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拙著「事実認定の手法に学ぶ法的仮説力養成講座」のアマゾンのレヴューで、「文章の書き方に役立つ」というものを書いて下さった方がいました。基本的に「事実認定」は、どれだけ「客観的証拠」を集められるか?どれだけ説得的な「主観的証拠」集められるか?それらが「経験則」に合致しているだろうか?という要素で組み立てていくもので、どういう材料がそれらの3つの属性に入るのか、その材料の説得性をあれこれ考えるものです。よくよく考えてみれば、民事事件で代理人弁護士が書く「準備書面」も同じような構成を取ります。具体例としては以下の理由より原告の主張は失当である(結論)1 乙○号証(物証)は、原告の…という主張と相容れない。2 最判…の理由付けの趣旨(もしくは証人××の証言)は、被告主張に沿ったものである。3 …のような状況で、○○のような行為を行うのはあまりにも不自然である。よって、原告の主張は到底受け入れがたいものである。というような感じです。1が「客観的証拠」、2が「主観的証拠」、3が経験則です。ビジネス文書も、客観的証拠を現在存在する客観的事実に。主観的証拠を、専門家の意見に。経験則を人間行動一般に当てはめれば、説得的な文章が作成できるはずです。レヴュアーの方に、深く感謝申し上げます。荘司雅彦の法的仮説力養成講座
2010.01.31
このところ、全国の百貨店の閉店のニュースが新聞紙上を賑わせています。全国の駅前商店街が次々と廃れていったのと同じくらいのペース、いえ、もっと速いペースで衰退しつつあるのかもしれません。原因として、デフレや不景気といったものでは片付けられない理由があるような気がしてなりません。何かの本で読んだのですが、人間というものは「物を買う」「物を買った」喜びというものはすぐに冷めてしまう反面、何かを体験したり感動した喜びは継続するそうです。ですから、東京ディズニーリゾートは、不景気にかかわらず閑散とすることがありません。百貨店にしても、年に一度の福袋には相も変わらず長蛇の列ができているそうです。そうであれば、百貨店や駅前商店街も、物を売るだけではなく、「触れあい」や「感動体験」作りが必要になってくるのではないでしょうか?娘がまだ小1くらいのころ、格闘ゲームにはまっていました。とあるスーパーが、格闘ゲームを「お試し用」に設置し、お互い名前も知らない子どもたちが格闘ゲームに興ずる姿は真剣そのもの。そりゃあそうでしょう。それまで、相手の手の内を知った友人ばかりとしか戦えなかったゲームの他流試合ができるわけですから…。頻繁にせがまれて連れて行った記憶があります。娘が格闘に興じている間に、いろいろと買い物を済ませていたので、結果的にはスーパーの利益にもなったわけですよね。これは一つの例ですが、今の日本人は「買う喜び」以上の「喜び」を求めているように思えてなりません。
2010.01.29
このところ、またまた「政治と金」の問題が世間を騒がせているようです。よほど他にニュースがないのだろうか…と思ってしまうくらいです。そもそも、「政治団体」への企業献金というものは論理的に考えれば奇妙な話ですよね。企業献金が「法人の目的の範囲内」などとした最高裁判例がありますが、企業献金は「政治団体」のボスである政治家に対して見返りを求めて献金をするわけです。しかも、莫大な金額を。これは、とりもなおさず贈賄そのものではないでしょうか?単に、当の政治家の政治理念を応援しようとして企業の代表者が企業のお金を献金すれば、これは間違いなく代表者は企業に対する特別背任罪に問われるはずです。贈収賄か特別背任か、いずれにしても刑法上の犯罪にあたるのであれば、全面的に禁止するのが論理的帰結でしょう。企業献金ならぬ個人献金は多いに結構でしょう。資産家が特定の政治家を応援することは、思想・信条の自由から当然認められるべきでしょうし、お金はなくとも志の高い人間を篤志家が応援するのは、わが国独自の美学でもあるからです。<お知らせ>Nアカデミーの講義は、ライブではなくネット講義ですので、時間や場所に関わりなく受講ができます。誤解を招く表現だったようで、心よりお詫び申し上げます。第1期の残人数が少なくなっているようですので、ご希望の方はお早めにお申し込み下さい。http://n-academy.jp/
2010.01.26
拙著「事実認定の手法に学ぶ法的仮説力養成講座」が本日発売です。 是非、お手にとって1章から5章まで眺めてみて下さい。今まで、事実上門外不出だった、事実認定の手法がものすごく楽しく理解できることを実感いただけるはずです。何卒、よろしくお願い申し上げます 荘司雅彦の法的仮説力養成講座<目次> 第1章 行動派刑事の推理 第2章 ある検事の悩み? 第3章 被害者の記憶は信頼できるか? 第4章 犯人にされてしまった! 第5章 客観的事実と主観的事実 第6章 法律家の証拠の評価法 第7章 貸金業者の法律相談 第8章 企業倒産の兆候を見極める 第9章 法的仮説力を高める方法
2010.01.23
拙著「事実認定の手法に学ぶ荘司雅彦の法的仮説力養成講座」の発売に合わせまして、次の書店さんで法律書フェアを開催していただくことになりました。1月23日の本書発売とほぼ同時に「ブックストア談 浜松町店」さんにて。2月上旬から「丸善オアゾ本店」さんにて。私のチョイスした法律書の良書を並べていただけるとのことですので、是非、足をお運び下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
2010.01.20
本日、日航が会社更生法の適用申請をしました。それはさておいて、最近私が気になっているのが、会社更生法の適用申請が増加していることです。以前は、使い勝手の良さや費用が安く済むということで、大企業でも民事再生法が使われていました。伊藤眞先生も「破産法・民事再生法」という概説書を書かれたくらいです。もっとも、本来的なあり方としては、大企業には会社更生法を、中堅・中小企業には旧和議法を改めた民事再生法を、という立法者意図があったことは確かです。おそらく、裁判所の運用が、当初の立法者意思に沿った形でなされるようになったことが原因なのでしょうが、会社更生法の概説書が現時点で少ないことが、私にとっての悩みの種です。
2010.01.19
民主主義には、直性民主制と間接民主制があり、後者が一般的です。しかし、ルソーは、断固として「直接民主制」に固執し、間接民主制の下では、選挙の時だけ候補者が有権者におもねり、それ以外の時は議員は好き勝手をすると手厳しくも現実的な批判をしました。現在、日本は間接民主主義を採用していますが、民主主義の宿命ともいえるのでしょうが、現役世代の利益を優先しすぎていると思うのは私だけでしょうか。私なんぞは、死の淵に立たされたことが何度もなるので、政策で子供や孫の世代のことを重視してくれる政党に、とても親しみというか、正当性を感じます。今の政治は、現在の有権者の顔色をうかがいすぎていて、結果的に投票に行くであろう高齢者層に思いっきり気を遣っているように思えます。しかし、恒例車掌にしたところで、自分たちの孫やひ孫がかわいいことに違いはありません。自党の政策では、孫世代にはどうなるか…という議論をして分かってくれればいいのですが、政党が先か有権者が先か、今現在のことばかりが争点になります。そうすると、民主主義とは名ばかりで、成人性民主主義、老人性民主主義と呼び方を変えた方が妥当でしょう。こどもも、未成年者も、ひとしく、いえ老い先短いわれわれよりも将来に対して利害関係があることを忘れた投票には、民主主義の本質が見えません。
2010.01.18
JALの株式を些少とはいえ持っている私としては、不愉快な日々が続いています。そもそもJAL株を買おうとしたのは、面識はないものの、企業再生のプロとして密かに尊敬している高木先生や田作先生らの「JAL再生タスクフォース」が発足したのがきっかけでした。株価が下落しては「不眠不休の作業に支障がでるだろう」などと本ブログでも呼びかけたものでした。その当時は、業績その他の数値から某サイトが割り出した評価が「割安」だったことも安心材料でした。指をくわえてみているうちに、企業再生支援機構が「100%減資」→「上場廃止」の方針などという記事が出るようになりました。しかし、100%減資には株主総会の特別決議が必要なのに、どうして支援機構が決められるものかと、懐疑的でした。あれよあれよという間に、19日に会社更生法申請という報道がなされ「え、つまり更生計画で裁判所の決定を受けて100%減資をやるのか?」と、浦島太郎のような気づきが出てきました。しかし、これだけ多くの個人株主が存在するというのに、裁判所が再生機構に言われるままに決定を出すような表現が、私には到底なじめなかったという同情すべき(?)理由もあっのです。このような難しい判断であるのですから、「100%減資をする」ではなく「裁判所に100%減資の決定を求める方針」と表現するのが、当然であるという弁護士としての先入観があったのです。前原大臣も、おそらく最初は「法的整理イコール事業廃止」と考えていたのでしょう。側近から、「事業継続型の法的整理がある」と訊かされて、慌てて発言を修正したのでしょうね。しかし、私が全く理解できないのが、「100%減資と上場廃止が何故必要なのか?」ということです。大株主である銀行団や損保や電鉄なども、100%減資と上場廃止となれば「損失」が拡大してしまい、景気や雇用への悪影響が避けられません。日本政策投資銀行にしても、融資金を株式に変換して再生の時に少しでも出資を取り戻せた方が税金の無駄も少なくて済むはずでしょう。とにもかくにも、あっという間にバタバタと話が決まってしまい、何が何だか私にはサッパリ分かりません。
2010.01.17
1月23日発売の、私の新著「事実認定の手法に学ぶ荘司雅彦の法的仮説力養成講座」のカバーが表示されました。読むあなたが、刑事になったり、被害者になったり、被告人になったり…しながら、事実上、法曹界だけの内部知であった「事実認定」の方法を楽しく学べます。ロー生や修習生にもきっとお役に立てる1冊です。
2010.01.15
タイムマネジメント、つまり「時間管理」について今も昔も極めて大雑把というかお粗末な例が改善されていないような気がします。二昔前ですと、サラリーマンというか勤め人は、どちらかというと会社に「時間を売っていた人」が多く、銀行員として来社すると『サボるための絶好の機会』だとばかりに、社外の喫茶店にまで連れて行ってくれた人が少なくありませんでした。今も、民間大企業の中には、「休まず」「遅れず」「仕事せず」という3拍子揃った人材がたくさんいるようです。その上、なかなか退社しないので、若手も退社しづらくなって、挙げ句の果てにみんなの退社が遅くなってしまうというケースもあるようです。それを考えると、就職難で苦しんでいる人たちが気の毒でなりません。逆に、学校の先生や塾の先生たちが持っている「誤った思い込み」もタイムマネジメント能力のなさを表わしています。私自身、司法試験合格後、某予備校で少しだけ教えていましたが、時間通りに終わることに抵抗がありました。なんとなく、時間がきたら「ハイ、終わり」というと熱心さを疑われるような気がしたのです。しかし、それは大きな間違え!例えば、授業が9時終了となっていれば、終了時間に多少の余裕を入れて、別の予定を入れる人も少なくありません。また、遠くから通ってくる人たちにとっては、9時終了の予定を30分延長されると(睡眠不足など)生活リズムの乱れにも発展しかねないのです。ですから、時間通りに始めて、時間通りに終わるのが、社会人としての最低限のマナーであり、周りの人たちに迷惑をかけない配慮なのです。ですから、自己満足のための延長をする人物は、他人のスケジュールを狂わせている、他人に迷惑をかけている、という自覚のない、極めてタイムマネジメント能力の欠如した人物であるとマイナス評価を下すべきでしょう。最近、「時間がつくれない」と言っているのに、「是非一度ご挨拶に」という銀行の担当者がいて困っています。こういう人物も、相手の時間を奪うことに無神経、ひいてはタイムマネジメント能力がないと評価されても致し方ないのではないでしょうか?
2010.01.14
最近の産経新聞の記事で、大学や短大の卒業生が専門学校に入学するケースが増えているというものがありました。同記事では、大原学園の大卒・短卒者の入学者が、3年前の1.5倍に増えたそうです。それにしても、企業の採用計画がはっきりせず、就職留年をしている学生も含めて就職活動をしなければならないのですから、このような選択肢も「アリ」なのでしょう。それなら、大学生のうちに「資格」を取っておくというのも、当然大きな選択肢に入っていると想像できます。「弱小資格では意味がない」という人もいますが、私は「ないよりあった方が絶対に有利」だと考えています。社労士の資格だと人事や法務、行政書士だと法務、簿記があれば経理、というふうに即戦力になれると企業側は期待するでしょうし(実際、即戦力になれる場合が多い)、会社が倒産しても独立して食っていくという手が残っています。独立すれば、資格の難易度よりも、営業力で稼ぎが違ってきますから、比較的取りやすい資格でも死にものぐるいで営業すれば何とかなります。ちなみに、明日発売の、日経キャリア別冊「資格スキルランキング」で1ページ分だけ私の取材記事が掲載されます(P162)。就職活動をしている学生のみなさんや、将来に不安のあるビジネスパーソン必読の1冊です。
2010.01.11
先日、大学時代からの悪友である山崎元氏と飲んでいた時のことです。日航の年金問題について、彼が「約束したものは守るのが当然だ」と主張したのに対し、私は「ゼロ金利が長期間続いていることも斟酌すれば『事情変更の原則』による減額も致し方ないのではないか」と主張しました。その後、帰宅したのが深夜3時ころ。ベッドの中でうつらうつらしながら考えたのですが、日本人の消費性行や生活レベルは老後の安心感の有無で大きく変わってくる。その証拠に、高齢者の金融資産は若年層に比べてはるかに高額です。北欧諸国のように、税金は高くとも「教育」「医療」「老後の世話」などの不安が極めて少ない社会では、先々のことで悩むことも少ないでしょうが、日本では将来不安を持っている人たちが圧倒的に多いのです。そうだとすれば、年金という将来不安払拭要因を「事情変更の原則」で容易に変えてしまうことは厳に慎まなければならないと反省しました。近年問題になっている年金問題。制度を変えたり、事務手続がいい加減であったり、という現状があらわになるにつれ、ほとんどの国民が「本当に年金を受け取ることができるのだろうか?」という点について大きな不安を抱いています。若年層の中には、どうせ将来年金なんてもらえないのだから支払うだけバカバカしいと考える人たちの方が多いのではないでしょうか?ただでさえ経済がダウンサイジングしている昨今、将来不安が高まれば、老いも若きも消費意欲なんてなくなってしまいます。それがひいては景気を更に悪化させ、ますます経済状況が悪化します。厚労省とその下部組織である社保庁の悪行は、国民全体にものすごい萎縮的効果を生じさせている訳でして、これからきちんとやるといくら大臣や政治家が言っても「物言えば唇寒し」です。老後の不安が、個々人の精神も蝕み家庭崩壊の原因伴っていることを考えると、厚労省の大罪は到底許し難いことでしょう。もっと、責任者の処分をしっかりやるべきだと思うのですが…。
2010.01.10
最近、日航に関する記事が毎日のように新聞紙上を賑わせています。自分の縄張りである国土交通省とお金を出したくない財務省のせいでもあるのでしょうが、コロコロ変わる報道のせいで、大変迷惑を被っているたくさんの関係者がいるはずです。OBの退職金減額に目処がついたところで、法的整理が報道され、「結局法的整理をされて無理矢理減額ということになるのなら同意書なんて出すものか」と、OBたちのただでさえ不快な気持を逆なでる羽目になりました。デルタとの提携を日航社長が発表し、これで破綻は回避できると思ったら、その翌日には法的整理宣言。つまるところ、政府関係組織というのは、参議院議員選挙が近いこともあるのか、裁判所に「お鉢」を回すのが安全だと考えたのでしょうか?法的整理に入ってしまうと、日航のように多くの国で様々な子会社なり本体の組織なりがある会社は、決定的なダメージを受けます。というのは、法的整理手続は国によって扱いが異なっており、アメリカのチャプターイレブンであっても、日本の新聞では「破綻」と書かれる訳ですから、生産型破産法がメジャーな日本で法的整理となれば、よほど日本法に詳しい人でなければ、かつての長銀や日債銀、拓銀、山一などと同じに考えてしまう恐れが多いに違いありません。デルタは、この報道に手放しで喜んでいるものの、対外的には「法的整理でも提携方針に変りはない」などと恩着せがましい声明を出しています。少し前に、本ブログの日記に書きましたが、このままでは外資に安く叩き売りをすることになってしまい、国民の血税と融資をしている銀行だけが割を食ってしまいます。政権交代をしても、つまるとこと選挙ばかりにらんでいるようでは自民党を同じ。デルタとギリギリの線まで交渉を続けて、ベターな条件を引き出すのが政府と日航の責任でしょう。外資に安値で叩き売るくらいなら、いっそ精算型の破産申立をして方が、国民の納得を得られやすいのではないでしょうか?
2010.01.09
日弁連会長選挙が近づいてきました。今年は、激戦になるとか、揉めるとか、いろいろな噂が飛び交っています。10年くらい前だったでしょうか?大激戦になったことがあり、相手側を誹謗中傷するファックスまで流れてきて閉口した記憶があります。そこで、今後、正式な会務以外でのファックス使用禁止を私は提案します。なぜなら、ファックスは、受け手に多大なコスト負担がかかる大変迷惑な表現活動だからです。電気代、紙代、インク代、ファックス使用中に電話が使えない不便などなど、受け手のダメージは人によりますが、相当なものがあります。弁護士会などの公的な情報はやむを得ないとしても、候補者のPRをはじめとする特定の利益を目的とするファックス使用は全面的に禁止すべきでしょう。「表現の自由」を掲げるのであれば、表現者の負担でDMを出せばこと足ります。負担軽減を目的として、受けたくない多くの会員に無理矢理ファックスを流し、そのコストを受け手に全面的に負担させるような野蛮な行為は、いやしくも弁護士としてすべきことではありません。特に、たくさんの蓄えの少ない若手会員だけでなく、不況下で事務所コスト低減に努力している古参弁護士が増えているこのご時世、平気でファックスを流してくる無神経さは許し難いのではないでしょうか?選挙管理委員会はもとより各弁護士会が、選挙その他特定の団体等の意見表明にファックスを使用することを禁止する決定を下すことを強く望みます。
2010.01.07
先日、車の中でラジオを聴いていたら、某ガソリンスタンドか石油会社のCMが流れてきました。「私は、従業員にお客さまの車を洗うときは、自分の車を洗うのと同じ気持で洗いなさい」と指導しています。つまり、自分の愛車だと思って丁寧に洗いなさいよ、と指導しているというCMです。おそらく普通の人が聴いたら、そのまま聞き流してしまう内容でしょうが、ここが法律家(敢えて弁護士とはいいません。法律を勉強している人も含めます)のイヤな性分。「え、それって、杜撰に洗えってこと?」と、思わず考え込んでしまうのです。民法には、大きく分ければ2種類の注意義務があります。ひとつは「自分の財産と同一の注意義務」であり、もうひとつは「善良な管理者の注意義務(いわゆる善管注意義務)」です。当然のことながら、善管注意義務の程度の方が、自分の財産と同一の注意義務よりも高い水準が要求されます。なぜなら、前者は、無償で他人の物を預かった場合(無償寄託)のように、対価をもらわずに好意でやってあげた場合なので、注意義務の水準を下げているのです。ところが、後者は、対価を伴うような場合ですので、自分の財産以上の水準の注意義務が課せられるのです。ガソリンスタンドがお客さまの車を洗車するのは当然有償でしょう。お金を払って洗ってもらうのに自分の財産と同一の注意義務では困るなあ…と、反射的に思ってしまった自分のイヤーな性分を自覚させられた場面でした。
2010.01.06
不景気になると、株や外為FXでドカンと儲からないかなあ~と思う人が増えます。もちろん、私もその一人ではありますが…。しかし、多くの人たち(特に初心者の人たち)が誤解しがちな点は、株式にしろFXにしろ、相手がいて成り立っているということです。ある株式が絶対に上昇間違いなしというのであれば、新株でもなければ買うことはできません。誰も売ろうとしないからです。売る人がいなければ買うことはできないわけでして、もしもあなたがA社の株が絶対に上がると思って買い込んでいるとすると、下がると思って売っている人がどこかでいる訳です。だから、基本的には、売買が成立している以上、株価の動きはランダムで中立になるはずです。ランダムウォーク(酔っぱらいの千鳥足)とは、右に1歩進む確率が50%だとしたら、右、左、右、と左右半々で進んでいくときもあれば、右に10歩、左に10歩ということもあります。勿論、その企業が大発明をしたり、インフレが起こったり、産業界自体にイノベーションが起こったりすれば、株価は上がります。ニューヨークのマンハッタン島はオランダ人が24ドル相当で買ったといわれており、史上最大のバーゲンといわれています。しかし、その後のインフレを斟酌すれば、さほど安値で買ったということにはならないそうです。絶対的にうまい話というのはありませんが、ひとつだけ言えることは、何らかの投資をしておけば間違いなく経済の勉強になるということでしょう。
2010.01.05
厚生労働省が時期通常国会への提出を目指している労働者派遣法改正案は、製造業派遣や日雇い派遣を原則禁止としています。それに対応して、大手人材派遣会社が「請け負い」契約に切り替えるなどの措置をとるという記事が今朝の日経新聞に出ていました。つまり、それまでは、人数単位で派遣会社が派遣社員を各企業に送り込んでいたものを、これからは、派遣会社が企業の業務の一部を一括して請け負うことになるわけです。店舗がたくさんある大企業であれば、大手人材派遣会社に1店舗の業務をまるまる請け負わせることも可能でしょう。しかし、中堅・中小企業では、極端な話1人や2人の人手が欲しいわけで、請け負いにはなじみません。また、人材派遣会社が受託社員をチームとして編成するとしたら、派遣会社のスクリーニングは今よりももっと厳しいものになり、あぶれる人材が増加することは目に見えています。どのような制度にも欠点はあります。製造業派遣で派遣切りが横行したからといって、製造業派遣そのものを原則禁止としてしまうことは、角を矯めて牛を殺すようなものでしょう。中堅・中小企業と未熟練労働者という社会的弱者を苦しめる結果になることは目に見えています。最低賃金引き上げをすれば傭われる人が少なくなるのは目に見えているし、政府だって経済学の基本はわかっているはずなのに、逆のことが実行されようとしています。労働者派遣法の改正(改悪)は、間違いなく失業者を増加させ、景気を一層冷え込ませることでしょう。
2010.01.04
昨年暮れに、亀井大臣が天皇家は京都か広島に移った方がいいという発言をしました。広島がどういう理由であったのか詳しくは知りませんが、京都に移る、というより戻られることは大賛成です。そもそも、現在の皇居は江戸城のあったところで、皇族よりも身分の低い武士である征夷大将軍の城だったわけです。歴史的に考えれば、武士が戦をするための居城後に天皇が住まわれるというのは、なんだかきな臭い戦のシンボルだったところに戦を超越した身分の人が住んでいるようで、据わりが悪いというか、バランスが悪いような気がしてなりません。もともと、皇族の人たちは、京都を都として京都御所を中心に住んでいたわけですから、明治維新で「錦の御旗」として担ぎ出されなければ、そのまま京都に住んでいたはずです。ですから、本家本元の京都御所に戻られるのが、とても据わりがいい感じがします。さらに、天皇家をはじめ皇族の人たちが京都に戻られれば、京都を中心とした関西圏は多いに活気を取り戻すことができるでしょう。これは、東京一極集中を比較的容易にすすめることに役立ち、観光や皇族の行事などを催すことで関西経済は大きく発展するきっかけを掴めるはずです。東京の皇居跡、つまり江戸城跡は、ニューヨークのセントラルパークのように解放すれば、多くの都民が自然に接することができますし、イベントを開催することもできます。江戸城跡の地下には、地下鉄を通すこともできるようになるので、交通インフラも整備できます。(現在の地下鉄は皇居の地下を迂回しているのをご存じですか?)とにもかくにもいいことずくめです。困ることといえば、内閣総理大臣などを天皇が任命するという憲法の規定があるため、天皇家が東京にいないと不便だということですが、憲法を改正しなくとも形式を変えてしまえば済んでしまいます。テレビ電話や特別の回線を使った映像で、天皇陛下からお言葉をいただき、任命状は後日送るか電子メールのような形式にすれば済みます。任命状や勲章が大好きなご老輩にとっては不愉快かもしれませんが、それを遙かに上回るメリットがあり、しかも天皇家本来の姿に戻ることを考えれば、それくらいは我慢してもらわないと…。
2010.01.03
いよいよ2010年とあいなりました。ということで、1月早々「事実認定の手法に学ぶ荘司雅彦の法的仮説力養成講座」が日本実業出版社から出版されます。法廷における事実認定の手法を、そのまま将来の仮説定立に応用するという斬新な内容です。もっとも、書籍自体は、読者が刑事になったり、窃盗の被害者になったりしながら話を進めていきますので、面白おかしく読めるものです。 何卒、よろしくお願い申し上げます。また、今日の深夜(正確には明日)午前2:20~2:50 NHK総合で「ガッテン深夜営業中」を再々放送します。私も出演しておりますので、お時間がおありであれば、是非ご覧下さい。
2010.01.01
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