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January 21, 2018
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カテゴリ: 宗教と社会

文明とは、人間が森や草原と共生するのをやめて、自然に手を加え、農地を耕し、都市を建設することをいう。社会は急速に変化し始め、複雑となり、文字と歴史が生まれる。

人びとは自然から切り離され、都市に集まり、人工的な環境のなかで、この世界の過去とゆく末とを考えたのだ。

それ以前の人びとは、自然と共生し、自然に包容されて生きてきた。世界と自然とは、区別されなかった。自然の背後に知性(霊)が宿っていると考えれば、それなりに安定した。自然が、知性を超えた、考えられないものだったのである。

日本人は、こうした側面をつい最近まで残していた。

日本の都市は、自然とはっきり区別された境界(城壁)を持たなかった。日本に伝わった仏教は、経典を読まなくてもよいという、浄土真宗(念仏)や法華宗(題目)に変わってしまった。日本に伝わった儒教は、四書五経を読むことより天皇に真心を尽くすことのほうが大切だという尊皇思想に変わってしまった。そして江戸幕府も、明治政府も、宗教は政府に反対する反体制の思想だと警戒した。特定の宗教に熱心だと、出世や商売にさしつかえた。日本人は、宗教を、知性と結びつけて理解することができなかった。

これは、文明国としては、めずらしい現象かもしれない。

日本人にとって、宗教は知的な活動でないから、病気や災難にあって困っているひとの気休めか、人をだます迷信ということになる。そこで、宗教とはなんだろう?という疑問を、もつようになる。

そういう素朴な疑問は、そろそろ卒業にしよう。

【世界がわかる宗教社会学入門】橋爪大三郎著/ちくま文庫






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Last updated  January 21, 2018 03:53:01 AM コメントを書く
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