りじょん

2004.12.25
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銀魂編11




「何だ何だ?」
「どうもひったくりっぽいぜ」

 ざわめきの中から、そんな言葉を拾い取る。
 見れば、翠さんの後方――大江戸ストアの方から、男が一人、逃走してきていた。

「ちッ」

 ここに真撰組がいることを知らないバカがいるらしい。
 面倒事を増やしやがって――、と副長は舌打ちをした。

「オイ山崎。どけ」

 男は後ろを気にしながら、翠さんたちの方へ真っ直ぐ向かってきている。
 それを追いかける女の悲鳴。
 周りの人間は、固まってしまっている。
 男は手に匕首を持っていた。

「どけ。俺がしとめる」

 しかし、翠さんは微動だにせず、男を見据えていた。

 間に合わねェ――
 副長が鯉口を切ろうとした刹那、

 がすッごすッ

 ――鈍い音が連続して、男が――副長の前で倒れた。
 周りから上がる歓声。

「……あ?」

 何が起こったかさっぱりな副長。
 翠さんを見れば……にっへりとして、片足を上げている。

「足払いか……」

 じゃあもう一つの音は――、とよくよく地面を見れば、伸びた男の頭に、下駄が刺さっていた。

「すげぇな、お姉さん! あの距離で当てるたア」
「あら、当然の報いよ」

 近くでそんな声が聞こえ、顔を上げてみれば、どうにもひったくられた被害女性が当てたらしく――
 その顔を見て、副長は胃が傷んだ。

「『お妙さん』……」
「え?」

 副長の呟きを耳にし、翠さんはこちらに来る女性を振り返った。

「助けてくれて有難う。おかげで仕留められたわ」

 ふふ、と優雅に微笑み、楚々と歩いてくる。

「あ、貴方がお妙さん!!」

 初・真撰組以外の銀魂キャラとの遭遇に、翠さんは目を輝かせた。
 後ろで副長がげっそりしているのも気付かず。

「あら、どうして…って、その服、真撰組の?」
「え、あ、ハイ! この度新しく入隊した山崎翠と申します! いつも局長がお世話になっております!!」

 思わず敬礼した翠さんに、後ろから「最後のはお前が言うことじゃねェ!」とツッコミが入る。
 しかし、なんせ、お妙さんといったら銀魂最強の名を冠する存在である。
 ただでさえ局長のせいで真撰組自体が快く思われていないのだから、第一印象くらいは良くしておかねばなるまい。

「そういえば……弟が新しく入った女の子に逢ったって言ってたわ。もしかして、貴方かしら?」 

 それは井上さんである。
 翠さんは知っていたが、一拍置いて「ハイ」と答えた。

(折角の好機、逃すべからず!!)

 お妙さんはにっこりと微笑んだ。

「弟たちがお世話になったわ。今の御礼もあるし……うちでお茶でも如何かしら?」
「え? えーと…」

 申し出は嬉しいが、これでも見回りの最中である。
 と、副長を顧みれば、

「行って来い。俺はこいつを大江戸警察に連れてく」

 いつのまにか男をふんじばり、連行する準備を整えていた。

「えーっ…と…」

 どうしよう、と迷って再びお妙さんを顧みれば、

「長居はさせないから大丈夫よ」

 と微笑まれた。
 翠さんは数回その応酬を繰り返した挙句、「じゃあ」とお妙さんについていくことにした。





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Last updated  2020.01.18 18:21:18


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