喜久蔵blog

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第四話「Le sang semble etre vin」



ドアを閉じられた。


背中から血液が流れ出る感覚が体全身から感じられる。



父さんの部下の人はドアの向こうで電話をしていた。

非常に興奮している。




ただ、僕はそれより寒くて仕方がなかった。









薄れゆく意識の中で、僕は父さんの部下の電話から不可解な言葉を耳にしてしまった。






















"これで死んだ朱弐(シュウジ)さんが浮かばれるとは僕にも思えませんが・・・"






















この人は何をいってるのだろう?


















朱弐は僕じゃないか。


















死んだのは僕ではなく兄・蒼壱(ソウイチ)なのに。














薔薇とベロニカ  第四話「 - Le sang semble etre vin - 」















トイレのタイル地の床には僕の血液が拡がっていった。




寒い。







ドアが開く。















父さんの部下の人は先ほどと同じように僕を哀れむように見下ろしている。








僕はわからなくなっていた。









「・・・の・・・・ぼkぅは・・・・僕は・・だれなん・・ぇ・・す・・・か・・・・・・・」












僕はもう自分に先がないことがわかっていた。







それでも、自分が誰なのか。





せめて最後に知りたい。


そう思った。














"僕はいつのころからか鏡を見なくなった"






自分を知ることが怖かったのかもしれない。







僕は血液に反射した自分の顔を見た。











それはすごく勇気の要ることだった。









そう、やはりそこには"太った醜いあの蒼壱の顔"が写っていた。






















父さんの部下の人に担がれ、僕は暗くて怖いところに捨てられた。













僕は蒼壱だった。
















二年前に先に死んでいたのは弟・朱弐だった。













父さんは僕・蒼壱に死んでほしかったのかな。















壊れた人形のような僕の顔は











薄っすらと笑みを浮かべた。



第五話「二年前」


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