火消しのヒント(3)


「燃えることと火を消す方法・後編」と題して書きたいと思います。

前回までは「燃えるもの」「酸素」「熱」のものが燃える3つの条件のことを「燃焼の三要素」といって、この組み合わせがあってはじめてものは燃え、または燃え続けるということ、逆にその要素の一つでも欠けると火は燃えることも燃え続けることも出来なくなること。
そのことは火を消す方法を見いだすヒントとなることも書きました。

今回はこれをふまえて『火を消す方法』となるわけですが、結局『火を消す方法』とは「燃焼の三要素」の一つや二つを取り除くことそのものです。
火を消す方法を、以下ざっと上げてみます。

①冷却消火(れいきゃくしょうか)
燃えているものの温度を発火点以下の温度に下げること(要は冷やすこと)で火を消す方法です。水をかけるのが代表的なものです。

②窒息消火(ちっそくしょうか)
空気(主に酸素)の供給をストップして火を消す方法です。
泡や消化剤で炎をおおう、ぬれたシーツやふきんで炎をおおう等があります。
最近、イラク戦争が起こりました。不幸な話です。
いろんなことがありましたが、油田から火災が発生したという出来事がありました。
油田からの火災を消す方法の一つとして、ダイナマイトを火点(燃えている地点のこと)付近で爆破して、火点付近にある酸素をダイナマイトの爆発の燃焼に使わせ、一時的に火点の酸素を窒息させることによって油田の火災が燃え続けることの出来ない状態にする消火方法があります。

③除去消火(じょきょしょうか)
燃えるものを取り除くことで火を消す方法です。
ガスコンロの元栓を閉めることでガスの供給を絶つ。
木造の家の火災で木造部分をこわして取り除くのも、その一例です。
江戸時代の火消しは、燃えている木造部分を鳶口(とびぐち)などで破壊して、火勢(火の勢い)をおさえて火災の消火を行いました。
もちろん水も消火に利用したのですが、それはもっと後になってのことで補助的な部分でしかありませんでした。
水をかけて消火をする方法が一般的になったのは、明治時代以降で外国からポンプ付消防車を輸入するようになってからです。

④希釈消火(きしゃくしょうか)
炎が燃え続けることが出来ないように、燃えるものの濃さを薄める方法です。
例えばその消火法の一つに、立体駐車場やコンピュータールーム、電気機械室などでよく用いられるのが「二酸化炭素ガス消火装置」です。
以前はフロンという物質が使われていたのですが、地球温暖化をすすめてしまう温室効果ガスなので、最近は二酸化炭素ガスを主に使います。
二酸化炭素ガスを空間内に放出してガスを充満させることで、室内の酸素を薄めて、発火させない仕組みのものです。
ただし、この消火装置は使用の際に、中に人がいないことに十分確認して行わないと人命に関わります。

⑤その他の方法
化学反応を起こさせないように、対応した消火薬剤を使う負触媒効果による消火、強い風を起こして風圧で消火する方法、ものでたたいて消火する方法などです。

いろいろお話ししましたが、ポイントとしては『火を消すのは、燃えることの逆をいけ』と言うことです。
「敵を知り己(おのれ)を知れば百戦危うからず」なんてことをいいます。敵である火災の起こる性質を知って、自分ができる消火方法を検討して備えておけばいざ火災というときでも勝つ(消火すること)ができるということです。

しかし、なんだかんだと言っても一番よいことは「火災を起こさないこと」です。
引き続きいつもの『火の用心』。火事には気をつけて下さい。

次回は「火事発見!覚えておこう初期活動の三原則」ということでお届けしましょう。



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