日々のあぶく?

日々のあぶく?

October 27, 2005
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カテゴリ: 本
ほんの百年すこし前の物語。

そこで彼は四季折々の天地自然の「木」、犬や狸、小鬼、そして高堂と出会う。

短編集(長さとしては連作ショーとショートになるのだろうか?)の中に穏やかな交歓の記録が詰まっている。
征四郎と高堂の飄々としたやり取り、ゴローの活躍、サルスベリの恋心、和尚や長虫屋、隣のおかみさんなどすべてにおいて穏やかで、どこかホッとする一冊になっている。
ホッとしながらもちょっと切なかったり、蛍のイメージがする。
高堂と征四郎の違いはラストで明らかになるが、だからと言ってそれで関係が終わりとならないのがまた良かった。
カラスウリの章で夢でヤモリ(家守)となる征四郎が描かれているが、それがさりげなく真実を言い当てていたのだなぁと思う。
不思議譚。


サルスベリ・庭のサルスベリに懸想された征四郎の前に亡き高堂が居間の掛け軸から出てきて対策法を教えてくれた。彼との初めての再会。
都わすれ・縁先に来た犬をゴローと名付け、置いてやれと言う高堂。隣のおかみさんにより高堂が犬を飼いたかった事が判明す。
ヒツジグサ・池に咲くヒツジグサが「けけけっ」と鳴く。不審に思い見てみると葉の影に緑色の物体が。和尚によるとそれは河童だと言うことでゴローに滝壷まで持っていかせる。
ダァリヤ・長虫屋の依頼を断る。御遣いに出たゴロー帰ってくる。赤い花の咲く家の娘が花の名はダァリヤだと教えてくれる。
ドクダミ・河童の衣を拾う。それを河童に返してやれと高堂が言う。
カラスウリ・床が抜けた勝手の土間に生え放題のカラスウリ。その側で居眠りした征四郎は夢の中で自分がヤモリだった事を高堂から告げられる。目覚めた後、カラスウリの花に精気を吸われた様な干からびたヤモリを見つける。
竹の花・和尚と共に寺を目指すが、行く手を阻む竹林。迎えに来た女により和尚は化けだ抜きだった事が判明。そして女はサルスベリだった。
白木蓮・白木蓮に雷が落ち、タツノオトシゴを孕んだと言う。高堂と共に竜の誕生を見届ける。白竜だった。
木槿(むくげ)・土耳古(トルコ)に行った友人の手紙に触発され、庭に我が土耳古の丘を想定する。そこにある燈篭から木槿の季節になるとマリアに見立てた地蔵菩薩・賓客が訪れる。
―信仰は人の心の深みに埋めておくもの、とそっと諭す高堂が凛としている。
ツリガネニンジン・店じまいしたと言う旅籠に人の影を見る。家に帰ると旅籠で見かけた影が二階いる。庭で咲くのはツリガネニンジンの花であった。

紅葉・野分の次の日、池に迷い込んだ鮎のような上半身は女人のようなもの。高堂は竜田姫の侍女を捜しにくる。
葛・後輩で編集者の山内は不思議なこと、高堂の事を書けという。池にはネットをかけ、人魚を保護する。
萩・人魚(天女)は迎え(サル)に乗って帰る事を高堂は告げる。
ススキ・ススキ野原でゴローと寝ようとするがなにやら回りが騒がしい。いい場所には(死後)埋まりたがると高堂は言う。
ホトトギス・松茸狩りを和尚に誘われる。寺に来た不思議な尼を介抱するとそれは信心深い狸だった。化かした詫びに松茸とホトトギス一茎置いていった。

ネズ・人に良く似たカワウソの釣りに見入った征四郎は気に入られてしまう。取り付かれそうなのを解くために出向いた先で件の長虫屋がカワウソと人間の混血である事を知る。
サザンカ・ダァリヤの君の友人・佐保が川辺で首をつった。しかし、それは春の女神になるため、魚が先導の船の上、嫁入り衣装を身にまとう彼女を見る。そして、高堂の事を思う。
リュウノヒゲ・庭に先にリュウノヒゲの実が一杯。湖の周りには龍にまつわるものが多いとか。
檸檬・ダァリヤの君との会話。彼女の友人も高堂も姿を見せない冬の一日。
南天・サルスベリが家の魔よけの札がネズミに引っかかれたと教えてくれる。札屋は長虫屋の弟。入っていたのは南天だった。
ふきのとう・小鬼を手伝いふきのとうを取る。高堂が帰ってくる。啓蟄の日。
セツブンソウ・あちこちの仲裁を引き受けているらしいゴロー。高堂のいる湖の底を見てみたいと告げる。
貝母(ばいも)・筍を探しているうちに高堂のいる場所へつながる道の淵に辿り着く。だが、今は帰ろう。
山椒・和尚が筍を持ってくる。が、それはいつかの狸だった。どこかへ引きずり込まれそうな征四郎に苦言を残す。
桜・見ほれた桜。桜鬼が暇乞いに枕許に立つ。
葡萄・夢の中、ゴローの先導によってたどり着いた先、手をつけられない葡萄。勧める紳士。しかし、自分はまだここには来れない。高堂の家を守らねば。そんな彼のもとをまた訪れると約束する高堂。

見返しの神坂雪佳の版画(?)もなんだかいい。





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Last updated  October 27, 2005 12:37:10 PM


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