キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

PR

×

Profile

キータン.

キータン.

Category

■CONTENT■

(776)

昭和の懐かしいお話

(36)

ガキの頃

(28)

学生の頃

(4)

社会人の頃

(0)

流されゆく日々

(4)

旅の日々

(0)
2007.01.15
XML

114-4.gif

東京で働いていた三年間、池波正太郎さんの本を片手によく散策した。
その本の名前は「散歩の時に何か食べたくなって」という。
そしてね、散策している間に、食べたくなって本の中の店によく入った。

そのひとつに「ムルギー」という店がある。
渋谷の道玄坂付近の入り組んだ路地の奥の奥にあるカレーの専門店だ。
レンガでできたやけに古めかしい玄関を思い出す。

中が暗かった。客が多かった。しかし、やけに静かだった。
店員のおばちゃんが履いていた運動靴の白が鮮やかだった。


おばちゃんが「ムルギーカレー」を運んできた時には驚いた。
ご飯がとんがっていた。ピラミッドというか小さな島のように盛られていた。
その周囲を島に寄せる海の波のようにカレーがたっぷりとかけられていた。
そして、ゆで卵の輪切りが五、六枚ほどが漂っていた。

「オオーーオッ」
私はそんな悲鳴をあげたはずである。
それから悩んだ。どうスプーンをつければいいのだろうか。

スプーンでカレーをすくって島の端にかけて、そこにゆで卵を置く。
スプーンでガバッとすくって口に運んだ。
エッ、これは何という味なんだろう。豊潤というかとてもゆたかな味なのだ。

どう形容したらいいのだろうか。う~ん、むずかしい。

夢中で食べていて気がついたら皿がきれいになっていた。

「皿をねぶりたい」
本気で思った。最後の最後まで味わいたかった。

あれから十年が過ぎた。東京に行っても渋谷に行くことがない。
「ムルギーに行きたい」


ムルギーはまだあるのだろうか。
レンガ造りの古めかしい玄関はまだ形をとどめているのだろうか。
運動靴を履いたおばちゃんはいるのだろうか。

食の想い出というものは、食べるものだけではない。
最近、そのことをひしひしと思う。


banner_03.gif

←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.01.15 07:54:41
コメント(8) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: