朝   は   和   食

朝 は 和 食

ストーカー?

◆ストーカー?◆


高校1年の2学期、サカモト(仮)がおかしくなりだした。
クラスではおとなしく、しかし稀におもしろいことを言う、中々侮れない奴だった。
だから1学期は普通に話してた・・・・いや、普通に話せた。
2学期から、 気付けば俺の後ろにいることが多くなった。
しかも何も話さない・・・・。後ろに少し下がって、『あ、誰かに当たった』と思うとそこにいるのは 常にサカモト。
移動教室でもぴったりくっついてくる・・・。こっちで盛り上がってるとき、会話には全然入ってなかったサカモトも一緒になって 何故か笑う。
そして会話に入ってくると思いきや、やはり何も言わない。
ついてくるだけ。
聞いてるだけ。
笑ってるだけ。
それ以外のアクションは何も取らない。
基本的に俺はサカイ(仮)、イシジマ(仮)、サカモトの4人で昼食を食べていた。
しかし2学期になり、席替えがあった。その3人と席がかなり離れ、昼食は俺が別のとこと一緒に取って、その3人でかたまるのか、と思った。
昼食の時間になる。すると遠い席のはずのサカモトがこっちに来る・・・ ブツブツ何かを言いながら 、しかも わざわざ来てやった ような雰囲気を出しながら。
忙しそうに机をひきずってくる。・・・・・微妙に笑ってるような気もした。
正直、何も話さないくせにこっちに来てもつまらないだろうと思った。案の定、サカモトだけが話せないでいる。
しかし 急に笑うところだけは 変わらない。
そしてその時間は何も話さないまま元の位置へと机をひきずっていく。『あー楽しかった。』というような雰囲気で・・・・。
何が楽しかったのかがまったく理解できない。
だがアレは間違いなく笑ってる・・・嬉しそうにしている。
そのときになってやっと気付いた。 コイツは危ない と。
それ以来、昼食のときは怖くなった。いつも俺の真正面にいる・・・イヤ、ホモじゃないことは確かだ。
だが、だからこそサカモトの行動が不可解で、怖くなる。
何故、席が遠いのにここまで来るのか、サカイやイシジマと話してるほうが面白いだろうに・・・。そう思って本人に聞いてみたところ、
「いやぁ、あいつらと話してるよりセキネ(自分の名前、仮)と話してるほうが面白いからさぁ・・・。」
面白いも何も、 お前話してないだろうが。
だが言えない。恐ろしくてとても言えない。
どうやら周りの友達も気付き始めたらしく、昼食のときは俺のために 対サカモト陣形 を取ってくれた。
要するに、机を入れされる隙間を作らない といったものだった。
効果はあった。他のクラスの人と食べるようになったのだ。
だが昼食以外のことになると、やはり今までと変わらなかった。
数日後、サカイやイシジマに話してみる。
「うわぁ・・・お前それじゃサカモトが可哀想だろ」
・・・今これを読んでる人も、同じことを言うだろう。
だが、サカモトの不可解な行動について話しただけではわかってもらえそうにないから、論より証拠ということで実際に見てもらった。
サカモトがいつも、どこにいるか・・・そして何をしているか。
その日のうちに、前言撤回された。
「たしかにアイツやばい・・・。」
わかってもらえた。
しかしサカモトも悪気があるわけじゃない。それだけはわかっていた。
ただ話したいだけだったのだ。だが明らかに1学期に比べて話しにくくなってる。口数が物凄く減ってる。
それと同じくらい、笑う数は増えたが・・・。
ある日、イシジマが教科の連絡(先生に次の授業があることを伝える)に行こうとして、俺もヒマだから行こうとした。
途中、話しながら歩いてるとき、 後ろから静かな足音 が聞こえる・・・。
サカモトだ。
いつからいたのだ・・・?というか、 俺が教室から出て行くのをどこから見ていた?
どんどん距離がせばまっていく・・・。
ひょっとしたらイシジマに用があるのかもしれない。イシジマとサカモトは同じ部活で、仲は悪いほうではない・・・しかしあまりに希望は薄すぎた。
「あ、やっぱトイレ行くわ」
そう言い残して、俺は引き返す。
よっぽど焦ってたのか、Uターンというより Vターン をして全力で走っていく。
サカモトはその場に止まり、イシジマのあとを付いていくか、俺のあとを付いていくか一瞬迷う・・・そしてニヤリと口元が歪む。
・・・・ま、またもや後ろから足音が・・・・!!
もちろん静かじゃなく、走ってきている。
イ、イシジマより俺を選んだのか!
なぜ・・・ 男の俺が、男に、白昼堂々、しかも学校内でストーカー されないといけないんだ?
このときはそのことで頭がいっぱいだった。
ひらすら走り、教室の中に駆け込む。
即座にサカイと話し始める。
もちろん、 今も 後ろにいるサカモトのことについて・・・小声で話す。
・・・今も笑っているようだ。
ここで俺は決意する。 こいつから逃げよう と。
数日後、学校に来てサカモトと 運悪く 出くわす。
当然ついてくる。
階段は廊下に比べていくらか狭い。このとき人も多かった。これを活用した。
4人ぐらいで並列で歩いてる連中が前にいた。
4人組が階段に上る前になると俺はダッシュでその4人組を抜かす。
流石に突然走り出されたらサカモトもピッタリついてくることはできない。
そして 俺→4人組→サカモト の順で階段に上る。
狭い階段を4人組が道をふさいでくれている。サカモトは俺を追おうとするが前に進めない。
もともとはクラスでおとなしい奴だから、押しのけていくようなこともできない。
その隙に 全力で階段を駆け上がる俺 。
まぁ・・・・どうせクラス同じだから意味はないのだろうけど。
そんなことを繰り返す日が続いた。
ある日気付く。言ってしまえばいいじゃないか、と。
今までは『可哀想だからそこまではできない』と思っていた。
しかしここまで来れば十分だろう。
さらに数日後、体育の授業があるから着替えていたときだった。
・・・ちなみに着替えるときは、 わざわざ俺のとこまで来て着替えている。
だが今回は来てくれて、言うキッカケができた。
そして口を開く。
「あのさぁ・・・お前、いつも俺のあとついてくるよね、なんで?」
これにどう返してくるか・・・大体予想はついていた・・・とぼけるのだろう。
「え・・・?俺そんなお前のあとついてってる?」
見事なまでの筋書き通り・・・・ ニヤリと笑ってるのは予想外 だったが。あと一言で終わる。だがやはり、可哀想な気はした。
「いっつもついてきてるだろお前・・・まぁどうせとぼけるんならそれでもいいけどさ。いいか? 金輪際、俺に近づくな 」
生ぬるいようじゃサカモトという人間は諦めない。完璧に突き放さないとダメだった。
だから言った・・・が、なぜかTVや映画で聞きそうな台詞になってしまった。
そういい残して、俺は立ち去る。
それから、サカモトについてこられるようなことはなくなった。
このことを他の人に話したら
「サカモトはお前と話したかっただけじゃないのかぁ?」
と言う。そんなことはわかりきっていた。だがこっちがいくら話しかけたところでまともな返事が返ってこない。
それに、いつまでも人に甘えてるやつが嫌いだ。
自分からは話しかけず、相手から来るのをひたすら待つだけ・・・そうゆうのが大嫌いなのだ。もちろん今でも。
それからサカモトはクラスのおとなしいやつとだけ、話すようになる。
俺はいつも通りの生活に戻る。
しかし男にストーカーされるのはいささか気味が悪い・・・・。

後日、イシジマに聞いてみたところによると、その部活の大会中(試合のない時間や、昼食の時間)に俺と同じようなことになってる奴がいるらしい。イシジマもその中に入っている。


◆ストーカー? 完◆

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