ヘナヘナライター 生態日記

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加藤美保

加藤美保

2008.01.18
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宮部みゆきの「誰か」を読了。彼女の作品の中では小粒というか可もなく不可もなくというレベルだろう。が、こんな、なんてことのないものでも、私は彼女の小説が好きだ。
「誰か」は、意表をつく大どんでん返しもなく、ストーリー展開も特筆すべきことはない。ただ、宮部みゆきお得意の情景描写が生きている。宮部みゆきの文章を読むと、目の前のその光景が鮮やかに浮かび、そのときどきで、流れていく風の強さや登場人物が流している汗、体を凍らせる空気の冷たさなどを体感できる。だから、意味のない文章というか、読み飛ばす箇所がなく、文字ひとつひとつが、心のどこかに訴えかけてくる。これぞまさしく文筆家の才能、有無を言わせない才能というものだろう。

それから、彼女の作品に登場する語り部ともなる主人公、特に個性的でも特に有能でもない善良なる語り部たちも、味があって魅力がある。それは、追われる立場である犯罪者と対をなす存在で、宮部みゆきの作品ではこちらの方が個性的で魅力的な人物として描かれることが多い。個性的で魅力的な影を身にまとった犯罪者を、平凡で善良な語り部がじりじりと追い詰めていく。その過程で徐々に明らかになっていく都会という隙間に生まれる生き地獄。読むものを息苦しくさせるような残酷な影だ。

そんな宮部みゆきの作品の中で、私が特に好きなのは「火車」と「理由」。「誰か」も地味ながら結構気に入った。





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Last updated  2008.01.19 01:34:46
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