お茶かけごはん と ねこまんま

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いい人




 世の中には、「いい人」が陥りやすい「お人よし」という落とし穴をうまく利用する輩がいる。

 教材が届いた時点で、すでに気付いていたうさん臭さに蓋をしてしまった私は、視界を限定された馬車馬のようにパソコンに向かうことで不安を忘れようとした。

 WEBデザイナーコースを選んだが、実際にHTMLについて習う前に、パソコンの一般常識についてのテストをパスしなければならなかった。
 指定されたテキストを読むが、初めて触れるカタカナ言葉とアルファベットの羅列に打ちのめされた。
 案の定、ネット上で受ける三択の試験に2度続けて落ちた。自信を失くした私は、担当者に電話で相談した。
 「大丈夫ですよ。何度か受けるうちにだいたい試験の問題が出揃いますから、そのうち答が分かりますよ。」

 じゃあ、このテキストは何なんだ?

 そう思うのが自然だ。しかし初めて触れるパソコンの世界。これが常識なのだろうか?今後仕事をもらえるのであればよしとしよう。
―つくづく私は「いい人」だった。

 どうにか、2段階の一般常識テストに合格し、いよいよWEB教材を使って、HTMLでWEBページを作成するレッスンに入った。
 これは楽しかった。
 順を追って教えられるとおりにHTMLを打ち込んでいくと、ネットで見るようなページができるという、生まれて初めての経験に私は夢中になった。
 その楽しさが、ますます私の警戒心を鈍らせた。
 寝る間も惜しんでパソコンに向かい、ついに「初級試験」に挑戦する日が来た。

 受講を申し込んでから4ヵ月間がタイムリミット。それまでに全ての試験に合格してしまわないと、仕事で得る収入もないままに支払いが始まってしまう。そのためには、一つ一つの試験に一回でパスしなければならない。そう説明されていた。

 試験はメールで送られてきたテキストファイルと画像ファイルを使って、見本どおりのWEBページを作ること。2ページ作って互いにリンクさせる。
 講習よりも格段レベルが高い内容だったが、チャットで知り合ったその道に詳しい人達に教えてもらいながら、四苦八苦して作り上げた。
 完璧に出来上がった。そう確信していた。
 が、結果は不合格だった。

 メールにびっしりと書き込まれた不合格理由は、それまでに教えられた知識では理解不能と思われた。
 しかしいい人の私は「よし、前向きに頑張ろう!」と思った。
 必死にそのメールと、自分の作ったページを比較検討し、二度目の試験に挑戦。あえなく不合格。
 さらに三度目。…合格するはずがないのだ。させるつもりがないのだから。
 私の作ったページは、WEB作成を仕事にしている人に見せても特に問題はないと言われた。

 ついに私は、封印していた言葉をYahoo!の検索ウィンドに打ち込んだ。

 ―悪徳商法…。


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