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April 17, 2006

はなうた日和・山本幸久

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(100520)

カテゴリ：本

あちらこちらに出てくる未名未コーポレーション、世田谷もなか、などは凸凹デイズ
出版年月はこちらが先だが、どちらを先に読んでも登場人物はかぶってないので大丈夫。

こどももおとなも人生はハプニングづくし。
世田谷線沿線を舞台に描かれる短編集。

閣下のお出まし・
母親と喧嘩して家を飛び出した一番は、離婚した父親の家をたずねることに。
家に父は不在で、一番は父と同棲している母子の存在を知る。
一人で留守番をしていた子・ハジメに歓迎された一番だったが―

「スナックとき」で働く陸子を訪ねて来た女がいるという。
豪徳寺で常連の河田に会う。彼は植木職人の頭領だった。いつも無口の彼と違う面を見る陸子。
死んだ元上司(未名未コーポレーション)で不倫相手だったソラヲのことを思い出す陸子の前にソラヲの妻が現れる。

ハッピー・バースディ・
定年間際の新東京プラスチックの虹脇は新小岩にある玩具メーカーの社長・鷹野に連れられ、歌舞伎座の裏にある思い出の店に。
そこで虹脇は部下・櫻井に相談があるといわれ、四谷三丁目にある狸の店に行ったこと、
社内構想から一歩引いている虹脇には"社内で偉い人を殴ったことがある"という伝説を聞いた彼女から
最近、取引先の社長令嬢と婚約した、一時関係があった副社長を殴って欲しいと頼まれたことを明かす。
退職の日、副社長を殴ろうかとした彼の前に櫻井の同期の青年・折坂が現れ、副社長を殴った。
櫻井と同じ頼まれ事をしていた折坂を見、かつて現社長を殴ったことを思い出す。

普通の名字・

そこで、経営者の一人・柴谷からお見合いを勧められる。
選んだ相手は昔の夫と正反対の不器用そうな、"普通の名字である"ことは分かるが、正確な名前を柴谷に覚えてもらえないような男。
雑貨屋にTV取材が入った日にその男・山田はミトコを訪ねてくる。
「女性と一対一になるとあがって喋れなくなるような自分だが、上司の奥さんから女を紹介されるなんてかっこ悪い。だから、御見合い当日はドタキャンする」
という彼に好感をもったミトコは、見合いは2人でドタキャンし、買物に行こうと誘うのだった。

別れた彼女・香寿美がボストンへ留学してから二ヶ月、連絡もせずにいる織部。
世田谷もなかのパッケージデザインの新案を出した会議の途中、彼の目に写ったのは犬に逃げられた男の姿。
会議を抜け出し、散歩代行を仕事にしながらも犬に逃げられること多数の千倉。
彼とゴスケ(犬)を探しながら、ふらふらしていて香寿美をいらだたせたこと、黙って堕胎されたこと、を思い出す。
情けない千倉はかつての会社(缶コーヒーの会社？)をリストラされ、妻の会社に入ったことなどが明らかになる。
彼に自分を重ね合わせ、ボストンに連絡しようと考えるー

五歳と十ヶ月・
女優志願だったが、今は(オタクくんたちの)撮影会のモデルの仕事をしているミドリ。
芸名も何度も変わり、本当の名前・鏡子さえ忘れてしまいそうだ。
「溝口さん」昔の名字で声をかけてきたのは中学の同級生だった真田。
肯定してくれたかつての真田は五歳と十ヶ月の真田の娘と一緒だった。
学校の思い出、父親が株に失敗し手放した家のこと(今は人手に渡り、「ガヤガヤ雑貨」のあるビルになっている)、などを話す。
かつての自分の家族の姿が真田と娘に重なる―

意外な兄弟・
包装用紙課の上司・須長に誘われて呑みに行くことになった沼野。
同期の水村は研究室の準リーダーとなっていて、バナナなどの農産廃棄物を使った紙の研究をしている。
仕事に馴染めず、辞めようかと思い、特撮マニアの仲間と饅頭を食べながら語り合う。
そこで新しい道を歩もうかと言い出す奴、それを裏切りだという奴が出る。
いろいろなことが胸中を巡る中、特撮番組の主題歌を聞きながらバナナペーパーの(バナナ饅頭がヒントとなった)企画を打ち出す。
いまこそ、オレがキャタストロフィン(特撮の主人公：マジになるということ)。

うぐいす・
ウグイスの鳴きまねがうまかった次郎さんはもういない。
最近、ボケを疑われるサトヨは嫁に散歩代行の付き添い(千倉)をつけられる。
次郎さんとの思い出の家(畳屋)も立て直されることになり、
お互い見合いと知らず連れて行かれた彼との出会い、結婚を決めてから(次郎さんに)恋をしたことなどを思い起こす。
いろいろなものがなくなる、死ぬのは怖くないが、愛した人の思い出がこの世から消えてしまうのが悲しくてならない―

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