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おはなしのトンネル
04/秋冬≪1≫
2004/秋 ・冬 絵本&おはなし覚え書き≪1≫
『
どうしたの?
』
シャーロッテ・デーマートンス作 (あかね書房)
ここに来れば、たくさんのくまさんに会えるよ。
せんたくぐまにしろくまくん、はちみつぐまにくろまめぐま、
こうちゃぐまとあかちゃんぐま。
おおぐまの声だって響きわたる。
不安でいっぱいのこぐまくんにやさしく声をかけるきゃらめるぐまくん。
よかったね、こぐまくん。おともだちできて。
最初不安だったこぐまくんのこころが、だんだん変わっていく様子が
絵からじわじわ伝わってきます。(約5分)
『
あいしているから
』
マージョリー・ニュ-マン・ぶん/パトリック・ベンソン・え (評論社)
本当に、「あいしている」ってどうゆうことなんだろうね。
自分といつも一緒にいること・・・?
自分のことより相手を思うこと・・・?
モールくんのおじいちゃんは、何も言わないけど大切な事に気づかせてくれました。
(約5分)
『
わすれられないおくりもの
』
スーザン・バーレー さく・え 評論社
「長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマより」
という手紙を残してアナグマは死んでしまいました。
森のみんなはとても悲しみましたが、みんなの心にはアナグマの思い出 が・・・。
もぐらがハサミが上手に使えるのも、
カエルがスケートが得意なのも
きつねが素敵にネクタイを結べるのも、
うさぎの奥さんが料理上手なのも・・・。
みんなみんなアナグマさんが残してくれたもの。
みんなの心にはアナグマさんからのおくりものがしっかり届いていますよ。
(約9分)
『
ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ
』
クリス・ウォーメル作・絵 徳間書店
あまりの醜さに誰も彼には近づかない。
動かないいしのうさぎを相手にうたを歌いおどりを踊る。
「それでもかいぶつはしあわせだった」のフレーズが何度も出て来る。
本当にしあわせだったのだろうか・・・?ちょぴり胸がせつないよ。 (約9分)
『
ゆき
』
ユリ・シュルヴィッツ あすなろ書房
まず、表紙。
タイトルの『ゆき』という文字にまで、雪が積もっているところが、
さすが!と言う感じです。
雪が降る前って、空がどんより重たくて灰色の世界なんでしょうね。
街の様子もどこかの外国で、ステキです。
灰色の空に、まず、ひとひらの雪。
男の子が「ゆきが ふっているよ」と一番最初に見つけます。
ところが、大人たちは、「これっぽっちじゃ ふっているとは いえんな」
と言います。
すると、もうひとひら・・・。
また別の大人が「どうってことは ないな」といいます。
しかし、ゆきは、またひとひら、そして、もうひとひらと舞い降りてきます。
雪は、地面に落ちるとたちまちとけてしまいます。
でも、とけるとすぐに、また空から舞い降りてきます。
ラジオもテレビも「ゆきは ふらないでしょう」と言うけれど、ゆきは、
ラジオもテレビも聞いたり、見たりしません。
雪はただ、灰色の空から舞い降りるだけ。
あとからあとから、降ってきて、全ての上に降り積もります。
灰色だった世界が、だんだん白く輝き、雪化粧。
屋根が白い帽子をかぶり、男の子は大喜び。
そして、街中が真っ白に輝くのです。
『
3びきのかわいいオオカミ
』
ユージーン・トリビザス文/ヘレン・オクセンバリー絵 冨山房
あれ~・・。
タイトル違うんじゃないって思いましたぁ?
でもコレでいいんです。
いっつもオオカミは悪役ばかり。こぶたを食べちゃったりとかね・・。
でも、この本のオオカミは、かわいいオオカミなの。
みんなで、仲良くお家を作ります。
そこへ、わるいおおブタがやってきます。
ちょっとわるいんじゃあ、ないんです。ほんとにわるいんです。
おそろしいおおブタなんです。
何をしでかすかって・・・。
とても言えません。
子どもたちは、大騒ぎです。
オオカミたちはなんとか、がんばるんだけど、やっぱりおおブタが現れて・・・。
「めには、めを、はには、はを」ではダメなんですね。
とっても素敵な方法で、わるいおおブタが、いいオオブタになっちゃうんですよ。
よかった。よかった。
半端じゃないおおブタの悪ぶりが、子どもたちは楽しいんだろうな。
(約12分)
実は大型仕掛け絵本もでているようです。
私はまだ見ていませんが・・・
コレは、正統派の3びきのこぶたです。
多分、皆さんには御馴染みのおはなしだと思いますが、
知らない人は、先に読んでね。
じゃないと、このパロディーは、分かりませんから・・・・
(ざんね~ん)
『
少女が運んだ中国民話
』
栗田美和・語り/松谷みよ子・編/三栗紗緒子・絵 (星の環会)
中国から日本へやってきた、中国の少女が語った中国民話が4話おさめられています。
ここでも、また十二支のお話に出会いました。
「十二支の一番目にねずみがいるわけ」
このお話では、川をわたる競争をして十二支の順番を決めています。
泳げない猫とねずみは水牛の上に乗せてもらう。
いよいよというとき、ねずみが猫を川へ突き落とし一番のり。
やっぱりここでも、ねずみは猫に追いかけられるはめになるんですね。
中国では、十二番目は、いのししではなく豚になっています。
その他には
「天と地のはじまり」
「白いにわとりと黒いにわとり」
「鳥の兄弟」の三話です。
馴染みやすいお話ばかり。
絵もほのぼの優しい絵です。
『
おしっこぼうや
』
ラウジーミル・ラドゥンスキー・作/木坂涼・訳 (セーラー出版)
タイトルからして、子どもたちが、好きそうな感じ。
ベルギーのブリュッセルという町に、昔から伝わるおはなし。
このおしっこぼうやが、何をしたかって?
なんと、戦争をやめさせちゃったんだ。
どうやって・・・?
そりゃぁ、もちろん、おしっこかけてさ。
笑いは平和の始まり。
このぼうや、銅像になったって。
ブリュッセルに行ったら会えるよ。
『
ひとしずくの水
』
ウォルター・ウィック(あすなろ書房)
とてもキレイな写真絵本。
子どもたちに人気の写真パズル絵本『ミッケ!』の方が、
知っている人も多いかもしれませんね。
ひとしずくの水といっても、いろいろです。
雲のしずく
雨のしずく
雪のしずく
露のしずく
虹のしずく
・・・・・
普段、何気なく見ている、身の回りで起きていることの中に、
こんなミクロの世界があったのか・・と
ただただ、驚くばかりです。
写真を見ているだけでも、楽しめますが、読み物としても、
解りやすくかかれています。
大人の私でも「へ~っ」と知らない事がたくさんあって
大変勉強になりました(笑)。
今年度6年生の最初のよみきかせに、持っていった本です。
2週続けて、抜粋しながら紹介しました。
子どもたちは、雪の結晶のページに1番興味を示しましたね。
とてもキレイです。
ただ写真集は、紙の表面が光りやすいので、
角度などに気をつけないと見えにくくなってしまいます。
その点注意がいるとアドバイスを受けました。
小学校高学年以上から大人まで楽しめる本だと思います。
興味のある方は、ぜひ手にとってご覧下さいね。
『
ねんどぼうや
』
ミラ・ギンズバーグ[文] ジョス・A・スミス[絵] 徳間書店
この絵本は、低学年のおはなし会で読みました。
みんなの反応がすごかった一冊です。
おもしろかったとの声をもらい、私も嬉しく、楽しかったです。
はっきりした力強い絵が、このおはなしに、とても合っていると思います。
ねんどぼうやが、どんどん大きくなって、おばあさんとおじいさんを食べてしまうのには、
ほんとにビックりです。
馬車を丸ごと食べるシーンも迫力満点。
小さい子には、ちょっとこわいぐらいかもしれません。
でも大丈夫だからね。最後にはホットできますよ。
このおはなしは、いろいろな国で少しづつかたちを変えて伝わっているそうです。
(約5分)
『
風切る翼
』
木村裕一/黒田征太郎 (講談社)
今日は、小学校のよみきかせの日(6年生)
こんな本を読みました。
アネハヅルの群れが襲われて、若い仲間の命が奪われた。
どうして気づかなかったのか、後悔の念。
やり場のない怒りが、ある一羽のツルに向けられる。
仲間からの思いがけない、言葉の攻撃。
「本当に自分のせいなのか?そんなはずはない。」
だが、言い返すことが出来ず、言葉を呑みこんでしまう。
仲間が信じられない、孤立、孤独、自己嫌悪・・・。
飛ぶことが辛くなり、ある日、飛ぶことが、出来なくなってしまう。
暖かいところへ飛んでいかなければ、生きてはいけないというのに・・・。
6年生には、このお話は、どう響いただろうか・・・? (約8分)
『
ふくろうのそめものや
』
山口マオ・絵 (鈴木出版)
日本の民話から・・・。
昔ふくろうはそめものやをしていたんだよ。
そめものやものふくろうのところへ、森じゅうの鳥たちがやってきては、
きれいな色に染めてもらっていた。
あるとき、真っ白なおしゃれなカラスがやってきた・・・。
しかし・・・・
なぜ、カラスが、真っ黒な色をしているのか?
カラスがふくろうを見るとつつくのはなぜか?
この絵本を見るとその秘密がわかるよ。
『
シロナガスクジラより大きいものっているの?
』
ロバート・E・ウェルズ 評論社
スケールのでっかいでっかい絵本。
頭の中を切り換えてよんでみよう!
(地球上の生き物で一番大きい)シロナガスクジラよりまだまだ大きいものが、
この世にはいっぱいあるんだよ。
このシロナガスクジラを大きなビンに100ぴき入れたものを10個重ねて、
エベレスト山と比べてみると・・・。
エベレスト山を100個つぎつぎ積み上げたけど、地球から見れば・・・。
地球を100個ふくろにつめたとしても、太陽の横に置いたら・・・。
太陽サイズのオレンジを100個箱に詰めたとしても、
めちゃくちゃ大きい赤い星アンタレスの上に置いたら・・・。
大きいと思っていたものが、さらに大きいものとくらべると、
こんなにちっちゃいなんて驚きです。
絵を見るとさらに楽しさアップ!
こんなこと絶対ありえないけどね。
いったい、この世で一番大きいものってなんだろうね。(約7分)
『
あしなが
』
あきやまただし作・絵 (講談社)
のら犬のケンたちが、「あしなが」って呼んでいる一匹の犬がいる。
名前の通り、足がすらっと長くて、首や尻尾まですらっと長い美しい犬。
ケンたちは、見た目で勝手な事を言い出します。
「あいつは、お城みたいなでっかい家に住んでいるんだ」
「毎日、すごいご馳走を食べているらしい」
「僕らとは住んでる世界が違うんだ」
「あいつ、ぼくがゴミを食べていたら、にやにや見てるんだ」
「お高くとまっているのさ、相手にしなけりゃいいよ」
そしてあしながが、生まれたばかりの子犬を誘拐したとうわさが広まる。
食べちゃったと・・・。
なんてヤツだ。怒るケンたち。
ケンは、あしながに会って話をするんだ。
でもね、本当のあしながは、違ったのさ。
見かけだけじゃ、分からない。
本気で話をしなくっちゃ・・・。
本当の真実の姿を知った時、何かが変わって、新しく始まるのです。
『
あおくんときいろちゃん
』
レオ=レオニ (至光社)
レオ=レオニの絵本。
ちぎった、いろいろな色紙を、はっただけのような絵に、まず驚きました。
この絵で、絵本が成り立つのかと・・・。
シンプルだから、おはなしが、いきてくるのかな。
人と人が出会って、親しくなると、そこから新しい何かが始まるような・・・
希望がみえてくるような、おはなしだなと思いました。(約4分)
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