蒼い風　現象への旅

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Apr 6, 2014

無題

(2)

カテゴリ：小さい旅

　　　　　　　　　　１
　　地名をなくした野原　　地上の灯りから離れたところで
　　わたしたちは夜の木になった　　夜が夜の木に入ってくる時間がわかったよ
　　　　　　　　　　２
　　二人きりになりたいので　　わたしはどんどん一人になる
　　わたしからも一人になって　　あなたとだけいるわたしになる
　　眼鏡を忘れてきたり　上着を忘れてきたり　足跡を忘れてきたり
　　　　　　　　　　３

　　背を向けなければならないとき　ことばの代りに　それをふるわせてられるもの
　　　　　　　　　　４
　　街が近づいてきて　　お近づきのしるしのように雨が降った
　　雨に流されたのは　　殉教者風の恋人でした
　　　　　　　　　　５
　　秋になったら色を変える葉をつけて　冬には忘れられている木
　　でも木は忘れない　　あらゆることを思い出している
　　木肌がすこしあたたかいときは　優しい恋歌をうたっている
　　人間だったときに　うたえなかった　　うたを
　　　　　　　　　　　　　（書肆山田「高橋順子詩集成」所収）

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Last updated Apr 7, 2014 02:26:37 AM
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■コメント

Re:無題(04/06)

花村実葉さん

今日は。

あなたの書かれた詩なのかと思いました～♫

人間は、いつかその魂は樹と共に存在していると
わたしも思ったりしています。

樹には寿命は無いと聞いたことが有り、
樹の枝々には、若々しい生命が宿り、
幹には、多くの記憶が宿っているように
感じます。

今日も良い日を～♫ (Apr 7, 2014 11:16:32 AM)

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Re:無題(04/06)

フルーツ65 さん

忘れたり　置いて来たり　失くしたり

確かにそうだった気もして

さみしくはないけれど　せめて

「茶色いセミの羽のようなの」は

ほしい

素敵な詩を教えて下さり、ありがとうございます。 (Apr 8, 2014 09:03:59 PM)

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