツなどで載っている記者会見のレポートを見るかぎり、「プロレス風」のたたずまいをかもし出している。社名の「株式会社BIG MOUTH ROUD」は許容できるにしても、代表取締役に村上和成が就任したことに驚く。おまけに、記者会見でも「いつもの顔」を披露しているのだ。第1戦は9・11後楽園ホール大会で、その第1試合は藤原喜明-木戸修と発表された。上井氏はビッグマウスを発足させて以降、「かつての新日本」が体現していたプロレスの復興を唱えてきた。しかしW-1はグレート・ムタ-曙がメインイベントを飾るなど、そのコンセプトを100%体現できたとは言いがたい。その一因として、「規模が大きくなりすぎた」ことも指摘できよう。イベントの規模が大きくなればそれだけさまざまな立場の利害を調整するのは当然で、それが時として妥協を伴うこともまた確かだ。その意味で、他の諸々をそぎ落としたこの団体こそ、上井氏の理想を現実化しやすいサイズなのかもしれない。そのことは「前田日明を『キャプチュード』で入場させる」という発想が受け入れられたことにも表れている。
2005年08月12日
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新日本プロレスのG1クライマックスも終盤に差し掛かっている。公式ホームページで「選手の疲労もMAX」とあるが、それだけに他のさまざまな話題が削げ落ち、「プロレス色」がいっそう濃くなりつつあるように思われる。8・10ツインメッセ静岡大会の結果を見ると、そう感じてしまう。前半戦はそれほど目立っていなかった“夏男”の異名をもつ蝶野正洋が川田利明を沈めて徐々に存在感を発揮しはじめ、中邑真輔は矢野通戦で「両者リングアウト」というまさにプロレスならではの結末でリーグ戦全勝の可能性がなくなった。そして、吉江豊の巨体と相対した藤田和之はフランケンシュタイナーからの腕ひしぎ十字固めでフィニッシュを奪っている。本人が「ちょっと驚いた」とコメントしているように、これまでのパワーを前面に出した戦いぶりも変更を余儀なくされたようで、むしろスピードを駆使した攻めに切り替えたように見える。いろいろ言っても、相手の特色に合わせて自分のスタイルを変えられる。そんな柔軟性を藤田も持ち合わせているのだ。
2005年08月11日
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W-1でプロレスデビューを果たした曙が、全日本プロレスへ参戦することが決まったという。日刊スポーツインターネット版によると、21日からの巡業にも帯同するなどかなり「やる気」になっているらしい。プロレス団体はいくつもあるが、今回の「全日本」という選択は曙自身にとっても賢明と言えよう。プロレスリング・ノアはなまじ完成度が高いために曙が分け入っていくにはかなりの時間がかかるだろうし、新日本も藤田和之を中心に格闘技風のスタイルを志向しようとしている。そして、両団体に共通して指摘できるのが、超大型レスラーの魅力を引き出せる選手が、じつはそれほどいない点である。ノアはベイダーを持て余し気味だったし、新日本もスコット・ノートン以降、これといった大型レスラーは出現していない。ジョシュ・バーネットはたしかに大きいが、体格で勝負するというよりは総合格闘技で磨いた技術が特徴の選手である。その点、全日本はそうした大型レスラーが続々とリングに上がり、その巨体を存分に生かしたプロレスを披露している。ジャマールやジャイアント・バーナードが、ノアや新日本で現在のような活躍を見せられるかといえば、少々疑問だ。曙も同様である。横幅はともかく、体格面でも引けをとらないレスラーも少なくないだけに、曙の暴れっぷりに注目したい。
2005年08月10日
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新日本プロレスのG1クライマックスは8・8横浜文化体育館大会で前半戦を折り返した。天山広吉、蝶野正洋、藤波辰爾、川田利明らベテラン勢で構成されるAブロックは大混戦、藤田和之のほか中邑真輔、棚橋弘至ら“新日本生え抜き”が揃うBブロックは藤田、中邑が勝ち点8で抜け出している。出場選手の「格」を考えればほぼ順当とも言え、藤田は試合時間が3試合合計で16分にしか達しない一方で、西村修は初日の対鈴木みのる戦で30分フルタイムを戦い抜いている。独特の試合リズムをもつケンドー・カシンも川田のストレッチプラムを丸め込んでカウント3を奪うなどしっかり存在感を発揮している。それぞれの持ち味をより発揮した選手が好成績を収めている点も指摘するべきだろう。その意味で、Aブロックの混戦とBブロックの二極化は示唆的である。Bブロックは13日に直接対決を迎える藤田、中邑の戦いぶりがクローズアップされるだろうが、そんな彼らと対峙する棚橋、中西学、吉江豊、矢野通、後藤達俊らにとってもまた意地の見せ所である。
2005年08月09日
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今年のG1クライマックスの見所として、藤田和之の試合スタイルがどう大会に影響を及ぼすか、を挙げた。IWGPヘビー級王者として大会の中心的存在になることは予想できたが、それにしても試合時間が短い。そうした試合運びを意識したのかどうか、中邑真輔の試合も短くなりつつある。8・7大阪府立体育会館大会での棚橋弘至戦は13分35秒、8・8横浜文化体育館大会の対後藤達俊戦は6分11秒。藤田顔負けである。藤田の格闘技スタイルへの対抗馬としてその筆頭に挙げられるのは、やはり中邑といったところかもしれない。また短い時間でもそれだけ「濃い」試合を見せてもらえれば、それはむしろ歓迎すべき傾向といえる。
2005年08月08日
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8月6日深夜の「ワールドプロレスリング」で、7・18月寒グリーンドーム大会でのIWGPヘビー級選手権試合、天山広吉-藤田和之を見ることができた。藤田が3度目の戴冠を果たした一戦だが、藤田が天山の繰り出す技を思いのほか受けた、という印象が強い。モーションの大きいモンゴリアンチョップ、アナコンダバイスなどをすかすこともなく受け、そのうえで自身の得意技であるフロントスリーパー、わき腹へのヒザ蹴りを繰り出している。勝負時間は13分59秒と、プロレスの試合時間としてはけっして長くはないが、藤田なりにプロレススタイルに適応した結果と推し量ることもできなくはない。5・10東京ドーム大会で天山と対峙した藤田は、「挨拶代わりの一発」としてエルボーやパンチでなく、ボディスラムを見舞った。ヨソ者として格闘技一辺倒スタイルを展開させているだけでない藤田の試合運びは注視すべきであろう。
2005年08月07日
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8・4福岡国際センターで幕を切った新日本プロレスのG1クライマックスだが、藤田和之の参戦によってこれまでとは違ったテーマを見ることができる。すなわち、新日本のプロレススタイルそのものが問われているのだ。8・4の対後藤達俊では、3分19秒フロントスリーパーで勝負を決めているが、内容でもタックルで吹き飛ばし、後藤の必殺技であるバックドロップをカウント1で跳ね返し、フロントスリーパーで攻め立てるなど、“秒殺”スタイルを志向しているようだ。アントニオ猪木がかつて見せたような60分フルタイム戦い抜くストロングスタイルや長州力が見せたハイスパートレスリング、あるいは闘魂三銃士らが見せたスタイルとは明らかに異なる。7月29日の日記で、G1クライマックスの日程が藤田のスタイルにどう影響を与えるかは注目、と提起したが、逆のこともまた言える。すなわち、“藤田スタイル”がG1クライマックスをどう彩っていくか。新日本の行く末を考察する上で、外すことのできないテーマとなりつつある。
2005年08月06日
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新日本プロレスのG1クライマックスが、8・4福岡国際センターで開幕した。藤田和之、川田利明といった注目選手がそれぞれ好発進を飾ったようだが、それ以外の選手もそれぞれ持ち味を発揮しているらしい。「東京スポーツ」(8月6日付)が、中邑真輔-中西学の1シーンを掲載している。中邑が中西の右腕にぶらさがるようにして腕ひしぎ十字固めをきめている。中邑のほうは中西のひじを自分の付け根に当て、テコの原理がきちんと働き、中西の関節がきまるようにとらえている点はさすがだし、またタップしたとはいえ、そんな危ない角度での腕ひしぎ十字固めを受けた中西も「らしさ」を十分披露したといえる。体重100kg以上の人間による「ぶらさがり腕ひしぎ」をケガなく受けられるレスラーなど、中西以外はちょっと考えにくい。
2005年08月05日
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W-1の8・4両国国技館大会の「グランプリ」トーナメント1回戦は、結果だけを見ればとくに波乱や番狂わせが起こることもなく、「順当」とも言える選手が2回戦に駒を進めた。ただ、それと同時に過酷な現実も突きつけられたことに着目したい。長州力-佐々木健介のことだ。勝負タイムは6分10秒、健介が圧勝したという。しかも繰り出した技がヒップアタック、アックスボンバー、監獄固めなど2人に“ゆかり”のある技である。この一戦に対する健介の怨念をうかがえそうな技の数々だが、裏をかえせばそうした技を出す「余裕」が健介にあったということをも示す。かつての長州と健介の関係を考えると、時間の流れを感じさせるに余りある。
2005年08月04日
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全日本プロレスの7・26国立代々木競技場第二体育館大会の三冠ヘビー級選手権試合、小島聡-武藤敬司の模様が、専門誌などでレポートされている。26分37秒、ラリアートからの体固めで小島が防衛を果たしたという。蝶野正洋や佐々木健介、あるいはジャマールやジャイアント・バーナードといった“団体外”の選手がリングを彩ったが、「メインイベント」に団体内の選手によるシングルマッチを据えた点は、全日本の力量として評価されていい。内容もまた、その「地位」にふさわしい、トップレスラー同士の駆け引きに満ちたものだったらしい。そう思わせたのが「週刊プロレス」(1274号)が伝える試合冒頭の攻防だ。出会いがしらに武藤がドロップキックを放つ奇襲策を放ち、主導権を握るも小島はシャイニング・ウィザード一発で試合の流れを自らにたぐり寄せたという。出す技といい、そのタイミングといい、見事である。ただの技の交換でない、一級の「プロレス」が垣間見える。
2005年08月03日
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8・4両国国技館大会から始まるW-1だが、グランプリトーナメント1回戦の顔ブレを見ると、良くも悪くもバラエティに富んだ取り合わせと言える。曙やボブ・サップなど、ほとんど「プロレス未経験」の選手、柴田勝頼のような新進気鋭の若手、秋山準、佐々木健介といった脂の乗り切った中核、そしてグレート・ムタ、天龍源一郎、長州力といった「重鎮」もいる。これだけのバラエティ豊かな顔ぶれが一度に揃ってしまうのもプロレスの魅力、と言えばそれまでだが、ムタ-曙に、前田日明や上井文彦氏が掲げる殺伐としたプロレスを期待するのは難しい。今後、W-1がどの方向に進んでいくのかはわからないが、いずれにせよ「上井色」あるいは「前田色」が鮮明になるのは次回以降と考えたほうがいいのかもしれない。もちろん、だからと言って8・4両国大会の値打ちが下がるということはない。一つのイデオロギーに染まらない、ありのままのプロレスを楽しむ好機とさえ捉えられる。
2005年08月02日
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7月31日深夜の「プロレスリング・ノア中継」では、7・18東京ドーム大会の小橋建太-佐々木健介を放映していた。テレビ中継の利点として、選手の細かな動きをじっくり見ることができることを挙げることができるが、この一戦でもその利点を活用できるシーンに出会った。試合中盤、健介がストラングルホールドγをかけた場面のことだ。ストラングルホールドγは、もともとは相手の腕をきめつつ首も足をテコのように使って前方へ折り曲げるというえげつない技だが、ここでは解説の高山善廣が指摘したように、腕はきまっていない。したがって首を曲げ、呼吸しづらくさせることだけが達成されていたことになる。ただ、5分以上にわたってチョップ合戦が繰り広げられた試合の展開を考えると、関節技で一本をとったところで観客が喜んだとは思えない。その意味で、腕がきまらなかったのは「ケガの功名」とでも言うべきものなのかもしれない。すなわち、「相手の鍛え抜かれたところだけを攻める、ピュアレスリング」がまちがいなく展開されていたのだ。もっとも、かけられた小橋はすぐにロープエスケープを試みている。やはり、効いていたのだろう。
2005年08月01日
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8・4W-1両国国技館大会は、曙や秋山準の参戦、長州力と佐々木健介の遺恨対決と話題に事欠かないが、天龍源一郎-村上和成、ドン・フライ-諏訪間幸平などの一戦もかなり注目していいカードだ。天龍-村上などは、かたや齢50過ぎにしてビール瓶で相手の頭を殴り、かたや白目をむいて相手に突っかかる「無効試合上等」スタイルを持ち味とする。尋常ならざる組み合わせというほかない。ここで技術論を云々するほど野暮なことはないだろう。前田日明はこのイベントにスーパーバイザーとして名を連ねている。7月30日付東京スポーツに掲載されているインタビューで前田は天龍が出場する意義を盛んに述べているが、このカードが表現するであろうテーマに思いを巡らせると、前田がプロレスに何を期待しているか、その一端が想像できそうな気がする。
2005年07月31日
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7月30日、東京の青山葬儀所で、故・橋本真也の「プロレス界・プロレスファン合同葬」が営まれた。新日本プロレスで「闘魂三銃士」としてしのぎを削った蝶野正洋、武藤敬司をはじめ、小川直也、大谷晋二郎といった新日本を離れてから苦労を分かち、リングを盛り上げた面々、さらにはプロレスリング・ノアの三沢光晴、小橋建太の姿も見られるなど、まさに「団体の枠を超え」て参加者が集まったようだ。それで思い出したのが、ZERO-ONEの旗揚げ戦となった2000年3・1両国国技館大会だ。この日、ノアや新日本のレスラーが参戦しただけでなくシュートボクシングの試合まで組まれていた。橋本の顔の広さというか、人徳のなせる業、と感じ入ったものだ。圧巻はメインイベント終了後の乱闘で、三沢が小川にエルボーを放ち、その横で秋山が藤田和之に突っかかりそれに永田裕志が割って入るという、ぜい沢なシーンが見られた。皆、橋本のもつ何かにひかれたからこそあの日のリングに上がったにちがいなく、そのことはこの日の合同葬で証明された。
2005年07月30日
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8月4日から始まる新日本プロレスのG1クライマックスに、川田利明が参戦する。当初予定されていたジョシュ・バーネットがコンディション不良のため欠場することが決まり、急遽白羽の矢が立てられたという。参戦すること自体に驚きは感じられなかった。川田自身、全日本にいたころから新日本のリングには上がっているから新鮮味はないし、「全日本系」の参加という観点でもプロレスリング・ノアの秋山準が2004年に準優勝するなど実績つきで名を残している。そうした話題性より、川田の参戦によって実現す試合の内容に注目したい。永田裕志、鈴木みのる、蝶野正洋、あるいはケンドー・カシンと、川田がエントリーするAブロックはベテラン勢が集中しているだけに「主導権争い」は見ものである。しかも試合時間は30分、かつ10日連続でシングルマッチが続く過酷なトーナメントである。川田のもつプロレスの「深さ」を堪能するための条件は、揃いすぎるほど揃っている。
2005年07月29日
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新日本プロレスの7・18札幌月寒グリーンドーム大会でIWGPヘビー級王座を奪取した藤田和之が、G1クライマックスへの出場を発表した。藤田の本格的なプロレス復帰となるかは不透明だが、G1クライマックスのスタイルが藤田の試合運びにどう影響をもたらすかは注目していい。とにかく藤田の試合は総合格闘技仕込みということもあって、短い点が特徴とさえ言える。天山広吉とのIWGP戦も14分たらず。昨年も棚橋弘至、柴田勝頼などと戦っているが、いずれも11分台で決着している。どちらかというと、瞬発力で勝負している観が強い。そうしたスタイルをもつ藤田が、10日間、ほぼ休みなくシングルマッチを戦い抜くG1クライマックスをどう乗り越えるのか。案外、猛ダッシュのまま駆け抜けてしまうのかもしれないが、藤田の違う側面を期待してみたい気もする。
2005年07月28日
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「週刊ゴング」(1084号)に、DVDが特別付録として封入されている。目玉は、何といっても1990年8・3後楽園ホール大会での橋本真也-栗栖正伸だ。実況中継はなく、金沢克彦氏による解説が流れている。まさに肉弾戦というにふさわしい攻防だ。厳密には「攻攻」と表現すべきで、受身や打たれ強さ、あるいは相手の持ち味を引き出すといった職人技などでなく、どちらの攻撃が上かを競い合う、表題にあるとおりの「喧嘩マッチ」となっている。橋本の身軽さは必見で、初めに繰り出したボディスラムのすばやさに驚く。蹴りのスピード、身のこなしの軽やかさもすさまじく、なるほど「猪木の後継者」と目されるだけのことはあったのだ、と思わせる。もちろん、そうした橋本に真っ向から立ち向かった栗栖の存在があったからこそ、15年ぶりにDVDで紹介されるほどの熱戦になったにちがいない。また一つひとつの技、あるいは仕草についての金沢氏の解説がじつに的確で、なるほどとうならせる。通常のテレビ中継のような「盛り上げ」でなく、純粋な「解説」に徹している点は評価されるべきだろう。「専門誌の付録」ならではの解説スタイルなのかもしれないが……。
2005年07月27日
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プロレスリング・ノアの秋山準が、W-1の8・4両国国技館大会に出場することになった。今年下半期を通じて開かれる「W-1グランプリ2005」のトーナメントにエントリーし、1回戦を柴田勝頼と対戦する。柴田との対戦自体、十分「異色」だ。ただ、他の組み合わせを見ると曙をはじめボブ・サップ、ジャイアント・バーナード、ザ・グレート・ムタに村上一成など、誰と当たっても楽しみな顔ぶれが揃う。それだけ、秋山の異色ぶりが際立っていることの裏返しという気もする。それにしても、“王道”路線を継承するノアの秋山が「異色」に見えるのだから、W-1の立ち位置もまた興味深い。秋山を軸にすると、W-1の特性もなんとなく把握できるかもしれない。
2005年07月26日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会で組まれたタイトルマッチは3試合だが、ベルトの移動が見られたのはGHCジュニアヘビー級選手権試合の金丸義信-KENTAだけとなっている。ただ、その結果をすんなり受け入れられるほど、KENTAの試合運びは見事だった。試合はノアのジュニアらしく、キックの出し合い、コーナーからの投げ技、打撃の連打と両者の見せ所もたっぷり堪能できたが、KENTAの攻めで目を引いたのが、中盤で見せた左腕への集中攻撃だ。金丸がコーナーからのとび技を放つも着地に失敗して左腕を強打したのだが、これを見逃さず腕関節をきめ、踏みつけるなど手を変え、品を変え、集中攻撃を繰り広げた。こうした一点集中攻撃はプロレスならではの醍醐味で、これを続けても観客を飽きさせない“芸の幅”はチャンピオンに求められる資質の1つとも言える。そうしたスタイルをこなせるところを見せたKENTAの王座は、かなり磐石という気がする。
2005年07月25日
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新日本プロレスの7・18札幌月寒グリーンドーム大会ではIWGPヘビー級選手権試合の天山広吉-藤田和之があり、藤田が13分59秒、ヒザ蹴りからの片えび固めで勝利を収めている。昨年10・9両国国技館大会で物議をかもした防衛失敗劇から10カ月たらずでIWGPヘビー級のベルトを腰に巻くことになった。新日本のホームページなどを観ると、立ち上がりこそグラウンドで地味な展開だったようだが、エルボー合戦を見せ、中盤以降はスパインバスターでペースを作り、ヒザ蹴りで勝負を収めている。打撃系の技で試合を組み立てたようだ。スパインバスターを出すあたりにプロレスへの順応性を感じなくもないが、ヒザ蹴りで決着をつけたあたりに総合格闘技の名残りもある気もする。藤田はG1クライマックスへの出場も表明するなど、新日本マットに本格的に腰を下ろす構えを見せるが、スタイルもこのまま貫くのか。それとも、かつてのアントニオ猪木がビル・ロビンソン戦などで展開した「ストロングスタイルレスリング」に変質させていくのか。藤田がどんなスタイルの「プロレス」を見せるのか、新日本の今後を考察する上でも注目する必要があろう。
2005年07月24日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会で組まれたGHCヘビー級選手権試合、力皇猛-棚橋弘至は、やはり現在のノアにおける最高峰の戦いと言える。そう思わせるほど、とにかく力皇の力強さが印象に残る内容だった。試合前半はむしろ棚橋が試合のリズムを作っていたように見えた。ドラゴンスリーパー、ドラゴンロケット、ジャーマンスープレックスと立て続けに(棚橋の考える)新日本風の攻撃スタイルを敢行し、しっかりと存在感を誇示している。ただ、こうした大技の連発にも力皇のペースが崩れなかったのだから驚く。終盤に重量級の技をたたみかけ、最後は無双一撃で仕留めている。前半の棚橋の躍動ぶりから、もう少しペースを乱されているかと推察したが、その見方はみごとに外れた。棚橋の持ち味を引き出すという、横綱相撲的発想で今回のような試合を構成したかどうかは分からないが、結果的にはそうなったかっこうだ。3・1日本武道館大会、初防衛戦となった対斎藤彰俊戦では「内容」についてブーイングが飛んだほどだが、まちがいなく力皇はチャンピオンの風格、実力を身に付けつつある。
2005年07月23日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会で、3大カードの一つとして位置づけられていたのが天龍源一郎-小川良成だが、他の2試合、小橋建太-佐々木健介、三沢光晴-川田利明とは少し趣が違っていた。「師弟対決」が前面に出ていたからかもしれない。10分27秒、垂直落下式ブレーンバスター「53歳」からのラリアートに沈んだ小川だが、いくら天龍の技が強力とはいえ、これまでの小川の奮闘ぶりを振り返ると、少々あっけなさが残ったのも確かだ。ただ、その理由は相手が「天龍」だから、とも考えられる。6・5札幌メディアスピカ大会での遭遇以降、椅子や机を投げ合うなど、派手な攻防を演じてきた両者だが、考えてみればこれは「小川らしい」戦いぶりではない。言い方を変えれば、自分本来の戦い方で臨んでいたとは言えないのではないか。他の2試合はそれぞれの選手が「らしさ」を全開にしたファイトを見せていたが、小川だけは当てはまらないような気がする。自分のスタイルを貫徹できなかった点は考えようによっては残念だが、ひとかどの選手が自分のスタイルを変えて真っ向勝負を挑める師匠を持っている、というのも贅沢な話ではある。
2005年07月22日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会でメインイベントとなった三沢光晴-川田利明は、三沢が終盤、エルボーをたたみかけて27分4秒、えび固めで勝利を収めているが、やはり「5年間」という時間を感じずにはいられなかった。そんな印象は、試合の間も感じられた。出している技は「全日本四天王」時代とほとんど変わらなかったし、タイガードライバーも脳天から叩き落すほどの危険さを伴っていた。ただ、そこには「5年間」という時間のためか、四天王時代に対戦していたときより、良くも悪くも“フィット感”のようなものがなかったことも確かだ。ジャンボ鶴田は生前、バックドロップを出す際は相手のレベルを考えて角度を変える、という趣旨のコメントを残している。その言に従えば、今回の三沢はけっして、「危険度レベル」が最高度の技を出したようには思えないのだ。2003年3・1日本武道館大会での小橋建太戦で見せた花道からその下の床に放り投げるスープレックスのような、想像を絶する超大技は出さなかった。これは推測の域を出ないが、大きな理由として「この相手(川田)なら、これを出しても大丈夫」という目測が立たなかったことがある気がしてならない。言うまでもないが、これは川田の実力が劣ったわけでも、三沢の判断力が鈍ったわけでもない。四天王時代の両者はそれほど密度の濃い戦いを繰り広げ、そしてその後の5年間の空白が大きかったということだ。フィニッシュに至るエルボーのたたみかけは、そうした目測を必要としない技だったからこそ繰り出せた、あるいはそれでしか試合を決められなかったのではないか。
2005年07月21日
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7・18東京ドーム大会の小橋建太-佐々木健介は、チョップ合戦のほか、両者の力比べも試合を彩る大きな要因の一つだった。手四つでの力比べはとにかく見ているだけで息が詰まり、しかも小橋が最初に劣勢に立たされるシーンが生まれている。また、健介が背後からフルネルソンの体勢をとると、小橋は技でなく、あくまで力でここから脱出して見せた。こうした力比べもチョップ合戦と同様、互いが得意とする分野をつき合わせたからこそ大いに会場を盛り上げたわけで、ここで一方が他の技に逃げ、優位なポジションに立とうとすれば、一気にしらけたに違いない。この一戦が総合格闘技や他のスポーツと決定的に違ったのは、この「裏をかく」とも言うべき行為が、ほとんどと言っていいほど見られなかったことである。それがなかったからこそ、解説の高山善廣が語った「祭り」の瞬間は現出された。どちらがよりスポーツの原点に忠実だったかは、議論の余地があろう。
2005年07月20日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会におけるベストバウトとの呼び声も高い小橋建太-佐々木健介は、事前の期待を裏切らないどころか、それを上回る内容を見せてくれた。試合中盤、5分以上かけて繰り広げられた水平チョップ合戦は、両者の意地のぶつかり合いがじつに分かりやすく提示された。他の技に切り替えればおそらく相手をダウンさせえたであろうが、切り替えたほうが「根負け」したことになる。試合の結果以上に受け入れがたかったのではないか。このチョップ合戦を終わらせたのは小橋の身体を預けるようなチョップで、健介はこれによって倒されてしまった。ただ、小橋も倒れこみ、何より胸板にぶち込むというよりはのど元に入った形になったので、実質的にはドローとすべきものだった。一連のチョップ合戦によってKOシーンが生まれるとは考えにくいし、誰もそんなことは期待していなかったろう。そこには総合格闘技で見られる緊張感はない。しかしそれとは別の、もしかしたらもっと大事なもの、すなわち人間の可能性を賛美するスポーツの原点のようなものを、このチョップ合戦は示していたのではないかとさえ思えた。
2005年07月19日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会は、「過去からの蓄積」と「現在進行形のドラマ」がきちんと色分けされ、それぞれがそれぞれの特色を見せた大会と言える。前者は言うまでもなく三沢光晴-川田利明、天龍源一郎-小川良成によって体現された。技の一つ一つの攻防ももちろん見ごたえがあったが、それを繰り出すレスラーの「背景」にどうしても思いを馳せてしまう。そんな戦いだった。一方の後者は、GHC選手権の3試合のことを指す。力皇猛-棚橋弘至は、棚橋の構成力の巧みさを力皇の力とスタミナがわずかに上回り、鈴木みのる・丸藤正道-秋山準・橋誠は鈴木と秋山の今後に含みを持たせる展開となり、金丸義信-KENTAはKENTAの勢いが金丸という大海を乗り切ったとでも表したくなる試合で、いずれも今後の展開に期待を寄せたくなる内容となっている。その両方の特徴を兼ね備えたのが小橋建太-佐々木健介だった。小橋がかつての入場テーマで登場したのはその象徴で、1990年代後半から2000年代初頭にかけて同時代を生きながら交わることのなかった両者の思いのたけが、あの一曲に集約されていたように思う。試合内容もそうした思い入れに劣らない素晴らしいもので、「もう一丁!」と言いたくなるような清々しさも残った。
2005年07月18日
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プロレスリング・ノアの7・18東京ドーム大会の目玉はラスト3試合、ということになっている。すなわち三沢光晴-川田利明、小橋建太-佐々木健介、天龍源一郎-小川良成だ。しかし、この3試合は言うならば「これまでの蓄積」とも位置づけられるもので、ある意味内容もそこそこのものになることは保証されている。むしろ、ノア、ないし日本のプロレスシーンを占ううえで重視されるべきは、その前の7試合であると言える。力皇猛-棚橋弘至、鈴木みのる・丸藤正道-秋山準・橋誠、金丸義信-KENTAの一連のタイトルマッチ、“企画モノ”のムシキング・テリー-ブラックマスクなどは、これだけ注目度の高くなった大会でどれほどの試合を見せられるか。力皇がどこかの雑誌で「あとの3試合を“食う”くらいに」と語っていたが、そのくらいの攻防を見せなければ、ノアの先行きは安泰とは言えない。今大会の成否は、第7試合まで決まる。
2005年07月17日
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橋本真也の告別式が横浜市で営まれたという。蝶野正洋、武藤敬司、佐々木健介ら元同僚や大谷晋二郎、小川直也といったZERO-ONE以降ともに苦闘した仲間たち、そのほかにも芸能人や他ジャンルのスポーツ選手など、さまざまな分野で活躍する人たちもかけつけたそうだ。それにしても悔しい。スポーツ紙などの報道によるととくに新日本離脱後の健康管理は相当ずさんだったようで、高山善廣などは東京スポーツのコメントで、「プロレスラー」のイメージにこだわって無理な生活を送らないよう、警鐘を鳴らしていた。橋本のプロレス、「脱・新日本」路線はしっかり受け継がれることだろうが、彼が残したもう一つの教訓も、業界に関わる人たちには刻み込んでおいてほしい。
2005年07月16日
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7月15日に放映した日本テレビのスポーツニュース「SPORTS MAX」では、プロレスリング・ノア7・18東京ドーム大会の告知も兼ね、三沢光晴がゲストとして出演していた。無精ひげもそり落とし、きちんと「一般向け」に耐えうる身なりでの登場に少々ほっとしたものだ。プロレスというとどうしても「キワモノ」的な扱いを受けがちだが、こちらからそうした位置づけを受け入れるべきではなく、そのための最低限の努力を見ることができたからだ。また、自身が出場する試合以外の注目すべきカードを聞かれた三沢が、GHCヘビー級選手権試合の力皇猛-棚橋弘至を挙げていたのも良かった。今回の盛り上がりが三沢-川田利明、小橋建太-佐々木健介、天龍源一郎-小川良成という、「とっておきのカード」によってもたらされているのは明らかだ。しかし、この3カードで終始しては「次」はない。プロレスの明日だけでなく、「今日」を評価させるためには、選手権試合である力皇-棚橋の質こそ最も問われ、また大会の成否も決すると言っていい。
2005年07月15日
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7月10日深夜の「プロレスリング・ノア中継」は7・18東京ドーム大会を見据えた番組攻勢になっているが、そのなかで紹介された7・2ディファ有明大会の力皇猛・森嶋猛・モハメド・ヨネ-三沢光晴・小川良成・リチャード・スリンガーはかなり興味深い展開になった。力皇、森嶋、ヨネが若さと体格差をこれでもかと見せつけ、圧倒していたのである。三沢と小川はもはや説明を要しないほどの名チームだが、そんな2人が、もちろん放映された範囲、ではあるがほとんど「らしさ」を見せることができなかったのだ。フィニッシュのシーンが象徴的で、力皇が三沢を、森嶋が小川を抑え、その間にヨネがスリンガーを筋肉バスターで仕留めている。力皇、森嶋、ヨネに視点を移せば、力皇、森嶋の動きがいまいち緩慢だったのが気にかかるが、それでもまったく危なげのない試合運びだった。もちろん、三沢、小川の立場なら大一番を控えている、という事情もあろう。ただ、それにしてもこの2人を封じ込めて見せた力皇、森嶋、ヨネは、評価されていい。
2005年07月14日
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橋本真也の死はプロレス界だけでなく一般マスコミにも取り上げられ、橋本の知名度の高さをあらためてうかがわせた。一般マスコミとの関係では、ひとつ思い出がある。いつだったかは忘れてしまったが、彼が何度目かのIWGPヘビー級王座防衛を果たしたとき、翌朝の日刊スポーツで一面を飾っていたのだ。コーナーに上り、ベルトを高々と掲げていた。じつにカッコ良く、他のスポーツを押しのけて一面を飾るにふさわしい雄姿だった。橋本が見せた豪快無比なプロレスは、そうした一般マスコミの扱いに耐えうる汎用性を持ち合わせていたとも言える。駅売店の店頭で並べられていても、じゅうぶんそれがサマになっていたのである。
2005年07月13日
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7月11日、橋本真也が亡くなった。40歳だったという。病気がちだったというが、試合を見る、見られない以前の問題としてあまりに惜しい。1994年から95年にかけてIWGPヘビー級王座を9回連続で防衛したころの彼は、まちがいなくプロレス界の牽引車だった。1994年5・1福岡ドーム大会での藤波辰巳戦、1996年4・29東京ドーム大会での高田延彦戦などは彼のキャッチコピー「破壊王」を体現した名勝負である。それにしても大一番用入場曲といい印象に残るシーンの多い選手だった。願わくば、ファンに思い出をたくさん残し、仕事をやりおおせたからこそ旅立ったのだと思いたい。
2005年07月12日
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7月10日深夜の「プロレスリング・ノア中継」は、7・18東京ドーム大会で大一番を控える小橋建太、小川良成、三沢光晴のインタビューを挟みながら試合を伝えるスタイルをとっている。その一つが、7・2ディファ有明大会の小橋・菊池毅-本田多聞・潮崎豪だ。普段はタッグを組む者同士の激突となったこの試合は、立ち上がりがじつに興味深かった。小橋と本田が先発、小橋が挑発代わりのチョップを放ち、「来い!」と手招きするも本田はこれに付き合わず、手四つで始まるレスリングの攻防を挑んだのだ。バックの取り合いを経て、小橋が本田の腕をきめにかかったところを本田は小橋を抱え上げ、バックドロップの要領で後ろに投げ捨てた。チョップやキックといった派手なプロレスに付き合うそぶりも見せず、レスリング勝負を挑んだ本田と、それに応じた小橋、という図式が見られたわけだ。本田のレスリングにおける実績は、五輪に3大会連続で出場するなど申し分ない。近年はそうしたバックグラウンドを背景に迫力ある締め技などを披露している。そんな本田の、ちょっとした「意地」が垣間見られた1コマである。
2005年07月11日
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7月9日深夜の「ワールドプロレスリング」では、先週の放映に続いて藤田和之、ケンドー・カシン、永田裕志、中西学の「チームJAPAN」の戦いぶりを取り上げている。この編成にうなずけるほど、わずか2戦ながら藤田参戦のもたらした効果は大きい。取り上げた試合は6・19後楽園ホール大会の藤田・カシン・永田・中西-天山広吉・中邑真輔・棚橋弘至・西村修だったが、先週に続いてこの試合だけを30分の放送枠をたっぷり使って見せている。普段は試合の多くをカットして2試合ほどを詰め込んでしまうことを考えると、これも藤田の功績と考えるのが自然であろう。少々残念だったのは、藤田と同じく総合格闘技で名をあげた中邑との攻防があまり見られなかった点である。張り手、膝蹴り、ボディスラムなどで圧倒するシーンだけが印象に残ってしまったのは残念だった。中邑が持ち前のスピードでどう藤田のパワーに対抗していくのか、グラウンド対決でじっくり見てみたい気もする。
2005年07月10日
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新日本プロレスの7・18月寒ドーム大会で、IWGPヘビー級選手権試合天山広吉-藤田和之が組まれた。今後の新日本の方向性を見定める上で、きわめて重要な一戦となろう。すなわち、より総合格闘技色を打ち出していくか、それとも1990年代の天山が体現してきたプロレスを継続していくか、である。専門誌などのレポートを読むかぎりでは、天山は総合格闘技対策の練習を始め、「パンチでのばしてやりたい」と言っているくらいだから、試合の色彩としてはより総合格闘技風になることが予想される。裏を返せば、本来新日本の道場でつんでいるはずのレスリングの練習が、対藤田対策としては不十分である、ということを示していると捉えることもできる。試合の結果がどうなるにせよ、この天山の「藤田対策」が示唆するものは真摯に受け止めるべきであろう。
2005年07月09日
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HERO‘Sの7・6代々木第一体育館大会は見所がいろいろあったが、ボブ・サップ-アラン・カラエフはプロレス界にとっても示唆に富む一戦と言うべきだろう。結果こそ1ラウンド3分44秒、左ストレートでサップが一蹴しているが、それ以上に内容で楽しめる試合だったのだ。立ち技での練習の差がおそらくこの結果を生んだ最大の要因と考えるべきで、最後に決まったストレートはなるほど有無を言わさぬ迫力を伴っていた。ただ、それにしてもグラウンドについては両者ともお世辞にも成熟しているとは言えず、せっかく馬乗り状態になっても簡単に形勢を逆転されるなど、「ドタバタ」の印象のほうが強かった。ただ、そうした技術論を展開するのが野暮と思えるほど両者の攻防が面白かったのは、サップ150kg、カラエフ180kgというド迫力があったからだろう。総合格闘技というよりほとんどプロレスというべきで、考えてみるとこれほどの大型選手の激突を、プロレスのリングでは見ていないことを思い出すのである。
2005年07月08日
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前田日明が選手集めやマッチメークを手がけているという総合格闘技の興行「HERO‘S」の7・6代々木第一体育館大会が、当日午後9時から放映されていた。あらためて総合格闘技の人気ぶりを示す放映時間帯だが、試合のほうもそれにそん色ない内容だった。もはや「エース」といってもいい存在の山本KID徳郁はメインイベントに出場、きっちりKO勝ちを収め、また新星の所英男はアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラを破って大物食いを果たし、元柔道五輪の秋山成勲は安定的な実力を発揮して短時間で勝負を決めた。このほかにもレイ・セフォーはK-1や総合格闘技といった「枠」を超えたケンカ強さを見せてくれた。パンチ一悶でKOするあたりはK-1の面目躍如である。ほかにもボブ・サップはロシアの腕相撲チャンピオンというアラン・カラエフと「肉弾戦」を繰り広げた。こうして振り返ると、高度な技術あり、理屈を超えた強さあり、また大型選手のぶつかり合いありと、かつてプロレスが提供していた魅力をしっかりと含有していることにあたらめて気づかされる。
2005年07月07日
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「週刊プロレス」(1269号)や「週刊ゴング」(1081号)などによると、7・1~2WWEさいたまスーパーアリーナ大会の模様はアメリカ本土では流れず、そのため現在“抗争中”であるはずのバティスタとHHHが試合後に互いを認め合う握手を交わすといったシーンも見られたという。また大会自体も“日本仕様”だったようで、質の高い一戦として前評判も高かったジ・アンダーテイカー-カート・アングルでは、アングルがアンクルロックをはじめとするレスリングテクニックで沸かせただけではなく、アンダーテイカーまで腕ひしぎ十字固めを披露したという。マイクパフォーマンスや“キャラクター”に頼らなくても十分試合を成立させられる力量を示したわけだ。レスラーとしての意地を見せたといったところか。WWEのレスラーがこうした「意地の見せ所」を心得ているあたりは、さすがと言うほかない。
2005年07月06日
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WWEの日本公演、7・1~2さいたまスーパーアリーナ大会は、「日本のファン好み」に仕上がった興行だったようだ。大会前は名古屋と神戸の大会が客の不入りから中止されるなど、これまでWWEが見せてきた勢いは見られなかったようだが、それでも1万人規模を収容する会場で2日間も興行をもったこと自体は、「さすが」と評すべきであろう。インターネットなどを見ると、やはり一般で注目されたのは曙の出場だったらしい。その意味で、WWEがプロレス経験をまったく持たない曙を起用したのはきわめて珍しいケースといえるが、話題づくりの点では理にかない、また奏功したと考えられる。「曙抜き」だったら、話題性はさらに低下したにちがいないからだ。ただ、逆に言えば曙に求めたのはあくまで観客を引き寄せる役目であって、試合内容のほうはレギュラー陣に任せる、という意識があったとしても不思議ではない。こう類推するのも、とにかく曙の出場時間が1分30秒に満たないなど極端に短かったからだ。出した技も突っ張りとヒップドロップ程度で、ほとんどプロレスらしいプロレスは見せていない。この程度のパフォーマンスをWWEが評価するとは考えにくい。今後、WWEが曙をどう扱うかは分からないが、少なくとも現時点での曙の役割はあまりに明らかである。
2005年07月05日
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7月3日深夜の「プロレスリング・ノア中継」では、金丸義信・杉浦貴-KENTA・リッキー・マルビンを取り上げている。7・18東京ドーム大会で予定されているGHCジュニアヘビー級選手権試合、金丸-KENTAの前哨戦と位置づけられた一戦だったが、さすが両者ともこの試合が持つ意味を理解し、存分に生かしていたようだ。とくにKENTAの超攻撃スタイルが盛り上げるのに大いに役立った。金丸のスタイルは相手の持ち味を引き出しつつ自分のペースに引き込んでいくものだけに、「自家発電」的な盛り上げは期待しにくい。ところがKENTAが相手だったことで、その心配はないどころか金丸の懐の深さまで見ることができたのだ。場外乱闘に引き込まれればこれに呼応し、ミドルキックを連打されれば雄たけびをあげながらこれを受け、そして要所で切り返し技をおりまぜ、決定的なピンチは未然に防ぐ。垂直落下式ブレーンバスターをはじめとする得意技でなく、ドラゴンスクリューやひざへの低空ドロップキックでそうしたアクセントを付けていったのだから見事だった。
2005年07月04日
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