いつものひとりごと

いつものひとりごと

第一話





たくさんの雪。
静かに降り積もる。

こんな夜だった。
彼女と出会ったのは・・・




「大丈夫・・・?」

気が付くと、知らない女性が顔を覗き込んでいた。

「あ、う、うん」

何とか答えたが全然大丈夫なんかじゃない。




この日僕は送別会で飲めない酒を散々飲まされて気分が悪かった。

他のメンバーは3次会へと繰り出していったが、僕はこのまま帰ってしまおうと思っていた。
僕一人いなくなったところで
すでに酔っ払いばかりのメンバーにはわかりっこない。

終バスまでまだ少し時間がある。
バス停で一緒に乗ると思われる乗客達の前で失態をさらすのは・・・
そう思って少し離れたところでしゃがみこんだ。

そして、彼女に出会った。
大雪の日とは思えない服装だった。
ブーツを履いていたがミニスカート。薄手のセーターとマフラーだけ。




彼女は近くのコンビニで水を買って来て、僕を歩道脇の花壇の端に座らせた。
半分ほど一気に飲むと、少し楽になったような気がした。

彼女はただ隣に座っていた。何も言わずに。

かわいらしい、色の白い彼女。
右目下の泣きぼくろが印象的だ。
僕と同じくらいの歳だろうか。いや、間違いなく未成年だな。
こんなところで何してるんだろう。
もしかして、逆ナン?まさか(笑)
それにしても・・・

僕の思考回路はそこで切られてしまった。
彼女が心配そうな目でまた僕の顔を覗き込んでいた。
思わず目をそらせてしまった。

「だ、大丈夫だよ。キミの水のおかげで・・・」

そう言って僕は水を一口飲んだ。・・・つもりがキャップが付いたままだった。

「ぷっ!!あはは・・・!!」

かわいらしい顔つきとは反対に、大きな声で楽しそうに笑う彼女。
僕は自分の顔が赤くなっていくのを感じた。

どのくらいそうしていただろう。
いつのまにか雪はやんでいた。
バスはとっくに行ってしまった。
最終だったのに。

もっとも、僕のアパートはさほど遠くない。
40分も歩けば着くだろう。歩いたことはないけれど。




それよりも彼女と一緒にいたかった。
そんなふうに感じたのは初めてだった。

それなりに付き合ってきた女の子もいたが、それらは皆長続きしなかった。
女の子たちの『何かを求める目』が苦手だった。
そして僕は女の子達と一緒に過ごす時間を好まなかった。

自然と、近寄ってくる女の子達は付き合ってもすぐに去っていくようになった。
もちろん体の関係まで進展することはなかった。
それでよかった。




『ピ~ポ~ピ~ポ~・・・』
3台の救急車が通り過ぎてから、彼女が言った。

「ちょっと付き合って♪」

そこからの24時間は、夢だったのかもしれない。







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