いまや現代人の原風景となった感のある 昭和30年代 。いったい何がこの時代の魅力なんでしょうか。
戦後10年たって、日本は 高度成長への道 を歩き始めました。その象徴が 東京タワー です。オリンピック、大阪万博などの国際的イベントを控えて、物心両面に渡って希望に満ちあふれていたよき時代。そう、昔はよかったのです。
制作=2007年 日本映画 146分。 原作=西岸良平「3丁目の夕陽」小学館 。監督=山崎貴。出演=吉岡秀隆、堤真一、須賀健太、小雪、薬師丸ひろ子、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和ほか
昭和34年春。ヒロミ( 小雪 )を想いながら淳之介(須賀健太)と暮らす茶川( 吉岡秀隆 )のもとに、実の父親が再び淳之介を連れ戻しにやって来ました。茶川はヒロミと淳之介のため、芥川賞受賞を目指して執筆を始めます。
過ぎ去ったものはすべて美しい、というのは錯覚でしょう。しかし、 閉塞感に悩む現代人 には、その錯覚が必要なのです。明るい未来と善意の人々。貧しくとも、あの時代の人は幸せでした。
いや、これは事実と違うでしょう。どの時代にも 陰の部分 がありました。光りが強いほど、陰は濃くなります。が、この映画には、そういう部分にはほとんど触れていません。義理と人情に厚い下町の住人たち。心温まるエピソードの連続。
唯一、 チンケな詐欺師 が現れますが、作品に影を落とすことはありません。美化された昭和30年代。生産的とはいえないノスタルジアですが、それだけ現代人は癒しを求めているのでしょう。
登場人物に実在した小説家に似た名前をつけていますが、こういうお遊びがどれほどの効果を上げているか疑問です。文学受難の現代では、ほとんど効能はないでしょう。映画の出来もその程度です。
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