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FOX ROOM

私小説

注“この物語に出てくる人物及び、地名は実在名と何等関りは在りませんので悪しからず、ご了承下さい！”因みに私小説なんて銘打ってますがそのうちに何か題名を考えます…ず～っとこのままの気もする（だらだら）

-フラシュバック－　　　　　作者　かっきぃー

「別れてくれ未来！」猛が、唐突に別れ切り出した。
「な・・・突然どうしたというの？」困惑しながら聞き返す未来…猛が再び重い口を開く。
「すまん未来！君は強いから・・・だが、明日実は・・」
「まさか！もしかしたら・・あなたは・・・」
「そう・・彼女とも付き合っていた！そして・・・別れ様と言ったら、自殺しようとした。」
「・・・」頬に手を当て、唖然とした顔つきで耐えようとする。
「彼女・・子供が出来たらしい・・・ごめん・・明日実に、ついていてやりたい。」呆然と言った顔つきでボソリと告げる。
「なんて事・・」
「馬鹿だったよ！すまない！・・君を・・愛している！」
「馬鹿馬鹿しい！」顔つきも見る見る険しくなって行き、そう言い捨てて、未来はその場を立ち去った。

『馬鹿にして・・馬鹿にしてる！！明日実！！なんて卑劣な女！』
未来は、零れ落ちる涙にかまわずに歩き廻り、良介の通うキャンパスまで、やってきた。
おもい

周りの眼等は、未来の視界に入るはずも無く、良介を一心に探して廻っていた。
『あの女と・・・一緒・・・た・け・し・・・私、あなたが思うほど強くない・・・・・』
そこへ、まさか？という顔つきをして、噂を聞きつけた良介が駆けつけてきた。
「未来！！どうしたんだ？」思わず良介は、叫んでいた。
未来は良介の胸に飛び込んで泣きじゃくっていた。
「ごめんね？今…彼と…別れてきたの」呟く様に応えた。
「私は強いから・・今だけ・・」
「もう泣いたりしないから…困らせたりしないから…今だけ…良介～～！！」ひしっと、良介に縋り付いたまま泣き続けた。
時は折しも２月・・卒業を１週間後に控えての出来事であった。

その次の日からも未来は、いつもと何等変わりなく日々を過していた。
まるで何事も無かった様に・・・。

『猛お前一体如何するんだよ？』
『仕方ないじゃないか！明日実が自殺未遂を起こしたんじゃ！如何しろというんだよ？別れられないんだ！！』
『しかし』
『すまん・・・どうしようもないんだよ』
話をする猛たちの目のスグそばを未来は通り過ぎ・・・ふっと駆け出し・・・目の前にちかずく人物に飛びついていった。
「良介！！」
「未来お待たせ！！」
「良介の所に行ってもいい？」
「ああ」
良介はまるで猛に見せ付けるように未来とその場を立ち去った。

思いつめた顔で未来は「良介に相談があるのとっても大事な・」
「ん？なに？」
「実は、・」
『キャーずるい彼女ばかり！』などと廻りははやし立てているが、そんな事もお構いなしに未来は話し始める。
「ココを離れたい・・・ねぇー、良介の所に行っちゃ駄目？・・・」ここにいると辛いの・・・と未来は良介に囁いた。

『でもね未来・・』
「ごめんなさいママ…我儘ばかり言って、ママの心配はわかるけれど・・・良介にも迷惑をかけてしまうことも・・・」
『いくら2ＬＤＫのマンションといったってね？』
「ママ・・・本当の心配は良介さんとのことでしょ？」
『イイのよ…貴女は私の本当の娘だと…いえ…そのつもりなんだし！！
良介も貴女の事大切にしているし、でも、もし好きな人が出来たら・・・』（誤解されるかもしれない…散々振り回してきたし…）と未来は思った。『誤解するかも』だが、意外にあっさり許しというのは出た。
しかし、未来の過去については、実にあっさりとしたものがあり・・随分とオープンにしている。物心のついたときには、周りから要らぬ噂で傷つくよりとの思いから知らされていた。
そりゃあショックじゃないといえば嘘になるが…その分義父母の愛情を確り貰っていた！
のでグレル等と言う言葉は、無縁であった。
なんと言っても、良介の未来の可愛がり様は、半端じゃなかった。
両親の子供は良介だけであるのも未来の下にいないのも、母がもともと子供が出来にくく…流産の末やっと良介だけが授かったのであり、この後の流産によって、子供は望めなくなったからである。
だからっと言って未来を、引き取ったというのではない！！という事だけは追記しておこう…。

「僕は奥の部屋を使うから、未来はこの部屋を使いなさい」
「ありがとう良介・・・もし彼女が出来て…邪魔になったら言って・・・・
出て行くから・・・私が同じ大学に通う事になったら・・・やきもちを焼く彼女がいるかもね？」ふふふふふ・・と笑って言う未来の言う事に良介は苦笑するしかなかった・・・『一番良く知ってるくせに』と未来の消えたドアに向かい呟いた。

『猛・・彼女義理の兄のマンションに居るんだってな』
『ああ相らしい』
『いいのかよ！！このままで？・・・何もなら無いぞ？』
『ああ解っている！！・・・けどな・・あいつが居る限りどうにも成らない』
『嘘をついていたんだろう？』
『ああ・・』
『だったらなぜ？何時までも相している？気持ちなんかひとかけらも無いくせに！！！』
『今更・・・戻れないよ・・・あんな裏切りをして・・・』
ハアッと溜息をつく猛。
その姿を見つめる明日実が居た

それぞれの胸に、それぞれの思いを抱え、月日は流れていった。
表面上は穏やかに、そしてヒッソリと苦悩を植え付け、苦悩は膨らみ続けていく・・・。
「未来なんだって今更・・」「どうして」未来を近くに見据えながら・・・良介が苦悩する。
そんな所へ、未来は帰って来ちゃうんだから・・・運命なんてものはわかんないものよね？
そりゃそうだモンね・・・ウサギちゃんの前ににんじん・・・いや・・・狼さんの前に赤頭巾ちゃん状態なんだから・・・・良介も堪ったモンじゃない！
毎日毎日・・・悶々と過してるんだから良く我慢できるな～と・・・思うんだなこれが。
だけど、今日に限ってその微妙なバランスが崩れた・・・
「りょうすけ？」明るく笑って帰ってきた未来に・・・
『何時か・・』良介の手が未来の頬に触れる・・・良介の顔が近づきそっと未来に口付け、またそっと離れる。
未来は口元に指を持って行き、そっとなぞって見る。
『いつか応えてくれ・・何時までも待ってる・・・何があっても・・・これからも心が変わることは無い・・・みく・・・愛してる』
すっと部屋に戻る良介に対して、未来は、呆然と立ち尽くしていた。

パタンとドアが閉まる音がする。
部屋に戻った未来は、ドアにもたれ・・宙を見つめる。
『あの彼を忘れようとして、全然忘れていない・・』
『私・・・自信が無い・・・・・・貴方に愛される・・・』涙が一すじ頬を濡らす。
「うっ・・・うっ・・・」むせび泣きが漏れる。
その頃・・・良介は・・・医学書片手に猛勉強中であった。

次の日・・・未来の行く前を遮る者がいた。
「あなたは・・」
「未来さん・・・彼・・・貴女の事ばかり考えている・・・」
「猛さんの元に戻ってあげて・・・・」
明日実は訴える・・・。
『勝手な事を』スイーっと避けて未来はその場を離れ・・・明日実を残し去っていく。
後ろで明日実が叫ぶ『私では駄目！！わかってたの・・・同情だって！！だから直ぐに別れる事になってしまった！！』
『遅いわ・・・今更・・・もう・・私・・良介を・・・』
辛そうな顔をしながら・・・歩き出す。
『良介を裏切ったり出来ない・・・もう二度と・・・』
そう決心しながら未来はマンションへと帰った。

未来が帰って、程なくして・・良介が帰ってきた！！笑顔を振りまきながら・・・一体何があったのだろうか？こんな顔は暫く見ていなかった。
「良？」「やった！！未来！！」
「どうしたの？良介」未来が困惑して訊ねる。
「未来！！受かったよ！！」良介が満面の笑みで応える。
「本当良介？」「ああ」
「良かった・・・私が迷惑ばかりかけていたのに・・・」
「馬鹿な！！未来が、僕の元に戻って来てくれたから・・・受かったのさ・・」そう言いながら、未来を自分のほうへ抱き寄せて、未来の唇にそっと自分のを重ね合わせていく。
未来は少しはにかみながら・・距離を置いて・・
「良ったら・・いつの間に口まで上手くなったの！！」
「いいや・・本当に僕の未来だもの、みくは・・・」
もう一度未来をを胸に抱き、良介は未来が拒まないのを確かめてから、未来に口付けて行った。
未来に抗う力などありはしない。
良介は未来を抱き上げると、自分の部屋へと向かった。

そっと壊れ物を扱うように、良介は未来をベッドの上に降ろした。
二人はそっと重なり合って・・・愛を確かめ合っていく。
「あっ・・・りょ・・う・・」
「愛している未来」そう言いながら未来の胸の辺りを、弄っていた手が、服の中へと入り込む。
「あぁっ・・・・」「はっ・・・・」だんだん息の荒くなる未来を、これまたいつの間にか服を全て脱がしてしまった良介が・・・今度は手早く自分の服を脱ぎ捨てると、未来の上へと覆いかぶさっていく・・・。
『良介・・・』未来は、荒く息を切らしながら、良介の愛に応えるように、良介の愛撫に身をゆだねていく。

未来がココにいることを確かめるようにきつく抱きしめ、良介の愛を、未来に教え込むように、優しくときに激しく貪りながら・・・未来と一つに溶け合って行く。
そして自分を、深く刻み込んでいく良介を未来は黙って受け入れる。
『貴方と共に生きよう・・・私は貴方とともにある』と声にならない声で、誓いを立てる未来であった。

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