『最悪』・奥田英朗さん

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2005/08/05

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テーマ：本日の１冊(3697)

カテゴリ：読了本

出版社/著者からの内容紹介

小さなつまずきが地獄の入り口。
転がりおちる男女の行きつく先は？

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢（あつれき）や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。
銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。
和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。

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従業員２人の鉄工所の中年社長・川谷。
休日も返上して朝から晩まで、一つ５円何銭かのネジなどを加工。
バブルでは度胸の無さが幸いし、今の生活がある。
しかし、町工場というのは不況の風は強くなる。
先行きを考えれば暗い。
そんな時、周りにどんどんマンションなどの住宅が増え、工場の騒音に苦情が！
「何故だ！ここに工場がある事が解かってて越してきたのでは無いのか？
夜は何時までとか休日は仕事をしない、などと言ってたら町工場は成り立たない。大企業とは違う。」

都銀の町工場に近い支店に勤めるＯＬ・みどり。
会社では支店長からのセクハラに合い、家では妹の素行で悩んでいた。
銀行をすぐにでも辞めてしまいたいのだが、求人情報をみてもこれといった仕事が無い。
妹の事で悩んでいる母の事を思うと、自分までも銀行を辞めて心配をかけたくない・・・と思い悩む。

和也の父はアル中で精神病院に入院、母は父の暴力から逃げる為に男と駆け落ちし、帰る家もなく住み込みのアルバイトを転々とし、結局パチプロのような生活をしている２０歳。
そして、ついにヤクザに脅され５００万円用意しないと命はないと言われる。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

それぞれ最悪な方へ向う人生。

そして３人が出会うのは・・・・！
そこからが、テンポが良くてとても面白い。
それぞれは精神的にも肉体的にも疲れている。
そして何故、ここに４人（みどりの妹も加わり）で居るのかさえ解からない。
何故？
これからどうしたら良いのか？
その為にはどうすべきか？

躍動感があり、映画のシーンのように進みます。
リアルな感じと一人一人の心の動きがわかる。

「最悪」というタイトルから読後感が悪いのではないかと思ってたけど、
４人が逃げている時を読んでいる気分とはまた違った、静かな読後感があります。
伊良部先生シリーズとは違った面白い本です、さすが奥田英朗さん！