絵本の事


長いですけどよかったら読んで下さい。

私が、寝てもさめても、絵本~絵本~と言うようになったきっかけについて、書きたいと思います。

①赤ちゃんの時(~1歳)の読み聞かせと言うものを全くしませんでした。
あかちゃん言葉というか、あの、幼児の本どくとくの言葉や雰囲気が好きでは無かったし、赤ちゃんが読んで~と要求する訳もなく、(頼まれないとしない、私)
何より、なぜ絵本がそんなに大事かを全く理解していなかったから。

1歳半を過ぎて少し人間らしくなってきたころ、相沢さんの影響で、こどものとも復刻版を100冊買いました。
選んでくるのは、不思議なくらい同じ本。
「スーホの白い馬」でした。
解っているのだろうか?と思い読んでいました。
寝る前に約束の冊数を読み終えると、自分から布団に入り、小さな枕に小さな頭を乗せて、満足そうに目を閉じます。そんな日がしばらく続いていました。

ある日、私が洗濯物を畳んでいる横で息子がごっこ遊びを始め、耳に飛び込んできた言葉が信じられませんでした。

「可哀相な僕の白馬~」。そう言って、悲しい顔で変身ロボットにタオルを掛け擦っているのです。
あまりの驚きに言葉も出ません。
あらすじを理解しているのか?と不信がっていましたが、あらすじどころか、主人公の気持ちに同調し、再現したんです!!
当時はやっていた、ガオなんとかと言うキリンのような青いメカロボットを白馬にして。

この頃は言葉が本当に遅く、「ん?」とか「あ``?」とか聞き返してばかりで、耳が悪いのでは?と家族皆が心配し始めてました。ところが単語の羅列から会話とはならずに、とたんに堰切ったように言葉を話始めました。

自分の気持ちを伝えるのに、絵本の主人公の名前をあげてみたり、主人公に憧れたり、絵本のなかででてきた言葉を日常会話の中で用いてみたり。
例えば「見て見て!たんげさぜん!」と言って片目をつぶり、口を曲げる。
ホットケーキを見て「この世で一番好きな事、お料理する事、食べる事」と歌い出したり、
レスリングのようにふざけていたら「離して(笑)~、おまじない!!ちんぷくまんぷく、あっぺらこのきんぴらこ・・
…めっきらもっきらどぉんどぉん!!!!」とながいながい呪文を唱えたり。
2歳から3歳にかけてTVを全く見られない時期が合って(TVのついてる部屋にも入る事も出来なかった)本当にこの頃は絵本の中で生きてるようでした。

前の晩寝る前に読んだ本が、一晩経つと彼の血となり肉となっているのをひしひしと実感しました。教育らしい事を全くしない私は、絵本だけは読もう、絶対に! 読んで要らないと言われるまで続けようと心に決めたのでした。

そんなことから絵本にはいったものですから、字を覚えさせるとか、感想を問うとか、そんな事は頭の隅にもありませんでした。学術的な事は一切わかりませんが、どうやらそれがよかったようです。スタートは出遅れたものの、2歳を過ぎた頃には寝る前の絵本は習慣になっていました。おもしろかった?と聞くまでもなく、聞いている時の息子は前傾姿勢で、目はキラキラと言うよりもギラリと見開き、もう一冊と泣いてすがるのですから(笑)

思う事には、読み終わり、私がやや満足感を得れば、息子はその10倍満足しているようです。
自分が面白いと思うと読み方にも力が入ります。
ストーリーの邪魔をしない程度に補足した方が良い時もあるし、年齢によってはそうした方が良い本もあると思います。書かれている文字を声に出すのではなく、絵本のなかを泳ぐかのように、絵が語っている事、
字が語っている事を、のこさず伝えるのが私の役割だと思っています。
あっ、難しい事はこれっぽっちもないです。
ただ、ただ、丁寧に読む。心を込めて。それだけです。
あとはこどもが勝手に感じてくてます。

②バイロンバートンでんしゃえほん。
後にも先にも、外出先で物が欲しいと泣かれたのは一度だけです。
お買い物の帰り、丸善に寄りました。
絵本をひとつ買ってあげると言うとこれを選びました。
私はとても小さくて薄くて1Pに一行しか書かれていないこの本がとてもとてもくだらなく思えました。
私はキャラクターがたくさんついた付録付の幼児雑誌を買おうと進めましたが(大馬鹿もの!!!)、彼はどうにも譲りません。
彼が選んだ本を買うと凄く損をするような気持ちがしたのを今でも覚えています。
私も意地になり、彼は泣き出し、結局、私の母がこの本を買いました。
買ってみて。
私は息子に謝らなければなりません。この本をたくさんの本の中から選んだ息子を尊敬しさえします。
凄い本です。無駄を排除した絵、シルクスクリーン?のきれいな色、簡素な文からは、たっくさんの事が想像できます。この本を読む時、子供は絵本の向こう側を見ているような気がします。
私はこの本で開眼しました(笑
読むと良く質問されました。
『でんしゃが走っています。』この1文から!!可笑しいくらいに質問が!「どっちからどっちへ走っているの?」「白い煙はどこにいくの?」
「山をいくつこえるの?」とか。
ホームにでんしゃが止まっているシーンでは、登場する人物を指差し「これは僕、これは〇 ○(家族の名前)」
と言ってみたり、そのページだけで勝手に別の物語を作ったりもしていました。あぁ懐かしい。
物語まではいかないまでも、随分小さなうちから、登場人物の会話を創作したりしますよ。
文字が読めてしまう大人にはなかなか出来る事ではないですね。
本当に凄い本だと思います。


③寝る前の絵本を決める時、夫は残業の日など、「あーん、あーん」にしよう(笑)とか言って息子に怒られています。最近は随分長い本でも平気なんです。チムシリーズやひとまねこざるなど大好き。
珍しくすぐまとめて買いたがる私が、チムシリーズは1冊2冊と買っています。
大事に大事に味わいたい本です。
5歳も近くなると、集中力が持続する変りに、2歳前後のようなアンテナを張り巡らしたような敏感さは減りつつあるように思います。
テレビも見れるようになってしまったし。
それでも、まだ、全然大人より勝るはず。

字を覚えてしまう前に一緒に読みたい本がやまほどあります。



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