Nostalgie

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第四章 「白昼の神隠し」


まだ、耳新しい事件なので、読者諸兄の中にも、ご記憶の方もあるやもしれぬ。
参考のために、その新聞記事全文を、ここに書き写しておくことにする。

白昼の神隠し。
某月某日、G市市街地に於いて、妙麗の美女が神隠しにあったかの如く、
姿を消したことが判明した。
行方知れずになっているのは、G市○○町居住の主婦、某何々で、帰宅
せぬのを心配した家族が、捜索願いを提出したことで判明した。
G市警察の調べによると、某何々は、同日昼頃、友人達と茶話会を催した後、
ぷっつりと姿を消した。
家出するような理由も見当たらず、G市警察では、
何らかの事件にまきこまれた可能性もあるとして捜査している。
市民各位、些細なことにても人命にかかわることなれば、
情報を入手せられん方は、
最寄りのの警察まで一報を乞う。
写真・某何々。

 写真によれば、髪の毛は少し亜麻色がかった黒のミディアム。
いたづらっぽい瞳をした、たいそうな美人である。
三十幾つと記載されていたが、とても三十路を過ぎたようには見えぬ、
麗々しい奥方である。

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