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・・・・誕生日がやってきた・・・・恒例になっていた母親への花束はやめた・・・・玄関には満開の白いシクラメンが鎮座している・・・・仏壇に手を合わせまた1年間生きられた報告をする・・・・波乱と言えるほどのことではないがいろいろとあった今年・・・・来年もいろいろあるだろう・・・・それでも私は生きているだろうし活きたいと思う・・・・何も出来ない1年だったから来年こそは何かしようと思っている・・・・振り返ればおそらく何も出来ない1年がそこにはあるのだろうが・・・・少しずつ歩いてみよう・・・・きっと何かがあることを信じて・・・・無かったら自分で何かを置けばいい・・・・高村光太郎や木枯し紋次郎の世界だ・・・・飛躍・・・
2003.12.29
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仕事の合間を見て床屋に行った。二人の先客が頭を刈っているところだったので、私は待合の椅子に座ってテレビを見ながら待っていると、「こんにちわ」と元気良くサラリーマンが大きなカバンを携え入ってきた。「ちょっと待ってて・・・」と作業中の店長。「はい」と同じく明るく答えると、彼は店の奥の片隅に直立不動で待機。シャンプーその他の販売業者だろうと私は思ったが、やおら彼は箒を手にして床を掃きだした。機敏に動き仕事の邪魔をせず、見事に掃き終えまた元のポジションに戻った。「営業マンだねぇー」私は思った。姿勢・声・笑顔・気遣い、10分間程度だが彼の仕事は99点だった。「惜しいな・・・」先客が仕上がって私の番になる時に、店長が彼に支払いをした。ほんの僅かな時間だが、彼のおかげで私は余計に待たされた。「お忙しいのにお待たせして申し訳ありません」と店長は椅子に座った私に言った。「ありがとうございました」と営業マンは元気に帰って行ったのだが、私に対してもほんの一寸だけ声をかけたら100点だった。同じ営業マンとして見てしまう。嫌な癖だ。私なんか他人に採点されたら60点ぐらいかもしれない。背中を丸めて、しかめっ面をして、動作は緩慢、・・・表に出てから、意識して背筋を伸ばし、ごく普通の顔をして、少々颯爽と歩いてみた。師走の町はいつもより人通りは多いが、誰も私など気にしていない。あたり前のことだ。タレントや女優は周りから意識されることで綺麗になるらしい。意識されていなくても、意識されていると意識することを自意識と言うのかしら。過剰にならない程度の意識をしてみるか、もう少しまともになるかもしれないから。
2003.12.14
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半蔵門線・錦糸町駅 4番出口通路は何度か曲がりながら、長くとても寂しい地下道だ。(別ページで紹介済み)その地下道を私は前だけを見てひたすら歩いていた。前方の片隅に黒い塊が目に入った。真っ黒に汚れた布団とゴミとしか思えない頭陀袋に埋もれるように一人の老婆が蹲っていた。乱れた黒髪と、布団や頭陀袋と同化してしまいそうな黒い身なりで僅かに蠢いている。5メートル手前で、老婆が食事をしていることに気づいた。発泡スチロールの容器を大切そうに抱え込み、箸を突っ込んで何かを口に運んでいる。ご飯粒だった。床擦れ擦れに持たれた容器に口を付けたまま、老婆の眼だけがこちらを向いた。明らかに敵意を持った眼差し。食事中の犬の餌に手を出した時の犬の眼。「バカヤロウ!」突然老婆の声が襲ってきた。視線は真っ直ぐに私を見ている。「偉そうにしてんじゃねーよ・・・」彼女の言葉が地下道に反響する。私は眼を逸らし脇を通り過ぎた。後ろから彼女の「バカヤロウ」の言葉と訳の分からない罵声が追いかけてくる。後から来た誰かに言っているのだろうかと、一度だけ私は振り返ったが誰もいなかった。彼女はずっと私に対して怒鳴っているのだ。彼女からは見えないであろうところまで私が進んでも、声だけは地下道を追いかけてきた。仕事帰りでスーツを着てカバンを持ち、彼女よりはさっぱりした格好をしてはいるが偉そうにしているつもりは無い。好きで他人の食事を覗き見したわけではない。軽蔑の眼差しを投げかけたつもりも毛頭ない。財布には15万円ほど入っていた。投げ出したとしても生活に困るわけではない。施しを与える理由は何も無いが、財布から抜き出して渡してしまいたい衝動にふと駆られた。一人暮らしではあるが、同年代の人よりは遥かに贅沢をしている自分を見透かされたような気がした。事実今日も少しだが旨いものを食べてきていた。給料に見合った仕事を自分はしているか、などと妙なことまで頭を掠めた。なぜか後ろめたさを意識していた。最後のエスカレーターのところまで彼女の声が聞こえていたような気がした。おそらく私の耳にこびりついた空耳だが、その間何度も引き返しそうになる自分を抑えていた。地上に出るといつ雨が降り出してもおかしくないような鉛色の空があった。風邪のせいでだるく熱っぽいが、足を止め無理やりタバコに火をつけた。忘れたかった。思い切り吸い込んで鉛色の空に向かって吐き出した。目の前で一瞬滞留した煙はすぐに空に溶け込んでいった。(補足)「頭陀袋」とは、本来「行脚僧が物を入れて首にかける袋」のことです。汚れた袋の意味で用いたことをお詫びいたします。
2003.12.08
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少々季節外れの台風がかすめて行った。どうにかしがみついていた落葉樹の葉がほとんど落ちて枝だけの姿になった。仕方の無いことだが寒々しさがより一層視覚的に感じられる。首を90度もたげた位置に、これまた寒々しい冬の月が光っている。クリーニング屋からコートも取ってきたし、マフラーもしているが、今年の冬は特に寒い気がするのは私だけだろうか。風呂に入り、湯豆腐に焼酎を飲んだが心は寒いままだ。心が凍らないように明日も焼酎を飲もうと思う。
2003.12.03
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「要りますか?1本2,575円全部込みで12本、30,900円。締め切りは今日の7時30分まで」と、数日前の出張前日に弟から携帯にメールが入った。「夢想仙楽」数ヶ月前から好んで飲んでいる焼酎で、たまに弟が買ってくれていたが安いからまとめて買えと言うことだ。すぐに、買ってくれるようメールを打って、お金を預けてきた。出張に出て切符を買う時に思った。「なんだかお金が少ないな・・・」考えて思いついつくようではボケが着実に始まっている。出張を終え実家に帰ると開口一番「重たいの二階まで運んだわよ・・・」とお袋に言われた。「何だよ・????」考えて思い当たった、焼酎か。12本を運んだんじゃ大変だったよな、申し訳ない。アル中ではないが頭のめぐりが悪い。こんなことに使っているキャパが残っていないのだろうと思いながら夢想仙楽を飲んだ。パソコンのメモリーはどんどん大きくなるのに私の頭のメモリーはみるみる減っていく・・・そう思いながら飲んだ。飲んで減って行くアルコールの瓶を見ていると自分の記憶力減退とダブリ寂しくなる。だから12本・・・・まだまだあるぜ・・・・明日も飲もう。
2003.12.01
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