りじょん

2004.12.18
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銀魂編5




 翠さんの背景にベタフラッシュが走る。
 沖田は、突然繰り広げられた告白(?)劇に手を止める副長に、にたりと微笑むかけた。

 「そういう訳で、可愛い部下のために払って下せえ土方さん」

 「アホかァァァァっ!!」

 はもった。
 一人は勿論、血管浮かぶ副長。
 そしてもう一人、言わずとしれた翠さん。
 べしぃっ、と、井上さんをはたく。

 「いったぁ! 何するのよ翠さん…!」
 「つっこみが本領発揮したまでじゃい! ボケ!」

 重ね重ね、それはつっこみなのか…。
 (そしてボケが二重の意味で「ボケ」ですな)
 翠さんは憤慨して叫んだ。

 「冗談じゃないわよ! 何そのふざけた理由!」

 まったく持ってその通り、という顔の副長、沖田の襟首を掴もうとする。

 「副長のポケットマネーから出させたら、私の将来はどうなるんだよ!!」

 まったく持って…という顔をしそうになった副長、沖田の前でこける。

 「オイィ!! どういう意味だそりゃあッ!!」

 慌てて振り返ると、翠さんは物凄く目を輝かせていた。

 「ほら、部下たちが婚姻関係になった場合、副長が独身じゃ格好がつかないでしょ★」

 「だからって何で俺だよッ!!」

 「山崎くんじゃ苗字が変わらなくてつまらん」

 「時代に逆らってんじゃねーよ…! つーかテメ、突っ込みかと思ったらボケか! ボケなのか!!?」

副長は必死です。
 うんうん、多勢(ボケ)に無勢(ツッコミ)は疲れるよね。

 「じゃあ仕方ないわね~」

 井上さんはその攻防を見ながら、ほう、と息を吐く。
 払うのか? と周囲が目を向ければ――

 「やっぱ局長に払ってもらおうよ」

 どうぞー、と両手で縛られたままの局長を示す。

 「オイ! だからそれはッ!」

 副長が柄を握って怒鳴り込めば、そこには――

 「…あの人ぁ、逃げやしたぜ」

 切られた縄だけが残った地面に、沖田が呟く。

 残るは、ボケとツッコミ、そして怒り心頭の茶屋のお姉さん――

 「いい加減払ってくれんだろうなァァァ…?」

 びくり、と4人は強張る。

 「……おい、山崎」
 「どっちのですか?」
 「状況を鑑みろや! テメェだよ山崎女」

 いいからさっさと、金を払え。
 そう命令され、翠さんは毅然とした態度で財布に手を掛ける――が、しかし。

 「甘いですぜ土方さん。俺の給与は俺のもんです」

 「あ、ほんとだ」

 翠さんが持っていた財布はいつの間にか沖田の懐に収まっていてた。

 「きゃー! さすが沖田さん!! まるで風!!」
 「何ガキ大将みてぇなことぬかしてやがる!! お前が払えば済むんだよッ!!」 
 「よし、こうなったら井上の給与から」

 ぎゃーぎゃーやってる四人を尻目に、パトカーを運転してきていた山崎が、きちんと払ったのでした。

★★★

 ……というわけで。

「隊長になったみたいな、井上です!」
「会計方らしい山崎でっす!」

 屯所にて。
 二人は、局長、副長、沖田さん、山崎くんを前に堂々と言い放った。

「……おい、山崎……本当か……」

 みけんに深くしわを刻んだ土方がため息をつく。

「……たいへん申し訳ないのですが……そのようです……」

 顔を青くしながら頷く山崎。
 土方は次に井上さんに目を向けた。

「女、お前……剣は使える……よな?」

(なんだ、その期待してないが……みたいな目は!!)
 井上さんは拳をにぎりしめた。
 決意。
 ……非常に迷惑な……。

「もち、使えます」

 まっすぐ、目を見て言えば嘘と疑う輩は……。

「嘘だろう」

 ……いた。
 井上さんは密かに舌打ち。
(ちっ、ひねくれた奴め)

「まぁ、まぁ、トシ。お前、何とんがってんだ」

 そこにのんびり割って入ったのは局長だ。

「隊長格に入ろうってのに剣が使えないってのはないだろう」

 そりゃそうだ。
 ……普通の場合はな。

「そうですよ~。ばりばぁり、使えますよ★」

 局長の言葉ににっこり便乗する井上さん。
 ……に対して、まだまだ渋い顔の土方さん。

「常識的に考えて下さいよ、副キャプ★」

「……キャプじゃねぇし……その★がむかつくんだぁぁぁ!!」

 はっはっはっ……。
 一向に進まない会話にキレたのはこの二人。

「もう飽きましたさぁ。隊長っていうからには隊長なんですから、いいでねぇですかぃ。このワカラズヤ―――――――」
「ちょっと、井上! あんたいつまで土方さんと話してんのよっ!」

 沖田さんと翠さんである。
 そして……

「そうよ! 柔軟性がないわねぇ!! いい加減認めなさいよ!!」

 やはり、便乗する井上さん。

「そんなに心配なら、隊長見習いってことでもいいし!」

 ……ん?
 井上さんはカサカサと沖田さんに這い寄った。

「沖田さんを弟子と仰ぐことも厭いません!!」

 ……。
 すかさず、翠さんがつっこみ。

「それを言うなら師匠やろがいっ……!!」

 ……。
 土方さんがすっくと立ち上がった。

「つっこみはそこじゃねぇぇぇ……!!」

 井上さんも立ち上がる。

「じゃあ、どこだってーのよっ!!」

「言わなくてもわかるだろうーがっ!! なんでお前が隊長なんだ!!」
「剣がめっちゃ、使えるからよ!! あんたなんかよりず~っとね!!」
「ああっ?! 外に出ろや! 勝負じゃぁぁ……!!」

 途端、井上さんはその場に座り込み、沖田さんの腕に自分の腕を絡める。

「逃げましょう」

 こそっと親指と人差し指で輪を作る。
 示すものは……「金」。

「井上―――――――――――――――!!」

 ばしいっ。
 ……と、翠さんのつっこみ。
 そして、深々と土方に頭を下げる。

「謹んで入隊させて頂きます」

 その様子に井上さんもしぶしぶ腕を解き、土方に向き直った。

「……よろしく……」

★★★









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Last updated  2020.01.18 18:24:01


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