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地球外知的生命体の可能性
まずお断りしておきます。小生、「宇宙人」はいないと考えています。それは人間が想像及び創造したものであり、ここで扱う地球外生命体は知的かそうでないかを含めた広義の「生命体」の事であり、UFOに乗って飛んで来る人間型の生命体の類の話を喜んで書こうとはしていません。ただし、TVでお馴染みの大槻教授のような、盲目的な否定論者でもありません。御興味をお持ちの方は以下へお進み下さい。
●地球外生命体の存在確率
銀河系の中には、約2百億個の星(恒星)がある事が、観測により明らかになっています。また、この宇宙全体には最新の観測で約500億個の銀河があると推定されており、単純にこれを掛け算した恒星の中に地球型の惑星がある確率を考えれば、全く無い確率よりも相当数あると考えるのが自然なのです。また近年の深海探査で、深海の熱水鉱床にひとつの生体系が形成されており、高温・高圧の上に太陽光線が全く届かない場所での生物の生育が可能であるという、それまでの常識では考えられなかった事実がこの地球上でさえ発見されたりもしています。このケースは熱源及び栄養元は、熱水鉱床から吹き出すミネラルを多く含む熱水に求められるのでまだ理解し易いですが、逆に(未発見ですが)極端に低温で栄養元の乏しい環境で生育する生物(微生物の類かも知れませんが)もいずれ地球上の極地方等で発見されるのではないかと思います。
これを他の惑星に当てはめてみれば、上述の地球型惑星以外でも生物が繁殖する可能性があると言え、つまり生物が存在する可能性を持つ惑星の幅もぐっと広がるのです。さらに、惑星の抱える衛星にも、条件は惑星より更に悪いものの同様の事が言えます。このように考えて行くと、そもそも「全宇宙の中で生命の存在するのは地球だけだ」と本気で言っている人の思考は、コロンブス以前の「海の向こうは世界の果てだ」と言っている人のそれに等しく、余りにも外の事を知らな過ぎると言えます。
このような事から、小生は他の天体にも(多分火星にも。別項参照)間違い無く生物は存在すると確信しています。コロンブス以前と同様、それをまだ発見していないだけです。
●「宇宙人」はいない
ここで間違えないで欲しいのが、小生の指す「生物」とは所謂「宇宙人」ではないという事です。もちろん、広義には知的な生物も含みますが後述のようにUFOに乗ってやって来る、人型の生物というのとはイメージがかなり違います。
恐らく、人類が発見する最初の地球外生命体は、微生物か細菌の類でしょう。多分、火星で。その次に発見するのは、映画「未知との遭遇」よろしく、あっちから来てくれるでもない限り、知的生命体ではないと思います。読書をしない小生ですが、たまたま家にあったSF小節「宇宙船ビーグル号の冒険」は曲りなりにも愛読書です。
その中には、始めはある惑星で多少知能の高い猫型の獰猛な野生獣、といった初歩的なのが出てきて、そんなに盛り上がらないのですが、その内に宇宙空間で呼吸も必要無く、物質をすり抜けて移動し他の生命体(乗組員)に卵を宿して子孫を残す(「エイリアン」はこれのパクリでしょうか)怪物が出て来たり、地球型惑星に住み、言葉の代わりにテレバシーで他の個体とネットワークを構成して平和に暮らす生物が、宇宙船を察知してテレパシー攻撃を仕掛けて来たと思いきや、感情構造が人類と全く異なっており、彼らの友好の意思は人類にとっては錯乱に陥れる幻覚を誘う物で、受け取った側の勘違いだったり。最後にはガス状の生命体で空間のどこにでも存在でき、生物が死ぬ瞬間に発するエネルギーを餌として成長を続ける物だったり。
書かれたのは1950年ですから、まだ人工衛星も飛んでいない時代ですが、驚くべき想像力と非常に先見性のある宇宙観です。しかもチャラチャラした「宇宙人」が登場するでもなく、地球外の「生物」を創造して描いている所が非常に共感します。初めて読んだ時点では小生も地球外生命体のイメージは人型の物しかなく、この本によって、その枠が完全に取り払われました。要は、どんなのがいるか想像もつかない、という事です。前述の、生物が発生する確率の上で、地球で太古から主流となっている脊椎動物、その中で最も知能の進化したヒト、といった進化の過程をたどる確率については、小生もゼロだと思っています。つまり、所謂「宇宙人」は自然には存在しないと考えています。
では、自然ではなく存在するとしたら? そう、どこぞやの知的生命体が、人類に似せて創造した生物(またはロボットの類)でしょう。それは、充分にあり得ると思います。
●一般的な「宇宙人」像
では、一般的な宇宙人像はどこから来ているのか。これは、小生が「宇宙船~」でイメージを得たように、何がしかの映画やら本やら、メディアの情報を基に各人が形成しているはずです。そうすると、それが画一化・一般化されるのもやむを得ない事で、昔は「宇宙大戦争」の影響でタコに似た火星人、最近では頭と目が大きく、手足の細い小人、といったイメージが大勢を占めているはずです。そして、それがある時は人間を捕えて何か身体検査をしてみたり、ある時は友好的にアプローチして来たり、といった所でしょうか。多分、この一般的なイメージ自体、時代と共に変わって行くと思います。
小生はそもそも、そういった地球外(知的)生命体が、人類と同じ精神構造や行動様式を持っているとは到底思えないのです。同じ人類だって、民族、言葉、宗教等により、全く理解し合えない場合もあるぐらいなんですから。しかも、同じ人類同士は体の形や生物学的な脳の構造は同じですが、例えば手も足も無く転がって移動する、耳も無くて光でミニュケーションするような生物がいて、人類がコンタクトしたとしましょう。どうやって話しますか? また、精神構造自体、人間が持っている喜怒哀楽のような物とは全く違う物を持っていると考えるのが自然です。あるいは、こちらにやって来てコンタクトするような生物だったら、人類よりはるかに進んだ知能・科学を持っている事でしょうから、例えば人間が、やっと道具を使える猿を見るような次元でしか、人類の事も捉えていないはずです。コンタクトどうこうの価値も見出さないでしょう(というのも小生自身=人間の感覚なんですが)。
このように、映画やメディアが作り出したイメージのままに浸透した、一般的な所謂「宇宙人」像とは全くかけ離れた生物に、いつの日か人類も遭遇する事があるでしょう。自分が生きている間には多分、こちらから行くのは無理でしょうから、早くあっちから来て欲しいものです。
●「UFO」の運動原理
ではここで、知的な地球外生命体が実在して、何か乗り物に乗ってやって来ている、と仮定した上で、所謂UFOのメカニズムについて、少々想像を巡らせてみましょう。
目撃した人の話や、最近はTVでも公開されているVTR映像などを見ると、ありゃスゴイです。何がスゴイかは下記の通り。
(1)加速・減速性能
停止状態から瞬間的に猛スピードで移動したり、その逆も。当然、地球上のいかなる乗り物でも不可能です。
(2)方向転換性能:鋭角的な方向転換
ボールが跳ね返るような鋭角的な方向転換。これも、物理的に不可能です。
(3)消滅・発現
ここまで来ると、乗り物という表現が適切かどうか悩みます。
さて、これらが何故スゴイかというと、その運動性能のみならず、中に乗ってる(としましょう。遠隔操作かも知れませんが。)生物の生体に掛かる負担が、尋常ではないという事です。(1)なんて、要するに交通事故です。猛スピードで走ってて一瞬で速度ゼロになるんですから。乗り物がいくら頑丈で壊れなくたって、中にいる生物には物凄い加速度の変化(=衝撃)が加わりますので、普通なら内臓をぶちまけてるところでしょう。(2)についても同様です。
そこでひとつ考えられるのは、乗ってるのは生体ではないという仮説です。要するにロボットかどうか知りませんが、金属とか樹脂とか、そんなイメージです。でなけりゃ、「ぐちゃ」で終わりです。次に考えるのは運動原理です。これには2つ仮説があります。誰かが言ってた説だと思うんですが、自分なりにアレンジしてます。
(A)加速度コントロール
推進原理自体がこの方法かもしれません。要するに、加速する時は進行方向に人工的(人じゃないけど)な重力を発生させ、乗り物もろともそっちへ向かって落ちて行く、という原理です。急発進、急停止についても、加速度(=衝撃)をコントロールすれば乗り物及び内部の生物には全く加速度の変化が影響せず、揺れひとつもなく至って快適な乗り心地です。空中での停止も、地球の重力と釣り合う重力を上向きに発生させて置けば、風に流される(?)ぐらいしか問題はありません。これはイケてます。ただし、どうやって任意に重力が発生したりするのかは想像もできません。
(B)連続的瞬間移動
実は前述の説では不充分で、瞬間的に消えたり現れたりする事を説明できません。そこで、これです。つまり、毎秒数十回(数百回?)とかの点滅を繰り返している蛍光灯、または映画やアニメーションのような状態です。重力下での空中停止は、その1コマ(点滅)の間に落ちた分だけ、上方に瞬間移動する事により、見た目には停止しているように見えます。前述のような、加速度の変化が問題となるような運動も、今の位置から次の位置への瞬間移動を繰り返す事により、高速で「飛んでいる」ように見えるだけで、乗ってる人(?)にとっては停止状態です。しかも、遠い遠い星から来ている彼らも、この空間をはるばる飛んでくるのは疲れるでしょうが、瞬間移動なら「どこでもドア」と同じで楽チンです。ただし、瞬間移動って? SFでは当然のように登場する夢の技術ですが、その原理はハテ、前項よりも、もっと想像できません。上述の点滅運動も、「この3次元空間と、4次元空間を行ったり来たりするんだ」という仮説もありますが、「4次元空間」ってのがそもそも、SFの域を出ませんし(「
四次元
」については別項で述べます)。ただし、宇宙物理学の分野では「ワームホール(虫食い穴)」というのが大真面目に研究されています(下注)し、相対性理論以降、時空を扱う宇宙物理学は急速に進歩していますので、あながちSFでもなくなるかもしれません。
という訳で、我々が想像できる範囲でも、その運動原理は説明できますし、遠い将来、人類がそんな乗り物を手に入れた時にも快適な方が良いので、(B)の説に類する原理だったら良いな、と個人的には考えています。
注)ワームホール:ブラックホールに吸い込まれた先には「ホワイトホール」という物があり、この空間の別の場所(別の空間?)に物質を吐き出し続けているという説です。ここを通り抜ければ、この空間の別の場所にアッという間に移動できる、というものです。空間のある場所から別の場所へショートカットする「穴」を、リンゴに出来た虫食いの穴に例えて、このような通り道をワームホールと呼んでいるのです。少し前には仮説に過ぎなかったブラックホールの存在が確認され、銀河系の中心含め他の銀河中心等にもいくつも見付かってきている昨今、こんなSFチックな話でも、いつか(生きてる間は無理か?)確認されるかもしれません。
●地球外知的生命体の探査計画
小生も小中学生の頃に夢を膨らませた、惑星探査機ボイジャーの名前は、当時のニュースで皆さんも御存知でしょう。1977年に打ち上げられた1号、2号の2機のボイジャーには地球のさまざまの自然や人間の営み、古今東西の音楽、世界各国語の挨拶の言葉などを記録したディスクが載せられています。そう、役目を終えて太陽系外に出ても、ボイジャーは飛び続けます。これをもし、他の知的生命体に発見されたら、地球の位置が分かる地図も書いてあるので、あわよくば彼らに地球に来てもらうためです。惑星探査という宇宙科学の最前線にいる科学者でさえ、大槻教授が「いるわけがない」と言ってはばからない遠い星の生命体とのコンタクトを夢見ているのです。この精神は小生も非常に共感を持ちます。
また、近年でも大規模な電波望遠鏡(要するにパラボラアンテナの集合体。電波による宇宙観測を行います。場所はオーストラリアだったか?)施設で、過密な観測スケジュールの合間を縫って、他の生命体が出すかもしれない宇宙からの未知の電波の探査を真剣に行っています。逆に、地球から宇宙に向けて、「応答せよ」の電波を発信しつづけている設備もあります。
このように、第一線の科学者達も「未知との遭遇」を夢見て様々な手段で他の生命との接触を試み、立派な研究テーマにもなっているのです。だからなおさら、「宇宙人は信じない」とか「信じる」とかではなく、もっと次元の高い議論を広く展開してもらいたいなあ、と願うのです。前述のように、多分「宇宙人」はいませんよ。
●韮沢編集長VS大槻教授
TVで「UFO」関連の番組をやると必ず登場する、名物オヤジ2人です。前者(名前は間違えているかも)は「たま出版(UFOとかオカルトを扱う本や雑誌を数多く出版)」の編集長です。後者は早稲田大学の物理学教授で、プラズマ等の物理現象を研究しています(が、最近はTV出演の方が忙しいのか?)。
この2人、いずれ劣らぬトンチンカンじじいです。まず韮沢編集長。極右的なUFO信者です。「宇宙人」が「UFO」に乗って地球に来ている、と信じて疑いません。しかも、よく大槻教授との議論をTVの場でやるような場合にも、「証拠を示せ」と言われて「決定的な証拠があります」と言い放って取り出すのは怪しげな写真と伝聞の誰かの証言ばかり。一方の大槻教授は、盲目的な否定論者で、「宇宙人なんている訳が無い!」と平然と言ってのけます。
ただ、前述のように大槻教授の言っている事はある意味で正解だと思います。そもそも、そういう番組で討論させる相手が韮沢編集長では、肯定的な方向に番組の雰囲気が進む訳がありません。フェアじゃないですよね。このへん、番組製作担当の意図が垣間見えます。すなわち彼らも「いるわけないじゃん」と思っているのでしょう。多少なりとも建設的な討論をさせる意図なら、前述のような真面目な研究をしている科学者を連れて来るべきで、そうなれば大槻教授など簡単に論破できるのです。大槻教授は「いない」という事を証明するように求められて、しどろもどろになる事は火を見るより明らかです。
番組的には、そういうトンチンカン2人(そこに、時には織田無道やら「ぎぼあいこ」が絡む)を連れて来て水掛け論をさせた方が白熱すると思ってそういう人選をしているのかもしれませんが、その時点で、この話題を全く真剣に考えていない担当者の浅はかさが計れますね。
その点、矢追純一は肯定論者ではありますが決して盲目的ではなく、至って科学的、論理的に話を展開します。例えばUFO写真を見ても、99%はトリックだったり自然現象だったりという現実を大前提に、最後の最後にどうしても何だか分からない(最新鋭の画像処理や当時の状況の綿密な調査にも関わらず)物について、「これは何だか分かりませんね」というコメントをする。そもそも宇宙人やらUFOについても、「いたら良いな、あったら楽しいなと思っています」と、非常に中立的なスタンス。あのオジさん、共感が持てます。
●生活圏の地球外拡大と人類の変革
小生、「ガンダム」で育った世代です。あれがタダの子供アニメでなかった理由のひとつが、宇宙生活をするようになった人類の変革について言及していたところです。小学生当時はそんな事、ピンと来ませんでしたが、その後色々な事を知り、考えるようになって、その意味がやっと分かるようになりました。
旧ソ連~ロシアの、宇宙ステーション「ミール」は御存知でしょうか。宇宙飛行士が科学観測・実験を行うと同時に、長期滞在の人体に及ぼす影響も調査していました。何年か前に廃棄となり、大気圏突入しましたけどね。中には1年を超える長期滞在をした飛行士もいて、この中で無重力による人体への影響がだんだん分かってきています。短期でも、スペースシャトルの飛行士がそうであるように、無重力によって必要無くなる機能、即ち足腰の筋力、心肺能力等の減退が見られ、地上に戻った飛行士が歩くのにも苦労するそうです。
ところで、人類が進化の過程で飛躍的な進化を遂げたひとつのきっかけが、森を離れ二足歩行した事にあるというのは定説ですが、脊椎の上に頭を乗せる事により後頭部が発達し、脳の容量が増大した事が知能の発達に大きく影響しました。さて、将来間違いなく実現すると思いますが、人類が月や火星に拠点を築き、そこで世代を超えて定住する人間が増えて来たとしましょう。これは、ともすると人類が森を出た時よりも大きなインパクトを、ヒトの進化に与えるかもしれないのです。
重力について言うと、月は地球の1/6、火星は地球の1/3です。ここで何世代にも渡り人間が生活した場合、予想される変化は、スペースシャトルの場合と同様に低重力による全身の筋力の退化、特に足は、重力が小さい分、少ない力で移動できるため直ちに退化するでしょう。そして、頭部と脳の増大です。重力が小さい分、脊椎によって支える事が出来る頭部の質量も相対的に大きくなるからです。その結果、さて人類はどのような変革を遂げるのでしょう。知能の飛躍的向上は充分に予測できます。
さあこうなると、知能の発達した「ニュータイプ(ガンダムより)」と、地球に残る「オールドタイプ」の間でもめ事が起きてもおかしくありませんね。その先はSF作家に任せるとして、100年、200年といった比較的短いスパンの間に、人類はこのような変革を遂げる可能性を充分秘めていると考えられ、いずれこちらから、他の生命体へのアプローチをしにどこかの星へ旅をするようになるのかもなあ、と考えると、夢がどんどん膨らみます。もしすでに他の生物が地球に来ているとしたら、彼らも同じような過程を辿ったのかもしれませんね。
「オールドタイプ」の我々が、そうなる前に地球を滅ぼさないように、皆の力でこの青い星を守って行きましょう。
平成14年12月30日
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