キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

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キータン.

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2007.01.03
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車を道路脇に停めた。受信のボタンを押した。

「○○の主人ですが、家内に年賀状を戴いたのですが
 家内は十一月二十七日に亡くなりまして……」
沈みがちな男の声が、私の耳元で響いた。

私は何も言えなかった。
「それは……」
ボソボソと言って切った。

彼女は県庁を三年早めに辞めた。

退職の際に、彼女は嬉しそうに話してくれた。

二十年前、彼女は大学生になったばかりの子供を亡くしていた。
一時期、彼女は、毎日、息子さんの墓に参っていた。
それだけしか、彼女の気持ちを癒す術がないかのように……。

kanko01.jpg

「彼女が由布岳に登りたいと言っている。ガイドをしてくれない」
彼女の友人から頼まれた。息子さんが由布岳によく登っていたらしい。

ある休日、彼女たちを連れて、由布岳に登った。
彼女は頂上で息子さんの写真を飾り語りかけていた。
その日以来、彼女は元気になった。

そして、二十年後、県庁を辞めた彼女はボランティア活動で子供達の面倒を見始めた。

それはそれでいいのだろう。そういう人生もあっていいと、私は思っていた。

「精密検査をしたら癌が見つかりました。
身辺整理をしたいので、メールを辞めることにしました」
彼女からそのようなメールが入って連絡が途絶えた。

五年が過ぎた。彼女から年賀状が届いた。

そのような文面に喜んで、私は彼女宛に今年の年賀状を書いた。

彼女、あちらで大学生のままの息子さんに会うことができたのだろうか。
窓の外を見た。栴檀の枝に雀が留まり枯れた実を突いている。
静かな光景だ。寂しくて少しせつない今年の正月が過ぎていく。






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Last updated  2007.01.03 09:52:41
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