周囲にいる人にお願いする協力


人が倒れています。あなたは周囲の安全を確認して、その人に近づきます。
意識を確認して、もしその人の意識がない場合、周囲にいる人に協力をお願いします。
今回はここから始めてみます。

【まわりの人にお願いする協力の中身と注意事項】

(1)119番への電話(通報)

①電話をかける前に…。
連絡の前に「いつ」「どこで」「だれが(何が)」「どうした」かを簡単にまとめておくこと。
119番通報で必要なのは正確な連絡・通報であって、不確実・誤った情報提供がないように注意する必要がある。

②電話をかけるとき 
電話をかけるにしても、電話の種類によってやり方が違うのでよく注意する。

ア 公衆電話からかけるとき(電話ボックス・お店やコンビニの公衆電話)
よく見かける緑色の公衆電話の場合は、まず受話器を取り、プッシュボタンの下にあるカバーがかかった赤いボタンを押してから、「119番」をプッシュする。
それ以外の色(ピンク色・赤色など)の公衆電話については、お店の人にかけ方を聞いてかけるようにして下さい。

イ PHS・携帯電話からかけるとき 
  まず、必ずPHS・携帯からかけていることを伝えて、かけているPHS・携帯の電話番号を必ず伝えて、現在位置を必ず伝えること。
電話を切った後も電源を消さない(OFFにしない)こと《 折り返し確認の連絡を入れたりするから 》。
  なお、携帯などからかけるときは、必ずしもその地区の消防署にかかるとは限らないので注意すること。

ウ 一般の家の電話を使うとき
  そのまま「119番」で通報するが、きちんと了解をもらった上で協力してもらうこと。

③119番につながったら…。

ア「火事ですか?救急ですか?」と聞いてくるので「救急です」と答える。

イ 発生場所=救急車を要請する場所を伝えて下さい。
※ 区市町村名、町名、地名、地番及び要請者宅名
 「○○区○○町×丁目×番×号□□宅」「○○区△△××番地の×□□宅」
   ( 隣接している区市町村に同じ地名などがある事も考えられるので、区市町村は必ず連絡のこと。)
※ 要請場所がビル等の建物内の場合は
 ビルの名前(○○ビル、○○アパート、○○マンション、○○団地など)
 階層(何階か?1階、2階、中2階など)
 号棟(○号棟、○棟)それと号室
※ 交通事故の場合は
 所在(発生場所の地点の住所地番など)
 道路名(国道、県道、市道○号線、△△通りなど)
 目標等(○○交差点、大きな建物・公共施設の名前など)
※ 電話ボックス(コンビニに設置されているものも含む)の場合は
 電話ボックスの上部に「この公衆電話は○○○○番です。設置場所△△△」と書かれた表示があります。
 公衆電話なら必ず聞かれるので表示を確認して下さい。

ウ「どのような状態ですか?」と聞かれた場合は…。
 見たままの状態を簡潔に伝えて下さい。伝えることととしては

 ※ けが人が複数いる場合は、その人数。
 ※ けがの状態と合わせ、どうしてけがをしたかが分かればその内容。

エ 電話をしている本人の氏名と電話番号を伝えて下さい。
 ※ 携帯電話等から通報した場合は、その旨を伝える。
 ※ 救急車を要請後はその場を離れない。

オ 119番を受けた消防署員などから、電話を通じて応急手当の口頭指導があったときには指示に従って積極的に手当を実施して下さい。

④救急車が近づいてきたら…。
 出来るだけ近くに案内する人を出して誘導して下さい。
 救急隊が到着したら救急隊員に次のことをお知らせ下さい。

 ア 救急隊が到着するまでの傷病者の容態変化
 イ 応急手当を実施した場合は、その内容
 ウ 傷病者に持病があるのを知っているなら、その病名、かかりつけ病院等
 エ 事故を目撃した場合は、そのときの状況
 オ 消防署員から応急手当の口頭指導があった場合は、その内容

(2)周囲の安全確保
  応急手当を行う場所を安全に確保するために、協力してもらう。
  車両の交通整理、危険物や障害物の除去、火災の初期消火など

(3)群衆整理
 見物人ともいうこのような群衆は、時として応急手当のじゃまをすることが多い人たちである。応急手当のことについてよく知らない人が多いからである。
そういった人に限って傷病者を余計に不安がらせることを言ったりやったりすることが多い。
適切に協力してくれる人たちに群衆を整理してもらい、傷病者が不安に陥らないようにするのも大切な役割の一つである。

(3)応急手当に必要なものを取ってくる
出血をしている場合は血を止めるために清潔な布を準備しないといけないし、骨が折れていたら骨折箇所を固定するための添え木(副木ともいう。原料は木に限らない。)が必要な場合もある。
もしかして応急手当のキットを車に積んでいる方がいるかもしれない(私は積んでます)。
そういったような応急手当に必要なものを取りに行かせるのも大切な仕事です。

(4)(必要に応じた)傷病者の安全な場所への移動
もしも傷病者が危険な場所に倒れていたり、狭くて人が入りにくいところなどで倒れている場合は傷病者を移動する必要がある。
出来るだけ傷病者は移動しない方がよいのはご存じでしょうか。首のケガや頭のケガ、背中のケガなどは下手に動かすと神経を痛めてしまい、歩けなくなったりする事があります。
しかし、緊急に傷病者を移動せざるを得ないときは大勢の人で抱えて、極力動揺や振動を傷病者に与えないように傷病者を応急手当が十分に出来る場所に運ぶことが大切です。

(4)傷病者のプライバシー確保
傷病者が女性の場合、そのプライバシーの確保は大きな役目です。
いくら外で倒れたりしたとはいえ、見物人の目に応急手当を受ける人をさらすのは問題があります。
傷病者の上着をゆるめたり、脱がしたりということも出てくるでしょう。
そういった時には女性で救助に当たれる人にお願いするのはもとより、「ついたて」となって傷病者を他の人の目から守ることも重要です。
周囲の人に後ろ向きに立ってもらい、のぞき込もうとする見物人に注意を払うこともお手伝いの一つです。

(5)人工呼吸・心臓マッサージ
人工呼吸や心臓マッサージというのは講習会や訓練を受けた方はご存じでしょうが、大変体力を使います。
さすがに、一人で人工呼吸と心臓マッサージを両方したら次第に疲れてきます。
こんな時に、一人が人工呼吸をし、もう一人は心臓マッサージをするだけでも、疲れが半減するし、手技の効果も上がるし、疲れたときの交代要員としているだけでも意義があります。

(6)大きな出血を止めるための手当
  出血が多いと命に関わることも多いので、清潔な布を準備して圧迫止血をしたり、その他止血のための手当をすることで出血による生命の危機を救うことが出来るということです。(具体的な方法についてはいつか書きます。)

このようにいろいろな手助けがあって初めて、傷病者を助けることにつながります。
応急手当の必要な現場に出くわすことがあれば、ボランティア精神で前に出て、時には先頭に立ち、時には裏方に徹することも必要です。
どんな手伝いであっても、どれも傷病者を救うための必要なお手伝いです。みんなで協力して上げて下さい。

次回は『意識のない時の応急手当について』進めていきます。


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