人工呼吸の仕方


あなたは傷病者に意識がないので、救急車・119番を付近の方に指名してお願いしました。それから、気道を確保して呼吸の確認を10秒以内でしました。しかし、調べた結果、あなたは傷病者には呼吸がない判断しました。
傷病者に意識がなく呼吸がない場合…ここから始めてみます。

人工呼吸は気道を確保をしても、呼吸が停止している、あるいは非常に小さい時には、一刻も早く人工呼吸を行わなければなりません。

①傷病者の気道を確保した状態のまま、ひたいに置いた手の親指と人差し指で、傷病者の鼻をつまみます。この時にひたいに置いた手を離さないように注意して下さい。離してしまうと、そらせた頭が元の位置に戻ってしまい、気道確保が不十分になります。気道確保が十分でないと人工呼吸がうまく出来ません。
鼻をつまむのは、つまんでいない鼻のあな(鼻腔といいます)から人工呼吸で入ってきた空気が逃げていくからです。ただし、③の後(息を吹き込んだら)傷病者の呼吸を助けるためにつまんだ鼻を離してあげましょう。

②救助者は深く息を吸ってから、自分の口を大きく開けて傷病者の口を覆って下さい。口をきちんと覆わないと、傷病者の口元から空気がもれてしまいます。

③ゆっくりと2秒くらいかけて傷病者の胸が軽くふくらむ程度に息を2回吹き込んで下さい。
正式にいうと吹き込む量は体重1㎏あたり約10mlとされていて合計500ml~800ml吹き込みます。いずれにしても、目安はあくまでも「傷病者の胸が軽くふくらむ程度」です。

また、吹き込み方については「ゆっくりと2秒くらいかけて」ということに注意して下さい。強く息を吹き込むと、胃の方に空気が入るため「胃膨満」ということが起こります。これが起こると、胃の中に入っていたものが逆流する(おう吐)の原因になって、吐き出されたものが空気の通り道(気道)に間違って入ったり、途中で引っかかって息が苦しくなる(窒息する)ことがあります。

④救助者は1回ごとに口を離し、自分の頬(ほほ)・耳を傷病者の口に近付け、目線を傷病者の胸の方向へ向けます。救助者は、ほほに息を感じるか、耳で息をしている音が感じられるか、目で胸が上下する動きを確認することで、人工呼吸がきちんと出来ているか確認しましょう。特に気道がきちんと確保されている時には、胸が大きく上下するのが確認できます。

※気道を確保して、人工呼吸を行っても抵抗があって吹き込めなったり、胸がふくらまなかったりしたら、もう一度気道確保の方法を確認して人工呼吸を行います。
それでもまだ吹き込みが出来ない場合は、気道(空気の通り道)内に異物があることも考えられますが、その時は「異物除去」の方法をすることになりますが、これも後ほどページを改めて別に書かせていただきます。

⑤吹き込みの後「循環のサイン」の確認をします。詳細は次の回に書かせていただきます。これを10秒以内(6秒くらい)で確認します。ポイントは「自発呼吸・せき・手足の動き」です。

「循環のサイン」がない場合は「心臓マッサージ」をすることになりますが、これも「循環のサイン」と同じくまた次回にさせて下さい。



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