帰って来たかえるのへや

その4)12月13日記


(2006.12.13記)その4「彼女とどう付き合うことが彼女のためなのか」

前回アカネには病名があるかも?と推測を書いてみたが、
万が一猫の病名が決まったところで(^ ^;
自分を責める事は多少減るにしても
日々の付き合い方の指針が出るわけでもない。

毎日毎日Kaeruがアカネを叱って、押さえて、誘導して
止めねばねばならない危険な状況が多すぎる。

あの頃何で特に彼女と対峙していたか
今となっては思い出せないが、
たとえば彼女が屋根に登りたがるのにはまったく閉口した。
これは単に危険な興奮を求めてというだけではなく、
屋根の上の鳥達を追い掛けるのは
さぞかし素敵だろうなあと
Kaeruにもアカネがやりたがる気持ちが納得できる
数少ないシチュエーションだったが、
残念な事に危険が半端でなかった。
うちの屋根の状況はこんなふうだ。

物干竿

ベランダの床から1回ジャンプして2の位置に移るのは、
これはカンナでもアキラでもできた。
ベランダの手すりは十分な広さがあって
その上で取っ組み合いをしない限りは(するのだが)
安心して見ていられた。
が、アカネは更にこの上を目指した。
数センチ幅の物干し台の上を経由して屋根に至る事ができたのだ。

隣の家の屋根が写っているが、すべすべのスレート?の斜面。
高所恐怖症のKaeruではとても追い掛けて行けない。
鳥を追い掛けて転落する事も隣の屋根に飛び移る事も想像できた。
夢中になって遊ぶ彼女がようやく屋根の端の
雨樋まで来た時に台に乗ったKaeruの手が届くかと思われたが
何とその手をアカネははたくではないか。
邪魔するなって。
が、だからといって彼女が自分で降りられるわけではないのだ。
さすがに飛び下りるには物干し台は狭過ぎたようだ。
さんざん降りられる場所を探して右往左往したあげく
ようやく泣きが入ったアカネは
Kaeruが頭上に差し出した洗濯カゴの中に飛び下りた。
彼女も勇気が要ったようだが、こちらも伸ばした腕の先で
4キロの重みを受け止めるのは大変な無理なのだ。

で、1回困ったからと言ってやめるアカネではなかった...。

この時期お外に出すなんて、
危険過ぎてとてもじゃないと思われたアカネと
それにおつき合いさせざるをえないアキラにとって、
ベランダは直射日光を浴びさせてやれる唯一の場所だった。
自分が洗濯物を干して見守りながらのほんの短時間ながら
こんなにベランダが好きな2匹なのに、
ベランダに出す事も諦めなければいけないのか。
するなら首に綱をつけるようなことまでしなくてはいけないのか。

アカネが2からのジャンプを身構えるところで
つかまえるようには心がけていたが、
まったくキリはなかった。
そして一旦登れば彼女からお呼びがあるまで
自分の仕事が終わってもいつまでもお待ちしているしかない。
わたしはアカネの奴隷か。道具か。
こんな事態を繰り返すのは
人間がそういう存在である事を彼女に教え込んでいるようなものだ。

一方で彼女をベランダに、その前段階のオットの部屋にも
入れないよう気を配ってもみたが。
それにもほとほと嫌気がさしていた。
わたしは彼女が怪我をしないように守ってやっているのに
彼女はひたすら裏をかこうかこうと知恵を絞る。
本当の敵は、危険は実際はこの先にあるのに、
Kaeruがかばってあげている限り
アカネにとって目の前に見える敵はKaeruなのだ。

Kaeruが恨まれるのは百歩譲ってヨシとしても、
アカネが何一つ本当には体験せず、
だから賢くもならないのは本当にいい事なのか。
彼女は欠点もあるが、
アキラをはじめ大方の猫が逆立ちしてもできない
優れた能力も(疾患のせいにせよ)持っていた。
その能力をまったく使わせず、
伸ばせない環境に押し込め、
常にフラストレーションを溜め込んだこころでいさせるのは
本当にいい事なのか。

たとえ障害児だとしても。

と、この時点でここまで考えていたかどうか記憶がさだかでないが。
このあたりで思わぬ方向からKaeruはある指針を得た。





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