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2003年10月08日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日は「かみぽこ政治学」です。


メルマガ版は政治色を排して留学情報提供に集中したいからです。

HPで「時事放談」をやるときは、
メルマガでは過去の日記を掲載します。

こうすればHPの常連さんも、
「かみぽこぽこ」の過去からの流れを把握でき、
メルマガを登録していただく意味が出てくるかと。。。。

今日のメルマガ版は3月22日日記「近所の写真屋さん」を改訂して載せます。わたしがいうのもなんですが、かわいい日記です。そちらもご覧ください。


最近日本の政界で大流行のこれ。。。

「マニフェスト」

これ、元々英国で選挙の際に政党から出版されているもの。
英国在住者としてはこれを取り上げないわけにはいかないだろう。

ということで、今日の「かみぽこ政治学」は、
「マニフェストなんてちゃんちゃらおかしい!」。

まず、「マニフェスト」自体について説明する。
マニフェストとは、一言でいうと、

「政党の国民に対する約束」。

マニフェストは、政党が掲げる政策が書かれた数十ページの厚さがある週刊誌程度の大きさの小冊子.。1冊約2ポンド(約400円程度)で市販されている。

英国国民はこのマニフェストを買って、

その結果、英国の選挙は日本と違って「政策が選択の基準となる選挙」になると。。。

。。。。。ここまでは、通常に日本に住んでいて新聞とか見れば書いてあること。

誤解を恐れず、はっきり言わせてもらう。

うそつけ!と。

バリバリの英国労働者階級出身にして、わたしの指導教官。新進気鋭の政治学者ドン・キーン博士は


「マニフェスト?ああ、あんなもん誰も読まない、読まない」

これが英国人の本音は、庶民感覚を知るドンのこの短いコメントに集約されている。

でも、「英国はマニフェストによって、政策中心の選挙をやってるから、日本も導入すべきだって議論になってるよ」
とわたしがいうと、

ドンは、

ぶわっははははは!

と大笑いした後、こう言った。

「あのな、かみぽこ。
英国のよ、
医療制度(NHS)を見てみろ。
地下鉄や鉄道などの悲惨な輸送手段を見てみろ。
ぼろぼろに崩壊した教育制度を見てみろ。

労働党はな、1901年からマニフェストやってんだよ。
100年以上たって、なにが実現したって言うんだ?
いつまでたっても口だけでよ、なんにも変わんないじゃないか。

逆に日本のよ、
国民皆保険制度、
過去事故死者ゼロ、1分も遅れない新幹線、
世界一の識字率を誇る義務教育制度。

なんで日本がマニフェストやんなきゃいけないんだ?
俺にはさっぱりわからんぜ」

日本に住んでいるとピンとこないだろうが、
ドンがわたしに言ったことは、
英国に一度でも住んだことがある人ならわかるはず。

病院に行くと、流血したまま8時間待たされることがある。
鉄道はすぐ止まる。それだけではなく、よく脱線して死者がでる。
列車に乗るのは命がけだ。。。。

英国は確かに19世紀から20世紀初頭、他国に先駆けて近代化した。しかし、そこから後は二大政党制で政権が交代するたびに、全ての政策がひっくり返る。その繰り返しなのだ。

その結果、例えば労働党政権が医療改革をやっていたのを、
保守党が政権を獲得すると、いや鉄道インフラの整備が先だと政策を変えてしまって、医療改革がたなざらしになる。

逆に労働党が政権を取り返すと、鉄道整備をやめて、たなざらしにして、再び医療改革を始める。。。。。

。。。。。。万事そんな調子。
その結果、マニフェストを始めて100年たっても、
何にも変わっていないじゃないかということになる。
これが間違いなく英国の実態なのです。

でも、日本では政治家や学者が英国を視察して、
マニフェストのすばらしさを報告してるじゃないか。
かみぽこなどという無名の学者の卵の言うことなど信用できるかって?

英国人ってのは、世界一宣伝の上手な人たちなのです。
わざわざはるばる日本から客が来たら、
「そりゃマニフェストをやれば、もう日本の政治はバラ色間違いなし」
と美辞麗句を並べ立てて宣伝しますって。

で、客が帰った後、
「ああ、マニフェストなんて、誰も読んでない。はははは」
とビール片手に笑っている。
英国人とはそういう人たちなのだ。

わざわざ日本からえらいさんが多数視察して、
誠にご苦労なことでございますが、
英国人の本音など、なんにも聞き出せてないわけだ。

思い出してみてほしい。
小選挙区制の導入。
党首討論(クエスチュン・タイム)の導入。

これ、「英国の制度を取り入れれば全てうまく行く」
といって導入した制度。
その結果は。。。
わたしが言うまでもないよね。

もう少し、具体的に説明したい。
なぜマニフェストなんてちゃんちゃらおかしいのか?

そもそもマニフェストの導入を日本で提唱し始めたのは、
北川正恭・三重県知事など、地方自治体首長。
で、地方でうまくいったから中央でも導入せよと。

あのね。。。。
地方と国では制度が全く違うわけ。
知事は直接公選で選出されるし、
「知事独裁制」と言ってもいいくらい、
知事の権限は強い。

確かにマニフェストを発表して、
当選すれば、その通りに政策を実行していくことは
やろうと思えば可能である。

英国の政治状況も、この日本の地方自治体と似ている。
仮に英国でマニフェストが機能しているとするならば、
それは英国が二大政党制で、
政権を獲ると「首相独裁制」といってもいいくらい権限が強く、やろうと思う政策は全て実行できる状況にあるからであるのだ。

だから、まあ誰も読んでないという実態はあっても、
マニフェストをやるというのはわからんでもない。

それに対して、日本の国政は現状多党制で連立政権。
政党間が政策協議を行い、妥協が成立して始めて政権が成立する。

ここで「政党の国民に対する約束」と言ってマニフェストを作ったところで、どの政党も絶対に他党と妥協しなきゃ政権取れない。

妥協するってことは、
結局どの政党もマニフェスト通りに政策を実行しないってことだ。

これじゃマニフェスト作っても意味ないじゃないか?

マニフェストを作ってもどうせそれが守れないなら、
それがこれまでの「政治家の公約違反」と何が違うの?
という素朴な疑問をわたしは持つ。

実は、
ヨーロッパの議院内閣制の国で、「マニフェスト」などというものをやっているのは、

「英国1カ国だけ」、

という単純な事実がある。

マニフェストがほんとに「政策が選択の基準となる選挙」をもたらすすばらしいものならば、日本なんかよりまず、英国に地理的に近いヨーロッパ諸国がこぞって導入するのではないのか?

しかし、そんな事実はないのである。

ヨーロッパでは、イギリスを除き、
「連立政権」が常態である。
つまり、常に複数の政党の政策面の妥協により政権が成立しているのが普通ということだ。

これらの国はマニフェストなど全くやっていません。
連立政権でマニフェストが無意味なことをよくわかっているからだ。

しかし、例えばドイツの政治が
連立政権で、マニフェストをやってないからといって、
イギリスより制度的に劣るなどと言ったら、
またドンに大笑いされるだろう。

ということで、あえて言わせてもらいます。

なにもかっこつけて
「マニフェスト」
などと横文字を使わないでも、

「公約」を政治家が守ればいいだけ。
「公約」を政治家が守るかどうか、
有権者がしっかりチェックして、
それを自らの投票行動に反映すればいいだけ。

当たり前のことを当たり前に、
まじめにすればいいだけことだ。


「かみぽこ政治学」バックナンバーは こちら。







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最終更新日  2003年10月10日 07時32分04秒


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