いつかどこかで

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『ステップフォードの妻たち』



映画 『 ステップフォード・ワイフ 』 2004米   原題  『 To Die For 』

        原作  アイラ・レヴィン
        監督 フランク・オズ
        出演 ニコール・キッドマン マシュー・ブロデリック ベット・ミドラー クリストファーウォーケン グレン・クローズ


ジョアンナはEBSテレビの敏腕プロデューサー。しかし、番組に出演したことが原因で妻に捨てられた男が銃乱射事件を起こし、ジョアンナはクビに。
ジョアンナを気遣って自身も副局長を辞職した夫ウォルターと子供2人の一家4人は、新しい人生を始めようと、郊外のステップフォードに移り住む。
そこは豪邸が並ぶ美しい住宅地。人々もみんな幸せそう。
しかし、この街には恐ろしい秘密が隠されていた。


豪華キャストによるポップなブラック・コメディ。
ステップフォードの妻たちはみんなブロンドで美しく、明るい色のドレスにエプロン姿で明るい笑顔。
家は磨きたてられ、食事は文句なし、夫に従順でお菓子作りやクリスマスのデコレーションに心を砕き ・・・。

とここまで観れば、あとは想像どおりの展開。
でも、ポップな映像と、気持ち悪さと豪華キャストの軽妙な会話を楽しめれば ・・・・ と思ったのだけど、結局どれもいまいちでした。
良かったのは、最初のタイトルバックに次々と映される写真。
50年代の主婦雑誌風に、外巻きカールに満面の笑みで家事をこなす理想の主婦像で、気持ち悪さ満点。
必要以上に映画に期待してしまいました。

ちょっと似たタイプの映画で、 ロバート・ゼメキス の名作 『 永遠に美しく 』 を思い出したけど、あれほどの毒も風刺もなく、また、 ティム・バートン なんかならもっとシュールな映像で魅せただろうななどと考えながら見てしまいました。

テーマとしては、男性上位社会で女性を縛っているのは実は女性自身、という構図が面白かった。



小説 『 ステップフォードの妻たち 』
  1972年  アイラ・レヴィン 作  平尾圭吾 訳


アイラ・レヴィン、やるなぁ。
『 死の接吻 』『 ローズマリーの赤ちゃん 』『 ブラジルから来た少年 』 、どれも普通に面白かったけど、 これもなかなか。
ブラック・コメディですが、かなりブラックの濃いコメディ、というかスリーラーです。

特におどろおどろしい場面があるわけではなく、些細でありふれた滑稽でさえある普通の日常生活と会話の中に、時間が過ぎてゆく様がからりとした文章で淡々と描かれます。
それがある時点でふと、もう時間がないことに気付かされ、そこから一気に終幕に向って転がり落ちるようなそら恐さを感じさせられます。
ラスト、何の解決も救いもないのがまた 「 コワ面白い 」 のでした。

今のアメリカでは “ ステップフォード  ” という言葉は

「 中身の無い空っぽな、従順で自分の意見を言わない 」

という意味と同義語になっているとか。
それほどポピュラーなのですね。

先に映画を観ていたので、ある程度予測がついてしまったことがとても残念。
でなければ、本当に何かが起っているのか、主人公ジョアンナの妄想なのか、最後まで分からずにどきどきしながら読めたかも。
とはいえ、後半は例によって原作と映画、全く違う展開なので、それなりに楽しめました。

男たちが求める “ 理想の妻 ” 像への皮肉と馬鹿々々しさはある程度映画でも伝わりましたが、メッセージとしては逆だし、うーむ、
どうしてこうなるのかな。
原作とは違うものが出来上がっても映画として面白ければいいわけだけど、この物語に関しては原作どおり作った方が、どれほど
面白かったか、と思います。
台詞で笑わせるコメディとしては、アメリカ人にとては現代社会への風刺の効いた、楽しい映画であったようです。






1974年、 キャサリン・ロス主演で製作された 『 ステップフォードの妻たち 』 は、ニコール・キッドマン版とはまた全く違っていて、こちらの方が数段
面白いという評も読んだので、機会があったらこれも観ましょう。


キッドマン版の監督フランク・オズという人をあまり良く知りませんが、監督作品の中では 『 リトルショップ・オブ・ホラーズ 』 は好きです。
『 ステップフォード・ワイフ 』 も感動のラストなど作らず、いっそあれくらい馬鹿々々しくシュールなら、良かったのに。






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