不良中年・天国と地獄

不良中年・天国と地獄

2006年01月11日
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カテゴリ: 映画


去年の「ローレライ」や「亡国のイージス」には失望しました。戦争映画なのに、戦闘シーンは貧弱で、人間ドラマとしても薄っぺらでした。原作者もあまりの出来の悪さに、切歯扼腕したことでしょう。

本作「男たちの大和」はどうでしょうか。日本映画にはめずらしく、30億の制作費をかけたそうです。戦艦大和のセットだけでも、6億円を要しました。

お金をかければいい映画が出来る、いうわけではありません。が、潤沢な資金があれば、大がかりなセットやCGが、ふんだんに使用できます。映像にも迫力が出るでしょう。

そういう点で、この映画は前記の2作を超えています。もうひとつの特徴は、主要な登場人物の背景が点描されていることでしょう。

ここが何を隠そう、この映画の核になっているのです。泣けました。敗色濃厚な日本帝国、それでも勝利を信ずる軍国少年たち。彼らは誰に強制されたわけでもなく、祖国のために命を投げ出すのです。

肉親や恋人との別れ。千切れるほど手を振って送る女。赤ちゃんを抱き、遠ざかる夫の名を叫び続ける妻。生きては帰ってこないことがわかっていながら、銃後で待つ女たち。涙なくしては鑑賞できません。

戦争がいかに残酷なものか、これらのエピソードだけでも理解できます。特に反戦思想を強調しているわけではありませんが、自然な感情として、厭戦気分が湧いてくるのでした。

戦闘シーンも、血や肉片が飛び散り、ハリウッド映画に迫るものがあります。爆撃機に襲われる大和の俯瞰は、CGでしょうが、よくできていました。沈没する場面、ここはジェームズ・キャメロン「タイタニック」に較べると、ややスケールが落ちます。予算が尽きたのでしょうか。



いちいち名前は挙げませんが、豪華なキャストも見どころのひとつです。キラ星のごとく並ぶビックネームの中で、一番おいしい役が長嶋一茂だった、と思うのは、私だけでしょうか。

監督と脚本は、ベテランの佐藤純弥。全体にオーソドックスな演出です。古めかしいところもあり、この点は惜しまれます。ただ、莫大な制作費を回収するためには、斬新な映像やテクニックの冒険を避け、正攻法に頼らざるを得なかったのでしょう。

成人の日の2回目でしたが、お客はよく入っていました。子供から年寄りまで、年齢層も幅広く、そして館内からはすすり泣きの声も……。エンドロールが終わるまで、立ち上がる人が皆無だったのは、涙が乾くのを待っていたからでしょうか。

万人向きの娯楽戦争映画として、水準に達しています。戦争を知らない世代にも、アピールするでしょう。大ヒット中なのが理解できる作品でした。





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最終更新日  2006年01月11日 15時41分55秒 コメント(10) | コメントを書く
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