名演プロムナード

名演プロムナード

大いなるロシア!



子供の頃からロシア民謡は大好きだった。
世界の民謡の中で傑出しているのはロシアとイタリアだと思う。
もちろん民謡だから人の声で聴くのが一番心に訴えかけてくるのだけれど、器楽の演奏にも素晴しいものがある。

標題のレコード(アナログ)は1966年にLONDONのphase 4 stereoシリーズとして録音されたものだ。残念ながら廃盤だが、中古レコード屋で見つけたときは宝物に出会った気がした。
スタンリー・ブラックの胸のすくアレンジでマンモス級のスケールの大きなロシア民謡が展開される。オケ・合唱はロンドン・フェスティヴァル管弦楽団・合唱団。
冒頭は「メドウランド」、これはポーリュシカ・ポーレ(美しき草原)をアレンジしたもので、ロシアの大草原を彷彿とさせるダイナミックな演奏。
「二つのギター」は哀愁にあふれた美しい曲。
「モスコーの夜は更けて」はダーク・ダックスが日本に紹介して日本人の心を虜にした曲で、ここでは合唱団のバスが効いた重厚な演奏。
「バラライカで」はタンゴのリズムでバラライカとストリングスが甘いメロディーを奏でる。
「剣の舞」は打楽器と金管が大活躍し、迫力満点。
良く知られた「黒い瞳」は情熱的な黒い瞳を持ったジプシー娘を歌った美しい曲。このアレンジは最高だ。ふとした時に、私はよく、この演奏が心に浮かんできて、口ずさんでしまう。
「トレパーク」はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の中の「道化の踊り」。
「ヴォルガの舟歌」はロシア民謡の中で一番初めに好きになった曲。暗い歴史を持つ労働歌だが、重労働である舟曳きに、この歌を歌って耐えたロシアの民衆の心が伝わってくる気がする。
最後の「バーバ・ヤガーの小屋~キエフの大門」はムソルグスキーの「展覧会の絵」の最後の2曲。ラヴェルの編曲をスタンリー・ブラック風に更にダイナミックに仕上げてアルバムを締めくくる。

ロシアには人の心の琴線に触れる音楽の雄大な土壌があることを実感する貴重なアルバムだ。

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