N,S川口総合車両センター

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君のおかげ 完結






二人は放課後まで屋上で寝ていた。
由希が最初に目を覚ます。
横には気持ちよさそうに眠っている綺麗な顔があった。
その綺麗で整った顔に由希は少しの時間見とれていた。

『・・・・・ヤバ・・・・』

由希は我に返り立ち上がってトイレに向かった。
1人で廊下を歩いていると前から何人かの女子がこっちに向かって歩いてくる。

―――――・・・・・うわ・・・・リカ達じゃん・・・――――――

嫌だったもののなんの感情もないかのように横を通り過ぎようとした。





そのとき―・・・





バチッ!!!!!!!





『・・・・っ!!!!!!!!!!!』



体中に電気が走り由希はその場に倒れた。



・・・・・リカの手にはスタンガンが握られていた。

「バァカ♪」

そう言って不敵な笑みを浮かべる。
何事もなかったように女たちは廊下の角を曲がった。






「自分ら何してんの」






突然の声に驚く。
そこには正平が立っていた。
女たちは慌てている。


「ぁっ・・・あたし達は・・・別に何も・・・・」

「じゃぁ何で由希が転ばされてるんだよ!!!」

「ぇっ・・・・転ばせてって・・・・」


正平は由希が倒れる瞬間だけを見て廊下の角に身を隠してしまった。
まさかスタンガンなんかで由希が気絶しているとは思ってもいない。


「転ばせたんだろ?」

正平が怒りながら言う。
そのとき正平はリカの手に握られてるものに気付いた。


「・・・・お前・・・それ・・・」

「えっ・・!!!」

リカはスタンガンを背中の後ろに隠した。


「まさか・・・・お前・・・・」

そう言いかけると女たちは一斉に逃げていった。
正平は走って由希の元へ向かった。



「由希!!!!由希!!!」



そこにはまだ気絶している由希の姿があった。
体を抱きかかえて一生懸命に揺さぶる。


「由希!!おい!!しかっりしろ!!」

『・・・・・・・ん・・・しょう・・・へい・・・?』

「そう!!!!俺だよ!大丈夫か?!」


そう聞くと由希は自力で体を起こして一言。


『・・・・平気』

「なら・・・よかった・・・・・・」

由希はさっと立ち上がり教室に戻ろうとしている。



「おい!!!本当に何があったんだよ!!!お前がこんなことされなきゃいけない理由でもあんのか?!」



『・・・・・別に・・』



正平に背中を向けて由希は答える。



「言ってくれよ・・・・お願いだから・・・・」

そう言って正平は由希を後ろから抱きしめた。

『ちょっ・・・なにすんだょっ・・・!!』






「由希!!・・・・俺には無理しなくていいんだよ?」






『・・・・・・・』






思いがけない言葉に由希の目から涙が溢れた。
そしてその場に座り込んだ。






『・・・・あたし・・・何もしてない・・・』

「由希・・・・・」

『何もしてないよ・・・・!!!』

「そうか・・。」


正平は微笑んだあと由希の体を自分の方へ向けた。

「俺が守るから。泣くな。もう泣くな。」


そういって由希の涙を親指で拭いた。


『・・・ありがとう・・・』


由希は正平に抱きついて泣いた。ずっと泣いた。


そして








由希の心の鍵が開いた――――・・・・。









            ====そして今====



「おはよう!!!」

『おはよう♪』

そこには以前とは比べ物にならないくらいの満面の笑みの由希がいた。

「今日はサボる?」

『んー・・・・・授業出とく(笑』

「おし!(笑)」

クラスの女たちはあのスタンガンの事件があってから由希には何もしてこなくなった。
由希は今笑顔で学校生活を送っている。


正平と一緒に。


『正平?』



「んぁ?」



『いつまでも一緒だよ?』



「・・・・・おぅw」







そう言って正平は由希に軽くキスをした。










END

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