日々のあぶく?

日々のあぶく?

December 26, 2005
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カテゴリ: 本
となり町戦争
これはそんな世界を短編とショートで構成した一冊。

二階扉をつけてください・
すでに回覧板でお知らせしたと「先住民」の女性から告げられ、訳も分からず二階扉をつけることにした。
二階扉は特殊らしく、工務店も「二階扉製造・取り付け」の職業欄が独立しているほど。
しかも、見積も項目がバラバラで何がなんだか分からない。
とにかく、取り付け、新しくきた回覧板をみないまま二階扉に鍵をかけ、
産後の静養を終えた妻と娘を待つ私…

初めから危ないと思ってた。

ラストは容易に想像できながらも、ゾクっとする一編。

しあわせな光・
丘の上から見えるのは亡き両親と共に暮らす僕の姿。

二人の記憶・
僕と彼女の関係は上手くいっていた。
二人の記憶が食い違う以外は―

ここまで大げさではなくても、人の記憶は食い違うこともある。
それでも大事な核(となる記憶)があるならば一緒にいられるとそっと伝えてくれる話。

バスジャック・
「バスジャック」がブーム。
規律もあり、違反すれば減点もありうるという。

「ツレ」・最後部の座席で銃を持ち、車内全体を見渡す、
「地謡」・火薬の入ったバックを肩から提げ、起爆装置を持つ、
「後見」・中立的立場でバスジャックに立ち会う、という役割分担もある。
バスジャックに期待する乗客も多いが、その分、彼らに大義名分などを求める気持ちも強い。
今回乗り合わせたバスジャックのメンバーは流行に乗りたいだけの期待はずれの面々だった。


この設定が絶妙。
細部までよく出来ていて、バスジャックが体系化されたという前提で参考文献まで実際あるかのように提示している。

雨降る夜に・
雨降る夜に彼女は来る、本を借りに。

不思議なんだけど、こんなことあったら面白いと思わせる一編。

動物園・
動物が少ない動物園などに派遣されるのは、依頼された動物を「表出」「融合」「拡散」「固定」できるエキスパート。
イメージを表に出して固定できる、しかもそのやり方にもいろいろあり、
老舗と新しく出てきたところのせめぎ合いもある。
飼育員からは偽物を見せるというところから反撥にあうことも多いが、その能力を認めてくれる人もいる。
今回の目玉はヒノヤマホウオウだ。

檻の中にいること、自由になることも絡ませ展開する物語。
能力者の物語でもあるのだが、いかにもそれが当たり前のようにいるので違和感がない。

送りの夏・
母親が突然出て行った。父は飄々と構えていて腹立たしい限り。
父の手帳を盗み見て、母の居所を突き止めた麻美が見たのは人形のように動かない人々と一緒にいる母を含めた人たちだった。
動かない人たちは死んでいるのか、マネキンなのか、判別しにくいのだが、
一緒にいる人々はそれぞれ、彼らの死が受け入れられない人々だった―

「誰かの死」を受け入れるための時間があってもいい。
穏やかに過ぎる時間の中にある温かい人々の交流。
奔放な母がいっしょにいる直樹が誰か(母とどんな関係だったのか)最後まで分からないが、
麻美の父が言う「信じるのではなく、信頼している」(信じていると言うのは一方的な気持ちの押し付けだが、信頼とはお互いを認め合える関係のこと)という言葉が響く。
全てが分からなくても、信頼しているからこそ見守れる、そんな父親の存在が大きい。





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Last updated  December 26, 2005 10:32:27 PM


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