手持ちのDVDの中から、 今村昌平監督 の作品を探しましたが、見つかりません。ビデオテープでは何本か持っていたのですが、デッキが壊れたとき、すべて処分してしまいました。関連作ということで、 「幕末太陽傳」 を鑑賞。
1957年の日活映画です。監督= 川島雄三 。脚本= 今村昌平 、田中啓一、川島雄三。主演= フランキー堺、石原裕次郎、南田洋子、左幸子、芦川いずみ、小林旭 ほか。
古典落語の 居残り左平次 を題材にした喜劇です。ほかに 品川心中、三枚の起請、明け鴉、芝浜、らくだ、お見立て 、などからも引用され、落語好きなら思わずニヤリとしてしまうでしょう。
明治維新を目前にした江戸の品川。ここに北の吉原と並び称される 遊郭 がありました。その遊郭の一室で、勘定を気にする仲間3人を尻目に呑めや歌えの大騒ぎをしている男こそ、主人公 佐平次 です。この男、実は懐には一文の銭も持ち合わせていません。
勘定の代わりに下働きとして居残るのですが、何しろ 要領のいいお調子者 ですから、たちまち主人やお女郎さんたちに気に入られ、人気者になります。お祝儀で借金は完済、小銭を貯め込む始末でした。このお調子者が、実は 労咳(肺病) を患っている、という設定が、左平次という人間の陰影を濃くしています。
並行して、高杉晋作をはじめとする 長州藩若手志士 たちの攘夷運動が描かれますが、こちらは大したことありません。裕次郎、旭など、当時のスターを起用するための 副次的エピソード 、と考えていいでしょう。
冒頭、現代の 品川宿 が出てきます。といっても、昭和32年ころの風景ですから、現在とは大違いです。実はわたくしめ、この 近所の生まれ なのでした。 八つ山橋 が出てきたときは、懐かしさのあまり、涙ぐんでしまったものです。
閑話休題。作品は 猥雑でエネルギッシュ 。実に面白いです。 フランキー堺 の怪演は、特筆ものでしょう。 南田洋子、左幸子 の二人がライバルの遊女に扮し、火花を散らすのも必見です。そこへいくと、裕次郎や旭のちょんまげ姿は、あまり似合っていません。
先日亡くなった若き日の 岡田真澄 も出ています。脇役にも芸達者が揃っていて、彼らの 飄逸な演技 も見物(みもの)になっています。維新直前の江戸の雰囲気を知ることもできるでしょう。
この5年後に 明治維新 が起きています。また制作された昭和32年の3年後は、 60年安保 でした。革命前夜を思わせた安保闘争。川島雄三は3年後の 栄光と挫折 を予期していたのかもしれません。
まれにみる 傑作喜劇 です。とにかく話がスピーディに進行しますから、いっときも退屈しません。1時間50分は、あっという間に過ぎるでしょう。絶対にお薦めします。
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