N,S川口総合車両センター

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涙の青空 1



あれはもう3年も前のことになるだろうか?僕は、大切な人を失った。

ー1-

4月8日、この日に僕は高校に入学した。何の変哲もないふつーの公立高校

に。僕には将来の夢なんてなかったから、「なんとなく」そんな気持ちで高

校に入った。

「おっす智弘!」

急に肩をたたかれた。

「なんだよ、しおり?」

そう僕は肩を抑えながら聞いた。

「いよいよ高校だね」

そうしおりは、笑っていった。

「あぁ」

僕はめんどくさそうに答えた。

いよいよ高校生か!なんか楽しいことあるかな?そんな思いを胸にしおりと

入学式の門をくぐった。しおりは俺にとってはいわば幼馴染で赤ちゃんのこ

ろからずっと一緒だ。家も歩いて5分くらいのところにあって家族ぐるみで

仲がよかった。

「なにしてんの?入学式始まるよ!!」

勝手にたそがれていた僕の耳にしおりの聴きなれた声が響いた。

「あぁそうだな」

僕は足早に校庭を歩いた。しおりもきょろきょろしながらついてきた。

「あんま近くで歩くな」

僕は付き合ってると誤解されるのがいやでしおりにそういった。

「いいじゃん」

しおりは何にも気にしないようなかおでいった。

「俺はよくないんだぞ」

そういうと

「私はいいんだもん」

そういって僕から離れなかった

僕は正直言ってしおりのことが嫌いなのではなかった。なんか最近しおりに

「智弘」っよばれるとすごいどきどきして照れてしまうのだ。

友達達は

「いいなぁ!うらやましい」

そんなのんきなことを行っているがたまったもんじゃない。

人の家で寝ちゃうは。すぐに泣いたり。なにかとおねだりしたりしてほんと

に手のかかるやつだ。だけどしおりといるとほっとするこれは、確かだっ

た。自分のしおりに対する気持ちにはなんとなくわかっている。だけど今の

ままが一番という弱い気持ちが僕の心の中にあった。

「智之!!」

しおりが僕のてをひっぱている。

「もうなんで校庭でいきなり立ち止まるのよ」

しおりはほっぺたを膨らまして言った。

「わるぃわるぃ」

僕はそういった。すると周りから

「あの子達大胆ね」

そんな声が聞こえてきた

「あーあー始まったか」

ぼくはこれにはもう慣れっこだ」

だけどなぜか照れるのだ。よくわからなかったけどとりあえずしおりの顔を

見た。

「なんかついてる?」

しおりは不思議そうにいった。

「いやっ!しおりかわいいなって思った」

なんて冗談も言う。

「ばーかー」

しおりは笑いながら言った

僕達は気づくともう入学式の会場にいた。

「さ、おたがいがんばろう」

そう僕はしおりに言った。

「智弘とならがんばれるよ」

しおりはそういった

僕はうれしかった。

こうして高校生活が始まった。


   つづく


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