浅きを去って深きに就く

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

January 2, 2018
XML
カテゴリ: 抜き書き

洋の東西を問わず、古代・中世においては「貧困」は悪ではありませんでした。病や障害などによって、貧困の境涯に落ちた人々は、軽蔑の対象どころか、しばしば「聖なる存在」として大切にされたのです。それは身体的、精神的障害を持った人々も同様でした。当時、最大の罪であり、最大に軽蔑すべきは「貪欲」だったのです。

それがヨーロッパにおいては十七世紀から、「怠惰」が最大の罪となっていったのです。貧困者は畏敬の念をもって施与される対象ではなくなりました。貧困を神聖と考える感性が失われていったのです。貧困や狂気は侮蔑の対象となったのです。施設に収容され、労働のために教育されました。これが、フーコーが『狂気の歴史』で立証したことです。今でも、インドに行くと貧困を神聖とする感性が残っています。インドの聖者は金持ちではダメです。だから、多くのインドの金持ちは最終的に財産を捨てようとします。そのことは、日本とインドの最大の違いかもしれません。

以上のようなことからも分かるように、今の日本の感性や常識で、単なる慈善ではなく、宗教的実践である古のインドの施与、布施を考えることはできません。

【ブッダは歩む ブッダは語る——ほんとうの釈尊の姿 そして宗教のあり方を問う】友岡雅弥著/第三文明社






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  January 2, 2018 02:15:49 AM コメントを書く
[抜き書き] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

三土明笑@ Re:間違いだらけの靖国論議(11/26) New! 中野先生の書評をこうして広めていただけ…
家父長制の復活に怯える女性@ Re:女性が豊かに生きるために必要なこと(05/30) パラグアイの政治や憲法含む法律や、いま…
シャドウズ@ Re:アフリカ出身のサムライ 弥介(弥助)(10/08) どの史料から、 弥助をサムライだと 断じ…
ジュン@ Re:悲劇のはじまりは自分を軽蔑したこと(12/24) 偶然拝見しました。信心していますが、ま…
エキソエレクトロン@ Re:宝剣の如き人格(12/28) ルパン三世のマモーの正体。それはプロテ…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: