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2010.09.14
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カテゴリ: box
・・・てか、ここ、一体、どこ?

おどおど周りを見回していると、大樹が立ち上がるのが見えた。上半身だけ裸、下はかろうじて下着をつけているのを見て、ほっとする。
「ぅうう~」
ってうめきながら押さえてるところを見ると、床でアタマを打ったみたい。

・・・てか、私、まだピンチ?

大樹がうめいている間に、とりあえず、ベッドから出ようとして、、

・・・てか、私、もしかして、、もう。。?

そーっと、そーっと、掛け布団を持ち上げて覗いてみる。

・・・ふうっ。



・・・てか、下着だけだしっ。

慌てて、ベッドのカバーを引っ張って、体に巻きつけながら、ベッドを降りる。

や、いなや、大樹が、こちらを向いた。

「きゃっ」

思わず悲鳴をあげて、しっかりカバーを握り締めた私を、

「きゃって、、、おい、そよっ」

アタマを押さえたまま、大樹が睨む。

「・・・な、、なにっ?」
「お前な~、、ぁイてて・・」

おもっきり顔をゆがめる大樹に、思わず、

「大丈夫?」



「大丈夫だよ、こんくらい。って、いて~、いて~けどっ。ったく、突き落としやがって」
「・・・だって、大樹が悪いんでしょ?」
「は??なんで?」
「だって、、、無理矢理シようとしたでしょっ。最っ低っ」

そういって口を尖らせると、大樹は、



そういって気が抜けたようにベッドに腰を下ろす。
大樹は、肩でくくっと笑ってから、私を呆れたみたいに見て、

「無理矢理って、、俺、犯罪者にしないでくれる?」
「・・・だって、事実じゃない」
「事実じゃないっての!・・・ったく、あんなに確かめたのに」
「・・・確かめた?」
「まずはっきり言っとくけど、蒼夜、この部屋に来たのも俺から誘ったんじゃないし。」
「そんなわけ・・」

言いかける私を制して、

「いいや。蒼夜が誘ったんだよ、酔っ払って。・・酔っ払ってること知ってて乗った俺も悪いかもしんねーけど。でも、俺が誘ったわけじゃない。何度も、し、つ、こ~くっ、お前が誘ったんだよ・・・『いいから、何もかも、忘れさせて』ってな」
「・・・そんなぁ・・・」

自分がそんなこと言ったなんて信じられない。でも、酔っ払っていたことは、確か。ついさっき、身の危険を感じるまで。ここが、、どこかも分かんないくらい。途端に気弱になる私に、

「そうなんだって。部屋入ったら、勝手に服脱いでベッドに入っちまうし。・・俺だって、ほら、オトコだし、、蒼夜のコト・・いあ、てか、ほら、そこまでされるとさぁ。。だけど、ナサケナイくらい確かめたんだぞ?ほんとうにいいのか??って」

『・・・ほんとにいいんだな?』

確かに何度も耳にした言葉。

・・・ああ、もうっ。私って。。

「ゴメン・・・」

それだけ呟いた私に、大樹は笑って、

「いいよ。もう。もっと強い意志で断ればよかったんだ」
「ごめんね、ほんと、私、どうかしてた」

どうかしてた、本当に。
でも、混乱がおさまり、どうかしてた理由を思い出した途端に、また、どうかしそうになる。

・・・碓氷くん。

表情を暗くしたまま、しょぼんとベッドの端に腰を落した私を見て、大樹が近づいてくる。脱ぎ捨てたTシャツを拾い上げて身につけながら。すぐそばまで来ると、少し手を伸ばしかけて、でも、止めて、30cm向こうに腰掛けた大樹。

「蒼夜・・」

微かな囁くような声。いつチャライ大樹からは想像もできないような真声。私は、そっと顔を向けた。

「俺じゃダメか?」

私は大樹の言葉に顔を伏せる。

・・・そんなこととても考えられない。

あんな言葉聞いたって、他のオンナの人抱きしめる姿見たって、
私の中にはイヤになるぐらい碓氷くんがいる。
私の心の中はイヤになるぐらい碓氷くんでいっぱい。

「碓氷ことはさ、もう、よせよ」
「・・・」
「・・・だって、アイツさ、、、いや、、」

何かを言いかけて、止める大樹。私は違和感を覚えて聞き返す。

「なに?」

大樹は、私の顔を覗き込み、少し迷うように顔をゆがめてから、思い切ったようにいう。

「俺、さっき、アイツに、電話したんだよ。」
「・・・電話?・・だけど、どうして番号・・?」
「アイツにかけたんじゃなくて、ほら、蒼夜のケータイ、アイツが持ってるから、それにかけて」
「・・・それで、、出たの?碓氷くん。」
「ああ。それで、アイツ、言ったんだ。」

そこで、また、少し言葉を切る大樹。

せめて、何か、言い訳、してくれたかな。私のコト、少しでも、心配してくれてたかな。。

そんな甘い妄想、考えてしまったけど、大樹が木っ端にしてくれる。

「・・・何て?」

問い返した私に、大樹は、申し訳なさそうな、自分まで痛そうな顔でその言葉を告げる。

「俺に、・・・蒼夜のコト抱いてもいいって」

・・・そ、んな・・。

アタマがその言葉を理解した瞬間、私は、自分の体を守っていた、カバーを手離して、顔を覆ってしまっていた。

「おっと・・」

大樹が、カバーを引き上げ、私をくるみ、そのまま、抱き寄せる。

碓氷くんが、大樹に、そんなこと言うなんて。
ほんとにどうでもいいんだ。私のコトなんて。
自分が自分から大樹に抱かれようとしていた自棄を忘れて、
ただ、碓氷くんの言葉に棄てられてしまった自分を思う。

・・・もう、どうでもいーや。

碓氷くんに出会って、愛されて、初めて自分が自分になれた気がした。
でも、もう、愛されてもいないなら。

・・・私は、私らしくなんてなくていい。

ただ、抱き寄せてくれる大樹に言う。恐ろしいくらい冷静に。

「大樹・・、じゃあ、シよっか?」

大樹がはっとして、私を見下ろすのが分かった。

そして、少しの沈黙。

大樹が、思い切ったように、カバーから手を離し、

「もう、ほんとにいいんだな?って聞かないぞ。」

って、耳元で囁いて、そのまま耳に口付け、力なんてとっくになくなっている私に、体重を乗せてくる。

「蒼夜・・・」

愛しそうに、私を呼ぶ大樹。
さすが、チャライオトコなだけあるな。
オンナノコ抱くときには相手がダレでも、アイシテルフリができるんだ。

・・・私は、さすがにそれはムリだけど。

碓氷くんに出会う前は、その日会ったばかりの愛してもないオトコたちに抱かれてた私。
大樹のコトは愛してはいないけれど、抱かれるくらい、平気。

・・・なはずだったのに。

大樹の唇が首に触れ、指が背中をなぞりだすと、カラダが硬直してしまう。

・・・イヤ。

そう言いたかったけれど、大樹に悪くて言えなかった。

そうだ。私だって、大樹を呼んでみよう。大樹がそうしてくれたように。愛しそうに。

そうココロに決めたのに、そっと囁くように、吐き出したはずの名前は、

「・・・うすいくん・・・」

だった。同時にこぼれる涙。

・・・碓氷くん。・・・どうして?


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最終更新日  2010.09.14 11:51:39
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