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2004年12月21日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
さて今日は、Spicaさんのリクエストにお応えして、


たぶん思うのだけど、
このリクエストというのは、
新聞社やTV局が実施する世論調査というものが、
どういうシステムで行われるのかと
いうことをまず知りたいということだと思うのだけど、
それについては文章の終わりに
参考文献を紹介しました。


私がここで短くまとめるよりもいいと思う。
ぜひご一読を。

さて、今日は世論調査について
私なりの視点で分析をということで、(笑)
今日はこんなタイトルで話をしたい。

「小泉内閣と世論調査の不思議な関係」。

皆さんよくご存知の通り、
世論調査はこれまで時の政権の命運を決めてきた
と言われている。

端的な例で言えば、
森内閣は支持率の低下によって、


この世論調査、
特に「内閣支持率調査」については、
「危機ライン」なる言葉が存在する。
つまり、内閣支持率が一定の数値以下になると、
政権維持が困難になるという意味である。


この「危機ライン」を下回る数値が出ると、
与党自民党内で首相交代を巡っての
権力闘争がスタートすると言われてきた。

そして、新聞社やTV局といったマスコミは、
この「世論調査」を自らの政界に対する
影響力を強化するために使ってきたと言える。

なぜならマスコミは、
世論調査における内閣支持率が
「危機ライン」を下回ったとき、
政局の流れをリードするために動いてきたからだ。

例えば、内閣支持率が「危機ライン」を下回ると、
マスコミはそれを大々的に報じる。
内閣延命の動きが出てきたら、
「永田町と民意のズレ」を訴え、
首相交代論を説く。。。
その結果、政界では実力者が動き出し、
首相交代で事態の収拾を図ろうとする。

だから、政治家は常に世論調査の動向を
意識せざるを得ないし、
近年、マスコミは
世論調査を頻繁に実施するようになった。
かつては年間に数回行われるだけだったのが、
現在は月間に数回行われることも珍しくなくなった。
特に小泉内閣成立後、その回数は激増している。

小泉内閣は党内の権力基盤が弱く、
世論頼みだと言われていることから、
マスコミが政局のイニシアティブを握ろうと
意図的に世論調査の回数を増やしてきたとも言えるだろう。

。。。ここまでは教科書通りの解説であり、
参考文献にも書いてある。

さて、その世論頼みと言われる小泉内閣は、
内閣支持率が落ちればそれは即、
内閣への求心力の低下につながるので、。
常に内閣支持率をデリケートに考えてきたと言われてきた。

しかしである。小泉内閣の支持率推移を見ていくと、
どうも実際はそうでもないようなのだ。

小泉内閣の支持率推移は下記の通りである。

2001年4月の内閣成立から驚異的な80-70%台の支持率が続く。
2002年2月:支持55%、不支持34%。田中真紀子外相更迭。
2002年3-10月:支持40%台、不支持30%-40%台が続く。。。

2002年10月:支持61%、不支持20%。小泉首相訪朝。
その後年内、支持50%台、不支持30%台。。。

2003年1-8月:支持40%台、不支持30-40%台。イラク攻撃支持表明など。
2003年9月:支持65%、不支持22%。内閣改造、安倍幹事長抜擢。

2003年12月:支持43%、不支持41%。自衛隊イラク派遣。

2004年5月:支持56%、不支持30%。小泉首相訪朝。拉致被害者家族の帰国。

2004年6月以降:支持40%台、不支持30-40%台続く。。。
2004年11月24日:支持44%、不支持40%。自衛隊派遣延長に慎重が61%。
(以上、日本経済新聞縮刷版より)

要するに、小泉内閣は発足時の驚異的高支持率が、
田中真紀子外相更迭によって50%台に落ちてから、
たまに外交成果や内閣改造によって
瞬間的に支持率が上がる時以外は
ほぼ40%台で推移してきたと言える。

ここで指摘できることは、
世論頼みと言われていた小泉内閣の支持率が、
2002年以来約2年間、
実は非常に安定していたということだ。

この世論調査での「小泉内閣不支持の理由」は
日本経済がデフレで苦しんでいた2002-3年の間、
常に「政策が悪い」「指導力がない」であり、
「小泉内閣に求めること」は
「景気対策」であった。

小泉内閣はこの世論の声を
ほとんど無視していたに近かった。
世論頼みと言われていながら。。。

今日は、この世論頼みのはずの小泉内閣が
世論無視の行動にも関わらず支持率が安定していることを、
「小泉内閣と世論調査の不思議な関係」
と呼んで分析してみたいのだが、
まず私は、小泉内閣の世論に対する
「立ち位置のよさ」を指摘したい。

それはご存知の通り、小泉首相が内閣発足にあたり、

「聖域なき構造改革の断行」
「構造改革なくして景気回復なし」

という方針を打ち出し、
自らの政権運営のあり方を
世論に対して明確にしたことを指す。

これによって、小泉内閣は
野党(特に民主党)、与党内の抵抗勢力、
そしてマスコミが世論を使って政局の主導権を握ることを
封じることができたのである。

これが偶然か意図的なものだったかはわからないけれども。

具体的に説明していく。
まず野党(民主党)は、この小泉内閣の方針に面食らった。
なぜなら、本来「構造改革」とは民主党の主張であった。

小渕・森内閣は財政出動などの旧来型景気対策を繰り返し、
この民主党の主張とは明確な違いがあったため、
民主党にとって政府攻撃は簡単であった。

ところが、小泉内閣が「構造改革」を打ち出し、
それが実に世論調査で80%以上という
驚異的な支持を得たために、
民主党は面食ってしまった。

構造改革に反対すべきか、賛成すべきかで
民主党は迷走した。

特に、代表の鳩山由紀夫は迷走した。
そもそもお互い政治家一家の名門に生まれ、
主義主張も近いと思われる小泉に、
鳩山はシンパシーすら感じていうように思われ、
小泉が「改革に賛成するものは拒まず」的な発言を
繰り返して鳩山を誘惑(?)したため、
ますます彼は迷走した。

横路孝弘など「明確に政府に反対を打ち出すべき!」
と主張した者も党内にはいたが、
小泉内閣の驚異的な支持率に毒気を抜かれ、
大きな声とはならなかった。

この民主党の迷走を尻目に、
小泉は与党自民党内の抵抗勢力との対決をぶち上げた。

世論の注目は完全に
「小泉内閣VS自民党内抵抗勢力」
になってしまって、
民主党は完全に存在感を失って、
世論から無視される存在となってしまった。

小泉内閣成立後、
3度の国政選挙が行われたが、
民主党は小泉内閣への批判票を集める存在でしかないし、
民主党の動きによって、
内閣支持率に大きな変化が起きたことは
ただの1度もない。

次に、小泉内閣によって
「構造改革の敵」と名指しされた
自民党内抵抗勢力なのだが、
彼らは構造改革の進め方と景気対策について、
小泉内閣を激しく批判したのだが、
その結果、内閣支持率が40%台前半あたりを
うろつくようになると、妙に静かになった。

本来、内閣支持率が「危険ライン」に近づいてくると、
反対勢力は勢いづいて一挙に倒閣に動くものだが、
小泉内閣への抵抗勢力は倒閣に動くことはなく、
あくまで首相の方針の枠内での条件闘争、
政府からの妥協を引き出すことに終始した。

「抵抗勢力は勝手にこける」

とは、小泉首相の口癖の1つだったが、
まさにそういう現象が起こり続けたのだ。
結果、支持率は40%台を切ることはずっとなかった。

自民党内抵抗勢力が、
一挙に内閣支持率を「危険ライン」にまで下げるような
激しい抵抗を躊躇したのは、
1つには、なんだかんだ言っても
小泉内閣は自民党が送り出した内閣だったことだ。

それを自ら倒閣するのは忍びないし、
それ以上に政治家個人としても政党としても、
その責任を厳しく世論から問われることを恐れた。

それ以上に重要な理由は、
やはり政治家というのは世論に敏感であり、
特に抵抗勢力と言われるような政治家ほど、
地元などでよく国民と接することで
国民の声をよく知っている。

抵抗勢力は、世論が各論はともかくとして、
総論として構造改革を圧倒的に支持していることを
よく知っていたのである。

だから、構造改革そのものをつぶす動きに出たら、
小泉内閣の支持率が落ちる前に
自らが選挙で落とされる危険性が出てくる。

それを恐れ、
抵抗勢力は支持者の喜ぶ妥協を
政府から引き出す行動に終始した。
結果として、小泉内閣の支持率が
「危険ライン」に落ちることはなかった。

最後にマスコミだが、
マスコミも最初に小泉内閣の驚異的支持率に
毒気を抜かれてしまい、
その後「田中真紀子更迭」による支持率低下で
ようやくチャンスが訪れたと思い、
何かにつけて「緊急世論調査」を連発しているが、
小泉内閣の支持率はなかなか落ちず、
思うように政局を動かすチャンスを得られない。。。

要するに、民主党・自民党内抵抗勢力・マスコミともに、
小泉内閣の安定した支持率の推移に
現状なすすべもないというところだろうか。
そして、その理由は最初に言ったように、

「小泉内閣の世論に対する立ち位置のよさ」

なのだろうと私は思う。

そしてそれはここまで書いてきた
国内問題だけではなく、
外交においても言える。

「北朝鮮に対する対話と圧力」「日米同盟重視」
「国際協調」。。。

この小泉内閣の方針は、
総論としては世論のコンセンサスを得られる
絶妙の立ち位置であり、
民主党や自民党のKKK(古賀・加藤・亀井)などは
各論の重箱の隅をつつくような議論しか
小泉内閣に挑めないでいる。
これでは彼らは世論の支持は得られない。。。

これが世論頼みのはずの小泉内閣が
世論が望むはずの景気対策などを
ほどんど何もしないにもかかわらず、
安定した支持率を維持して悠々と政権運営しているという

「小泉内閣と世論調査の不思議な関係」

なのである。

しかし私はこの現象については、
小泉内閣がうまく振舞った結果とは思っていない。

ほとんど無視された存在の民主党はともかくとして、
自民党内抵抗勢力とマスコミについては、
怠慢だと思うのだ。

まずマスコミについて言えば、
例えば最近の例だと
「横田めぐみさんの遺骨が偽物だった」とか
「イラクへの自衛隊派遣延長だとか、
「三位一体の改革の方針決まる」とか、
何かあるとすぐ緊急世論調査であるが、
その前に、やることがあるのを
忘れているんじゃないだろうか。

世論調査の前に、
まず自分たちの筆によって、
政府の政策を徹底的に批判すべきではないのか?

自民党内の抵抗勢力も同じである。
世論云々よりも前に、
自らが正しいと信ずるならば、
政府に徹底的に論戦を挑むべきじゃないのか?

マスコミも抵抗勢力も、
「小泉内閣が世論頼み」だと思い込み、
支持率の推移ばっかりに気を取られてしまって、
自らが本来やるべきことを見失ってしまっているのである。

実は世論に一喜一憂しているのは小泉内閣ではなく、
抵抗勢力やマスコミの側なのだということだ。

結果として、小泉内閣は悠々と政権運営をしているのだ。
どうかマスコミと抵抗勢力の皆さんは
目を覚ましていただいて、自らがやるべきことを
1つ1つしっかりとやっていただきたいものだと思う。

まあ、今月の世論調査では、
小泉内閣の支持率が30%台に落ちたと報じたものもあるわけですから、
これから政局になるかもしれませんしね。(苦笑)
マスコミと抵抗勢力の皆さん、がんばってくださいね。



<参考文献>
松本正生「『世論調査』のゆくえ」(中央公論新社、2003年)





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最終更新日  2004年12月22日 17時51分04秒


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