『 パンズ・ラビリンス 』
2006 スペイン・メキシコ・米
監督 ギレルモ・デル・トロ
出演 イナバ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ
1940年代スペイン。
内戦は一応の終結をみたものの山ではまだ人民解放軍によるゲリラ戦が続いており、軍は状況を掌握するべく山中に駐屯している。
少女オフェリアは、身重の母と共に母の再婚相手、仏軍のビダル大尉が駐屯する山へ赴く。
母親は体調が思わしくなく、父親は冷酷非道な人物で、オフェリアは過酷な生活を強いられる。
そこに妖精が現れ、導かれた森の中の迷宮ではパン( 牧神 ) が王女の帰還を待っていた。
オフェリアは地中の王国に戻るために3つの試練を与えられる。
予告編から、摩訶不思議なダーク・ファンタジーという印象を受け楽しみに観に行きましたが、正直なところ、気分が悪くなりました。
際限なく血と涙が流れ、ダークを通り越してグロテスクな映像に絶句しました。
妖精や、パンやグールは容姿もグロテスク。
グールが妖精を喰らうシーンや、人間になりたい植物マンドラゴラ (?赤ん坊の形をした木の根っこ ) が悲鳴を上げながら焼かれるシーンなど
では思わず目を覆いました。
しかし気分が悪くなるほど残酷だったのは、幻想世界ではなく現実の世界です。
残虐で知られるフランコ政権下のスペインを舞台にしたこの物語、映画の中でもオフェリアの継父ビダル大尉は、人民戦線の残党や疑わしい
者を拷問し、次々と殺します。
幼いオフェリアにとっての現実は、空想の世界に逃げ込むしかないほど過酷であったことが描かれます。
だからこの物語は、他の多くのファンタジーのように必ずしも 「 こんな世界が本当にあるのよ 」 を前提としておらず、もしかしたら全ては
オフェリアの空想かも知れない、と見ることもできそうです。
世界中で多くの映画賞を獲ったようです。
確かに人間の醜さを際立たせた映像は美しいといえなくもないです。
私には、あの暴力的残忍さ ・・・・・ 駄目でした。
もうひとつ駄目だったことの理由に、主人公への感情移入ができなかった、というのがあります。
どうも、オフェリアのキャラクターが一貫していないように感じられて。
勇敢で健気と描かれていながら、パンに何度も厳しく禁止されている食べ物を妖精の制止を振り切ってまで食べるのは変。
冒険好きのいたずらっ子に描かれているならそれも面白いけど。
子供っていろんな面を持ってるとか何とかどうとでも言えるでしょうけど、映画としては何となく最後まで違和感がありました。
ま、これは私の性分だから仕方ありません。
『 ローズ・イン・タイドランド 』 と比較すると。
同じく過酷な現実にある少女が迷い込む不思議世界が描かれていますが、『 ローズ~ 』 は精神とか思想の歪みというか、その
非日常性がグロテスクなのですね。
肉体的な苦痛はなし。化け物もなし。主人公の少女はあくまであっけらかんとしています。
『 パンズ~ 』 は、人間の普遍的な残虐さみたいなものがベースになっていて、肉体的な苦痛がこれでもかこれでもかと描かれ、少女は
勇敢さを試されます。
言葉にすると、ダークでグロテスクは同じでも、” シュール ” がないのね。
どちらのファンタジーを好むか。純粋に嗜好の別れるところでしょうね。
( 『 ハリー・ポッター 』『 ライラ 』『 ナルニア 』『 指輪物語 』 ・・・・・ そういうのはまあ、わたし的には論外なわけです。あ、原作じゃなく映画と
してですが。スミマセン )


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