日々のあぶく?

日々のあぶく?

November 23, 2005
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北関東新聞の古参記者・悠木和雅は十七年前に果たせなかった衝立岩への登攀を前に思い出していた。

十七年前のあの日、御巣鷹山で墜落事故が発生、全権デスクを任された悠木。
その頃、彼と約束をしていた安西耿一郎も山とは違う歓楽街で倒れ、植物状態に。
「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残したまま―。
未曾有の巨大事故、社内の確執、対立、過去の栄光に執着する上司、記者としてのプライド、遺族の思い、さまざまな思いが渦巻く。
また、悠木自身、息子・淳との関係に苦悩していた。
さらに残された安西の家族のこと、山に向かうはずの安西が歓楽街にいたということも気懸かりとなっていた。

御巣鷹山と衝立岩、二つの「魔の山」、現在と過去に挟まれた悠木の選択とは?

警察内部を題材にした小説で定評のある横山氏であるが、

社内の人間関係なども部署によっても事件に対する温度差がまったく違うことなどリアリティがある。
舞台は北関東新聞社だが、横山氏自身は北関のライバル・上毛新聞社の記者だったようである。
事故が起こったのは昭和六十年八月十二日。
その頃、横山氏は現役新聞記者だったようであるが、実体験が反映されているのだろうか?

今は当たり前になっている携帯電話もない頃のもどかしさもひしひしと感じられる。

厚みのある人間関係、巨大な事件とそれに対応する人々、その周りの人々、読み応えのあるクライマックス部分は特にゾクゾクし、
ラストの悠木と安西の息子・燐太郎にはほくっとさせられる。





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Last updated  November 23, 2005 09:50:44 PM


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