ジョナサンズ・ウェイク

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女房が宇宙を飛んだ(向井万起男)



この作品は、1994年7月8日に、向井千秋さんと6人の男を乗せて打ち上げられたコロンビア号内での生活を中心に描かれている。飛行時間にして14日と17時間55分。その間、夫の万起男さんは医師の仕事を休んでは、家の中でNASAチャンネルに映る女房たちの映像を見守っている。彼の書く文章がこれまた軽快で、読んでいるだけで楽しくなってくる。さらには知らぬ間にNASA通になっているから、あら不思議!

宇宙に到達したスペースシャトルの内部が無常力状態になるのには、こんな理由があったのか。宇宙船の中ではあんな実験やこんなことが行われているのか。とても勉強になる。

無事、地球に帰ってきた千秋さんは「重力」を感じている。
普段あって当然なものでも見方を変えれば、とても不思議に感じるんだなぁ。(ふと「虹の足」という詩を想い出した。山のふもとにある村が虹のなかにすっぽりと包まれている、という詩だ。おおい、君たちの村が虹の足の中にあるぞお。しかし村人たちに虹の姿は見えない。)幸せの中で暮らしているということをほとんどの人たちは気がついていないのだ。

「人生観は変わりましたか?」との質問に対して「何も変わらない」と、千秋さんは答える。そうか、毎日を精一杯生きている人たちにとっては、答えるまでもない問題なのだ!

女房が宇宙を飛んだ

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