劇場通いの芝居のはなし

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2019.06.20
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カテゴリ: 演出ノート(3)
なぜパンを食べないのかと訊かれて、生きたジョロウグモを食べたのでおなかがいっぱいだと答えます。ジョロウグモを捕まえるにはすばしこさと度胸がいると歌って、みんなをうらやましがらせます。彼の運動能力の高さを示していますが、ちょっと嫌みな感じがあります。ブンナがジョロウグモを食べる、ということは、彼らカエルもまたヘビなどに食べられるのだということで、これは後の内容につながりをもっています。

のどかな気分が突然、緊張で凍り付きます。ヘビが迫ってきたのです。這いずる音を聞き止めて、ブンナが危険を知らせる。カエルたちは身を隠します。
シューッと、息使いを音響効果で聞かせて、ヘビが登場します。しなやかな動きが欲しいこともあり、女性に振りました。衣装にも、光るものがほしいです。手は身体にそえて動かさず、頭を前に突き出して、蛇行するように進みます。立ち止まって、上体を動かして辺りをうかがう。しかし、カエルたちの姿はみえません。結局、ヘビは獲物を捕まえ損ない、空腹で文句を言いながら退場します。ホッとした気分が戻る。と、鋭い悲鳴と鳴き声が。ヘビが一匹の母ガエルを餌食にしたのです。カエルたちは悲しみよりもあきらめの気分に満たされます。
「おれたちゃ、けっして弱虫じゃない。でも、この世はおとぎ話じゃない」
弱いものは強いものの餌食になる。残念だけど、仕方がない。それが運命なのだ。わたしはこれを歌でなく、少し節をつけたシュプレッヒコールで語らせます。カエルたちを二つのグループに分け、マスゲームのように交差し入れ替わるように、動かしました。

サス明かりの中のブンナの場面がはさまります。そして別の時間にゆきます。
次の場面で、ブンナと他の子ガエルたちは赤トンボを捕まえようとしますが、トンボは飛んで逃げてしまいます。「秋の夕陽に」と歌っているのんきなトンボですが、空を飛べる相手を捕まえるのは難しい。ブンナは、自分も羽があって飛べたらいいのに、と思います。大体、彼は他のカエルたちよりも高い場所にいるのが好きです。上から見下ろすということに、快感があるのでしょう。それは高慢さでもあり、またより広い視野を持ちたい、つまり広い世界を見たいという願望でもあります。

近くに、高く伸びた椎の木があります。ブンナはその木のてっぺんに上ることにします。慎重に木をよじ登り、ついにてっぺんにのぼりつきます。木登りの様子はマイムにしました。一足ずつ、歌いながら手と上に差し伸べて、引き下ろす。と同時に、足を上げ下げします。上るタイミングのときに、手に体を引き上げる力、足に踏みしめる力を感じさせることが必要です。
by 神澤和明





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Last updated  2019.06.20 09:00:11


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